第47話 ふたりで
それからわたしたちはたくさん同じ時間を過ごそうと努めた… 努めたってなんか変だな? だってめっちゃ楽しかったから
テスト勉強も毎日した 本の貸し借りもした 図書室にも毎日のように通った なんかお互いの時間削り合うように過ごして新しい記憶を加えてた?作ってた?
なんでもいいや とにかく一生懸命だった
周りの子達もみんなびっくりしてるようだった
そりゃわたしとフミアキだからね なんなら変人扱いされててもおかしくないような二人だもん
ある意味お似合いなんだろうけど
周りの目なんか気にしてなかったし 気にしてるヒマすらなかった 限られた時間に答えが出るかどうかもわかんない課題にひたすら向き合うかのように
夏休みの宿題みたいに答えが決まってるわけでもないんだしね
フミアキにことわって花凜ちゃんだけには伝えさせてもらった
花凜ちゃんはわたしとフミアキのこと納得してた
わたしたちがやってることはすごく不思議そうな顔してたけど でも『ネオンちゃんらしい』って笑ってた
んで一つ気づいたことがあったの
ー毎日が楽しいってことにー
今までだって楽しくなかったわけじゃないんだけど
より楽しくなった わたしも部活、フミアキは弟妹さんたちみなきゃで放課後そんなに自由な時間はないんだけど だから二人で考えていろんな時間作ってた
きっとお互い楽しかったから
でも楽しいからこそ一日一日の終わりが気になった
まるでカウントダウンのように感じてた
12月に入るとそれは現実味を帯びてきてるように感じて 楽しいのに別れ際『またね』っていつまで言えるのかなんて考えるようになってた
でもその感情でフミアキとの大事な時間過ごすのは違うって思ってた 二人の時間は二人のための時間だったから
いつからだろう、わたしは素直になってた
嘘ついてた訳じゃないけど 自分の気持ちに嘘つけなくなってた
もうね、きっと、これは『恋』なんだ
だってこんなにハッピーだし楽しいし嬉しい!
なにより『恋』してる、できてる自分が嬉しかった
…けどやっぱそれに気づいたことは訪れる別れについても同じように意識することに繋がってた
どんだけ楽しい時間を重ねても、どんだけ自分の『恋』に気づけてもそれは終わりに向かって突っ走ってる やがて訪れる現実
だから
毎日を楽しく過ごすんだ!って自分に言い聞かせた
だってフミアキとの思い出が湿っぽいもんになるのだけはやだったから…
きっとわたしよりツラいのはフミアキの方だろう
フミアキの楽しいもわたしにちゃんと届いてた
今がずっと続くならわたしたちはどうなっちゃうんだろう…なんて本気で考えてた
たかが17歳の浅はかな考えだったとしても
それはあり得ないことだからこそ捗る妄想のようだった
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