再会

勝利だギューちゃん

第1話

猛暑が続いている。

この猛暑、へばっているのは霊長目ヒト科だけではない。


たいていの動物はへばっている。

犬も猫も鳥も爬虫類も、多くの虫も・・・


ただ、セミだけは元気。

そのセミも、種類によって鳴く時期が異なる。

ツクツクホウシが鳴けば、秋も近い。


鳴き声は聞くんだが、その姿はあまりみない。

セミの中でも小さいからな・・・


『悪かったな。小さくて』

「びっくりした。お前しゃべれるのか?」

『テレパシーで、お前の心に語り掛けている』

「んなことが出来るのか?」

『科学では解明できないことは、まだあるんだよ』


科学って・・・


「相変わらず、ひとりなんだな」

『ほっとけ・・・って、前に会ったっけ?』

「5年前の会ったろ?俺が卵からかえって土に入るとき」

『姿が変わってるんだ。わからん・・・って、お前はよく覚えてたな』

「ああ。お前の事が気になってな。生き残ってやったよ」


根性のあるセミだこと


「ちょっと待った」

『なんだ?そうだ。ややこしいから名前で呼んでくれ』

「なんだ?」

『ツクツクホウシだから、ミンミンと呼んでくれ。』

「ツクツクホウシなら、つっくんあたりじゃないのか?」

『こだわるな。青年。持てないぞ』


余計なお世話だ。


『だいたいツクツクホウシも、人間がつけたんだろう?鳴き声からなんて、安直だな』

「俺に言うな」

『で、なんだ?何かあるんだろ?』

「ここは俺の家の敷地内だ。お前は5年間、家の敷地内にいた」

『だから?』

「不法侵入の上に。5年も住んでたんだ。宿代払え」

『ケチ』

「ケチじゃない」

『お前の家の木、不味かったぞ。兄弟姉妹はそれで死んだ』


俺のせいじゃない。


「ところで・・・お前嫁さんは見つかったのか?」

『いや・・・まだだ』

「急がなくていいのか?セミは・・・」

『交尾をしたら、くたばる。だがしなければ、運が良ければ一か月は生きる』

「外敵に襲われない強運はあるが、女性にはもてないのか?」

『大正解。座布団一枚』

「ケチ。もっとよこせ」

『さっきの仕返しだ』


セミは、他の種類とは結婚できないのかな?

ツクツクホウシとミンミンゼミが結婚したら、どうなるんだろう?


『それは、人間とサルが結婚するようなものだ』

「詳しいな」

『まあな』


このような会話をセミと出来たら、楽しいな!

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再会 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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