第2話アルス・フィン・ラフィード

「うぎぁー、うぎぁー」


「エルス!」


「あなた、元気に生まれましたわよ」


「そうか、エルスも無事か?」


「私は、無事よ。あなた、それよりも名前は決めたの?」


「もちろんだ。この子の名はアルス。アルス・フィン・ラフィードだ」


「アルス。うん、いいんじゃない」









○●○●○●


 俺は、鈴木諒太。神様達の手違いで死んでしまったが、謝罪を受け入れ、お詫びに第2の人生を歩み始めた。

 転生先は、ラフィード辺境伯家三男アルス・フィン・ラフィード。今は0歳で、意識が覚醒したのは生まれて3日後だった。そして現在。


「アル~」


「リリアナ姉上、アルではなく、アルスです!」


「仲がいい人は、愛称呼びっていうのを使ったりするのよ」


「そうなのですか?でしたら、リナも愛称呼び?するのです。アル~、アル~」


 4歳の姉、長女リリアナと3歳の姉、次女リアが俺の前で遊んでいた?いや、俺の面倒をみているのか。本当に4歳と3歳なの?まぁ、貴族だから教育がしっかりしているんだろうな。因みに、家族構成は――――。


父上ダグリス28歳青髪碧眼

正妻エルス26歳銀髪赤眼

側室エリーナ26歳金髪赤眼

長男アレクス7歳青髪碧眼

次男アイク6歳青髪碧眼

長女リリアナ4歳銀髪赤眼

次女リア3歳金髪赤眼

三女ラナーナ1歳金髪碧眼

三男アルス0歳銀髪右眼碧眼、左眼赤眼の

オッドアイ


 9人家族6人兄弟である。正妻エルスの子は、長男アレクス、長女リリアナ、三男アルス。側室エリーナの子は、次男アイク、次女リア、三女ラナーナ。みんな仲が良く、良くリリアナ姉上とリア姉上が俺の面倒に見に来る。

 家族紹介が終わり、半年が経った。









○●○●○●


「あ~」


「あら、可愛い。もう一回。」


「あ~」


「あ~~、もう、抱きしめたくなっちゃう」


 5分程前、一人でゆっくり転ばないように歩きながら、発声練習しているところを母親2人に見られてしまったのだ。この後、魔力操作の練習しようと思ったのに。因みに、意識が覚醒したあの日から魔力操作と発声練習を毎日毎晩していたのだ。今のステータスは――――。


【名前】アルス・フィン・ラフィード

【種族】人間

【Lv】1

【HP】300

【MP】500

【筋力】100

【速度】100

【防御】100

【体力】100

【魔力】100

【魔法】全属性

【スキル】神眼Lv.2、経験値増加Lv.2、必要経験値減少Lv.1、創造Lv.1

【加護】全神Lv.Max

【称号】魔法の申し子、剣の申し子、神々に愛さ

れし者


 うん、やばいな。アレクス兄上は、剣術、魔術の家庭教師が付いている。来年には、魔物を倒しに行くらしいが、実力次第では、今年の年末に魔物を狩りにいくらしい。アイク兄上もそろそろ、家庭教師が付くらしい。家庭教師は、7歳になったら用意してくれるらしい。何故、らしいかって?生まれて半年じゃまだ上手く動けないんだ。部屋から出ることも出来ない。たまに、姉上達や母上達が来て、いろいろ聞かせてくれるのだ。

 そして、何故、ステータスがおかしいのか。アレクス兄上のステータスと比べると分かる。


【名前】アレクス・フィン・ラフィード

【種族】人間

【Lv】1

【HP】200

【MP】350

【筋力】125

【速度】120

【防御】100

【体力】130

【魔力】120

【魔法】火、風、土

【スキル】爆発Lv.2、収束Lv.2、圧縮Lv.1、威力増幅Lv.1

【加護】破壊神Lv.3

【称号】-


 なぁ、やばいだろ。俺は、まだ、生後半年なのに、7歳のアレクス兄上より少し劣るくらいで、魔法適正、スキル、加護がやばい。てな感じで、俺のやばさが分かったと思う。









○●○●○●


「アル、おやすみ」


「おやすみ、明日も来るわね」


 しばらく、母上2人の相手していると、寝る時間なのだろうか?2人は、おやすみと言って部屋を出て行った。

 よーし!これで、魔力操作の練習が出来る。まずは、自分の体内にある魔力を感じとる。

 次に、体全体に循環する血液をイメージして、魔力を体内で循環させる。慣れてきたら、循環スピードを上げていく。終わったら、体の一部にだけ魔力を集める練習を両脚、両手、頭、お腹の順におこなっていく。

 最後に、魔力を体内で圧縮し、魔力濃度を高め、循環させるところから、繰り返す。最大魔力濃度でやり終わったら、低級魔法の光属性の〖ライト〗を使い、魔力からにする。魔力を使いすぎると、気絶するので、そのまま、まぶたを閉じる。










○●○●○●


 生後1年、俺は1歳になった。軽く走れるようになったので、ラナ姉上――ラナーナの愛称――と良く遊んだり、ラナ姉上も俺も言葉を使えるようになった。

 俺が本を読みたいから、勉強したいと父上に相談したら、何故か、驚かれた。許可をもらったので、この1年はラナ姉上と一緒に文字を覚え、少しだけ計算も習っておいた。前世の記憶があるとはいえ、習ってもいないのに知っていたら、驚くからな。執事のバラードに、テストされたが驚いていた。何故だ?

 後、正妻エルス俺の実母に赤ちゃんが生まれたらしい。名前は、ルナリア、銀髪碧眼四女で俺の一つ下の妹になる。

 今年で、5歳になるリリアナ姉上は、王都シルクフォートにある協会で、洗礼の儀を受けに行くらしい。洗礼の儀では、自分のステータスを知ることが出来るそうだ。俺には、意味ないけど。

 アレクス兄上とアイク兄上はすでに、洗礼の儀を受けたそうだ。貴族も平民も5歳になると洗礼の儀を受けに行くらしい









○●○●○●


 さらに、2年が経った。3歳になった俺は、普通に走れるようになった。専属メイドのレーノと一緒なら部屋を出ることが出来るようになったので、書斎に籠もって本を読みまくった。書斎には、魔法関連やこの世界の歴史などの本がたくさんあり、覚えることが多過ぎる。魔法は、低級なら全て使え、中級も少し使えるようになった。

 因みに、レーノは今で18歳になる。俺が0歳の頃から、身のまわりのお世話をしてくれている。

 去年は、リア姉上が洗礼の儀を受けに行き、今年は、アレクス兄上がシルクフォート王国この国の王都にある名門シルクフォート学園に首席で合格。来年は、ラナ姉上が洗礼の儀を、アイク兄上が次席でシルクフォート学園に合格。

 シルクフォート学園は、10歳から入学ができ、5年間で様々なことを学ぶことが出来る。実力主義で、実力があれば平民でも通うことができ、多種族も入学試験を受けに行くらしい。王都で1番最難関で、そこで首席をとるのはとても凄いことだ









○●○●○●


 〈父ダグリス視点〉


「なぁ、バラード。アルをどうみる?」


「どうみるとは?」


「アルの成長だよ。すでに、全ての低級魔法を習得したんだろ?早くないか?」


「確かに、アレクス様やアイク様、他の兄弟方をみてきましたがアルス様の成長は、異常です」


「2年前アルは、1歳なのに言葉使いが丁寧だったし、ラナと一緒に勉強したいと言ってきたときは、驚いたな」


「えぇ、2歳になるまでに文字を覚え、計算はすでに成人並みなのは、私もビックリしました。」


「それは、本当か?」


「はい。傍でテストしたので間違いありません。早めに、家庭教師をつけたほうがいいと思います」


「そこまでか。アルが5歳の頃にはアレクスとアイクは、王都の学園に入学しているはずだ。アレクスとアイクの家庭教師をアルの家庭教師にしよう。リリアナとリアの家庭教師も探さなければならない」


「では、そのように手配しましょう。ラナーナ様は、どうするつもりで?」


「ちょっと早いがアルと一緒に訓練してもらう。同じ家庭教師でいい、あの2人は仲が良いからな。ルナも6歳になったら2人の訓練に参加させようと思う。いつも、アルに引っ付いているからな」


「了解しました。今すぐ、取り掛かるとしましょう」


 執事のバラードとやり取りし、今後の方針がある程度決まった。アルは、2年後5歳になるんだよな。家庭教師をつけるには、かなり早いがアルならきっと大丈夫だろう。アレクスは、王都の学園に首席で合格して、もうすぐ入学式だ。アイクもアレクスと同じくらい優秀だから、来年はトップの成績で合格するだろう。

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