勇躍の幼馴染
「
「ん」
「丸太を持ってる奴を狙え! 丸太を門に当たらせるな!」
西の門楼で右往左往しながら声を荒らげていたのは、
「チッ。あの変な
舌打ちした張鴦は、剣を振って指揮する八字髭の何儀を認めると独り
「――――⁉」
三百ほどの手勢を率いた許褚が、黄色い波に躍り込んでいる。許褚が槍を振るたびに手や首が
「その手があったか!」
不気味な笑みを浮かべた張鴦は、
「くっ! またあの化け物が出てきたか。ええい、
「だ、誰もその大男を仕留めることができねえのか――⁉」
何儀が悔しさを
「逃げんじゃねえ‼」
「ヒッ!」
何かが右の
急いで後退する何儀を目にした黄巾の賊徒は、それを追い掛けるように退いていった。
許褚の一群は、退く黄巾を尻目に塢内へ戻ると、張鴦も続いて
「いい働きっぷりだったぜ、許褚」
張鴦は許褚の肩をぽんと叩くと、門楼までの階を駈け上った。
「張鴦」
階を駈け上る張鴦に許褚が声を掛けた。
足を止めた張鴦は、
「
張鴦は、口辺に微笑を刷くと虚勢を張った。
「あたりめえだ。お前より先に諦める訳にはいかねえよ」
そう言うと、張鴦は
許褚も微笑み返すと、南門へ向かって駈け出した。
南の門楼に身を置いた薛麗は、矢を射るたびに賊徒へ突き立った。盾兵を
勢いに乗った墻壁の上に並んだ塢の者たちが、次々と援護射撃を繰り出している。
「相当な弓使いがいるなあ」
後頭を両手で抱えるようにして、
ドオオオン――。
突如、勢いよく門扉が開く音がした。
弾かれたように身を起こした劉辟は、思わず目を見張った。塢より飛び出してきたのは、三百ほどの一群だった。何よりもそれを率いる豪傑に目を奪われた。
「あいつらが言っていた化け物ってのは、これか……」
尻込みした兵たちが後退し始めている。門を遠巻くように下がった兵たちを
「面白くなってきたじゃねえか」
笑いが込み上げてきた劉辟は、
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