第3話王都へ

 今俺は、姉上達と母上達に着せ替え人形にされていた。


「アル、この服似合うわね」


「次は、こっちを着て」


「これもいいんじゃない?」


「アル、可愛いわね」


 5歳になった俺は、王都に向かうために準備をしていた。俺には、自分でステータスを確認できるので、洗礼の儀を受ける意味ないけどな。

 着せ替え人形にされてること3時間、どの服を着ていくのか決まった。

 因みに、向こうについてから2泊3日する予定だ。

 俺は、王都に何があるか知らないので、1度いったことのある姉上達聞いてみた。


「王都に何があるか知りたいの?」


「うん、姉上達は、王都にいったことがあるので、どのようなところ場所なのか知りたいです」


「もう、アルも5歳になったんだよね。いいよ、教えてあげる」


「私たちに、任せてちょうだい」


「王都は、今住んでいる領地よりも凄く大きいの。人の数も比べものにならなかったわ」


「後ね、料理がとてもおいしいの。アルも食べてくると良いわ」


「因みに、おすすめの料理はなんですか?」


「私は、焼き鳥よ。歩きながら食べれて、肉についているタレがいいの」


「私は、カレーライス?がよかったわ」


「ラナは、甘いお菓子です。確か、クッキーって名前です」


「焼き鳥に、カレー、クッキーまで王都楽しみだな」


「最終日は、父上が好きなもの買ってくれるわよ。楽しんで来るといいわ」


「はい。楽しんできます」









○●○●○●


 レーノが俺の荷物を全て準備してくれた。俺の専属メイドであるレーノも一緒に王都に行くので、実質2倍の荷物を準備したわけだ。しかも、たったの3日でだ。優秀すぎて、父上もビックリしてたな。予想外だったらしく、これなら俺の専属メイドを任せられるとも言っていたな。2日後、父上達も準備ができたようだ。護衛騎士も10名近く行くらしい。


「当主様、馬車の準備ができました。すでに、荷物も詰め込んでいます」


「わかった。エルス、アル、馬車に乗り込むぞ」


「アルちゃん、抱っこしようか?」


「ちゃんと1人で乗れるよ」


「もう、そんなこと言わないで」


「やっぱ、ちょっと高くてのれないから、お願いしようかな」


「ふふふ、かっわいい~」


 何故、エルス母上が俺に甘々なのか?

 実は、俺が3歳の頃、エルス母上にあまり甘えていなかったら、エルス母上が落ち込んで父上に理由とどうしたら良いか聞くと、もっと甘えてやれといわれたのだ。

 その後、エルス母上をみかけ、甘えに行ったら、嫌われたと思っていたらしく1週間俺の傍を離れなかったのだ。風呂に入るときも、寝るときも一緒だった。恥ずかしかったので、風呂入るときと寝るときぐらいは、1人でいいと言うともの凄く落ち込んでしまって、さらに1週間傍にいたのだ。

 このようなことがあったから、エルス母上の前では甘えるようにしている。今でも、ときどき風呂と寝るときは、一緒にだったりする。そこに、姉上達や妹も混ざることも少なくない。

 王都でも、エルス母上が一緒に寝たいと言ってきたので、着いてから考えるといって話を先送りにした。


「父上、王都にどのくらいで着くんですか?」


「何もなければ、2週間ぐらいで着くはずだよ。」


「夜は、どうするんですか?」


「近くの村の宿屋で、泊まっていくいくよ」


 夜は村の宿で泊まり、泊まった村で食料昼食を補充しながら森の中に馬車を走らせていくこと10日目、王都まで残り2日のところで、異変が生じる。


「当主様、魔物の数が多いです。もう、森の半分まで来ているので、戻ることも難しいかと」


「そうか、対処可能か?」


「可能です。ですが、馬車の護衛が薄くなります。どうされますか?」


 「ふむ、万が一は俺も戦おう。これでも、Aランク冒険者だからな。家族は、俺が守る」


「分かりました。では、このまま進みます」


 護衛騎士と父上の会話だが、何か森で異常が起こったのか?魔物か、まだ、見たことすらないな。一応、〖魔力感知〗をつかっているが―――!


「父上、前方で誰かが戦っています」


「本当か?」


「はい、マズいです。数十体の魔物に囲まれています」


「距離は?」


「5キロ程先です」


「ちょっと時間がかかるな」


「父上、俺が先に行きます」


「ダメだ。危険すぎる」


 やばいな、かなりの数の魔物が襲っている。1秒でも早く助けに行かないと、間に合わない。こうなったら、無理やりでも行かないと。


「………」


「何をするきだ?」


「助けに行きます」


「お前は、まだ5歳だ。無茶だ。」


「では、実力を見せればいいんですね」


 俺は、そう言って魔法を使う。

 この5年間、無駄に過ごした訳ではない。遊びながら、体力を鍛え、魔法も毎日欠かさず練習してきた。魔法の知識も書斎で、ある程度知っているし、魔物についても独学で勉強した。

 森の中だから、火魔法は使えない。そして、今から使う魔法は、風属性中級魔法だ。俺は、馬車の外に手を向けて発動する


〖風刃〗ウィンドカッター


 風の刃が魔物達を次々に倒してく。

 さて、父上の反応は?あれ?口を開けたまま放心状態になっている。急がないといけないのに。    

 俺は、我を忘れている父上をおいて馬車から降りる。すると、エルス母上が二言。


「無茶したら、ダメよ。怪我なく、無事に帰ってきなさい」


「分かりました、エルス母上。時間がないので、早速行ってきます」


 俺は、エルス母上の言葉を聞いて、無理しないで出来る範囲だけ助けに行こうと思った。

 身体強化の魔法をかけ、もうスピードで森の中を駆け抜けていった。

 5キロ近くの距離を10分で走りきり、目の前では、高級馬車が1台とそれを囲むように守る護衛騎士が十数名いる。ただし、護衛騎士のほとんどは、負傷しており戦っている護衛騎士は、数名と高級な衣服を着ているものだけ。状況は、かなり深刻のようだ。


「救援に来ました。〖地弾〗アースショット


「助かっ――――!」


「まだ、子どもじゃないか」


「ここは、危険だ。すくに、逃げろ」


「大丈夫です。後から、父上達がこちらに来ます」


 そう言って、魔法をどんどん放って魔物を殲滅する。護衛騎士達が驚いているが今は、それどころじゃない。徐々に、魔物は減っているがそれでもまだ、多い。

 因みに、今戦っている魔物はオークだ。繁殖力が高く、巨体なのが特徴だ。


「やるじゃないか」


「これは、負けてられないな」


「しかし、ここまで多いと近くにオークの集落、いや、村があるかもな」


 高級な衣服を着ている護衛騎士が、オークの村がある可能性があるというと、魔力感知に一際大きい魔力反応があった。それから、数秒後ドゴーンと大きな音を立てて正体を現す。


「オーク将軍ジェネラル


「やばいな、これ」


「………」


「逃げれるか?」


 俺の呟きに、各々反応していくが状況はかなり悪化した。オーク将軍ジェネラルは、B級の魔物だ。このメンバーでは、厳しい。絶望の中、オーク将軍ジェネラルが次々突進してきて、残るは高級な衣服を着けた護衛騎士と俺だけになった。


「どうしますか?」


「どうも何も戦うしかないだろうね」


 どうするか聞いたが、戦うしかなそうだ。魔力はまだ、余力があるが長引けばこちらが、不利になる。まさか、初めての魔物狩りがこのようになるとはおもわなかった。

 オーク将軍ジェネラルが突っ込んでくるので、ギリギリ避ける。俺は、武器を持っていないので、素手だ。まぁ、倒れた護衛騎士の武器を使えばいいが、俺には、大きすぎる。5歳が使う武器なんて売っていないからな。おもちゃか、1から作るか、のどちらかをしなければならない。

 で、今は素手なので、距離を置きたい。だから、高級な衣服を着けた護衛騎士とすぐさま入れ替えて、攻撃にでる。


〖水刃〗ウォーターカッター


〖氷壁〗アイスウォール


〖泡弾〗バブルショット


〖地散弾〗アースバレット


 効いてはいるが、体力が多い。その分、速度は遅いが5歳の俺からしては、ギリギリだ。このままでは、全滅なので使ったことはないが上級魔法を使うことにした。


〖雷砲〗らいほう


「ウオオォォォ」


 初めて、上級魔法を使うがなんとか成功し、無事にオーク将軍ジェネラルを撃退した。同時に父上達がやってきて残りは、こちらの護衛騎士が倒してくれた。


「父上、エルス母上」


「アル、無事か」


「回復魔法かけるわね」


 父上が俺のことを心配し、エルス母上が即座に回復魔法をかけてくれた。傷はないが、一応やってくれたのだろう。

 父上には、すごく怒られたが、褒められもした。かなり、心配かけたらしい。俺も悪いので、謝ったら許してくれた。注意は、されたけど。

 俺もエルス母上と一緒に残り少ない魔力を使って、あちらの護衛騎士に回復魔法を次々にかけてあげる。

 すると、後ろから突然驚くような声が。急いで振り向くが父上だった。何にそんなに驚くんだ?


「これは、王族の紋章」


 父上がそう呟くともに、高級な馬車から誰かが降りてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る