ミサキの成長日誌① トラウマなんて、ない
雨に濡れたスマートフォンに「ご期待に沿いかねる」が映り、心が凍てついて立ち止まった。
就職活動の失敗を「トラウマ」と思い、面接で言葉を詰まらせ、冷たい視線に耐えきれず「ダメな私」と呟いた記憶が頭をよぎる。毎晩同期が次々と内定を取るSNSの投稿を見ては、「自分だけが取り残された」と自己価値が崩れる恐怖に震えた。過去を理由に、「動けない自分」を許してきた。
でも、『書斎カフェ・追憶』の温かい光とコーヒーの香りに包まれた日、すべてが変わった。
マスターの「どうなりたい?」という問いが、私の心に響いた。過去に何があったかは問題じゃないと、静かに語りかけるように。アドラー心理学では、トラウマは原因じゃない。動かないのは、これ以上傷つきたくないから、「失敗する可能性」のある未来に進まないという目的を無意識に立て、過去をその言い訳にしているだけだと気づいた。
最初は信じられなかった。私のこの痛みは、紛れもない本物なのに。でも、雨の中で「人生がここで終わり」と感じた時、心の奥で「もう一度立ち上がる」という決意が力強く燃え上がり、胸が熱く震えた。「ダメでもいい、誰かを支えたい」と呟いた。その一歩が、へっぽこな私に未来を選ぶ勇気を与えてくれた。
もしこの日誌を誰かが読むなら、伝えたい。へっぽこな私でも「誰かを支えたい」と願った決意が私を救った。あなたも、ダメな自分の中の小さな決意を見つけ、踏み出して。今日、笑顔で誰かに話しかけてみて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます