上下転置の印
黒軍は、
「やはり、惜しいのう」
勝ち
「許褚よ、よく聞くがよい」
元緒は、許褚に
「陽が沈む前、酒を一樽と干し肉一斤を
顔を上げた許褚は、不思議そうに元緒を見返した。それを見て元緒は続けた。
「彼らに酒を酌ぎ、干し肉を食べさえ、全部なくなるまで続けるのじゃ。何か尋ねられても決して答えるでないぞ。黙って頭を下げ、口を利いてはならぬ。必ずや慶事が待っているであろう」
元緒が言い終えるや否や、駈け出したのは
陽が落ち掛けている。普段とは違う夕陽に見えた。
陽が落ちた。そのときだった。
ぼおっと、祠の前に現れたのは、青白く透き通るように光った二人の男だった。北に背を向けたひとりは、白髪白髭に長身の細老だった。南に背を向けたひとりは、許褚に勝るとも劣らない白髪白髭の大男だった。二人は地に
許褚は元緒に言われたとおり、二人に酒を酌ぎ、干し肉を切り裂いて食べさせると、二人の老夫は全て飲み食いしてしまった。
「おや?」
「お主、いつからここにおる?」
許褚は、押し黙った。
「おいおい、北斗の神よ、我ら断りもなく全て飲み食いしてしまったようだぞ。
「何と――⁉ 礼を
ふっと、掌の上に書簡が現れると、長身の細老はそれを開き見た。
「どれどれ」
巨軀の老夫は長身の細老から書簡を受け取ると、
書簡には
「お前の寿命を七十二にしてやったぞ」
「うむ。
巨軀の老夫と長身の細老は、
以来、生と死を司る神々を
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