昔ながらのジーンズ臭

愛彩

昔ながらのジーンズ臭

昔ながらのジーンズが出てきた。


スパッツ素材、

ぐぃーん、と伸びる素材、のジーンズ。

丈も七、八分。

絶妙なダサさである。

今も愛用している方が居たならば

申し訳ございません。


エステにすっぴんで向かうだけだったので

久しぶりに履いてみた。


帰宅してから気が付いた。


そこから香る懐かしい香り。

前の彼と同棲していたころの洗剤の匂い。


なんとも懐かしい、落ち着く香りだった。


本当に、本当にお恥ずかしいのだが

一晩だけ抱いて眠りに着いた。


少ししか、外出していないから、と

誰にも聞かれてもいないのに

言い訳を並べてみたりして。


本当は、沢山嗅いでしまった。


一度、洗濯機に入れたら終わりなのだ。


翌日、旅に出る前に洗濯をした。

どうも諦めが悪いようで

洗濯が乾いてから、もう一度嗅いでみた。

当たり前に違う香りなのだ。


寂しい、けれど

洗濯のように、スパっとは

難しいかもしれないけれど、

変わっていくことは出来るはずなのだ、と

少しだけ前向きになれたのである。



それでは。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

昔ながらのジーンズ臭 愛彩 @omoshiroikao

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ