第33話 あれから



あれからちょくちょくお昼休みは本条と図書室に行ってた お互い図書室で本を勧めあって読んだ感想言い合ったりしてた

わたしは勧められた本は興味深く読めたし 本条に勧める本はすごく悩んだりもした あいつの本を読む視点はわたしとはまた違ってたから

でもそれらが全て楽しかった いろんな感想が聞けることが新鮮だったしまた本を読み返したくなった


本条も周りに対して少し壁が低くなってた

自分から積極的に動いてるように感じた

なにより文化祭でうちのクラスの出し物『お化け屋敷』でも人が違ったかのように楽しんでるように見えた きっと元来はそういうタイプなんよね

本条んち行った時のあいつと大差なくなってきてた

笑顔も増えてた 心配になるくらい


そして わたしはなにより学校が楽しくなった

文化祭を終えてクラスの一体感も増してた

わたしが勝手にそう感じてるだけなのかもだけどね


二学期始まってまだ二ヶ月しか経ってないのにいろんなことがあったな、なんてわたしは考えながら朝の賑わうクラスをぼーっと眺めてた…眺めてた視界の隅に花凜ちゃんが見えた

教室の後ろの隅っこ 窓際の一番後ろの席

え!?あの席 確か…本条の席!?

そこで本条と笑顔で話す花凜ちゃんがいる

わたしが花凜ちゃんのこと見てるとこっち向いた花凜ちゃんと目が合った

わたしは何故だか咄嗟に目を逸らしてしまった

別に悪いことしてないのにドキドキしてた

そうっと花凜ちゃんの方見ると花凜ちゃんはそこにはもういなかった

絶対そんなことないのに 何故だか悪いことしたような気になってた 覗き見したような背徳感


「ネオンちゃん…」


背後からの声にわたしはビクってなった

そんなマンガみたいになるもんなんだって思えるほどに…


振り返るとそこには花凜ちゃんが立ってた


「は、はいっ! ど、どしたの花凜ちゃん」


妙に緊張したような上ずった声が出てた

自分でもどうしたんだ?って思っちゃうくらい

わたしの動揺?反応?を見て花凜ちゃんがクスクス笑う


「あのね 今本条くんにお昼休みネオンちゃんと話しがあるからちょっと借りるって言ってきたの」


そう言ってクスクス笑う花凜ちゃん


「は?はぁ… え!? それってどういうこと??」


「だから、ちょっとお昼休みわたしにつきあってほしいんだけど…いいかな?」


花凜ちゃんのお願い断ることないから!ってわたしは内心さけんでた どんだけお世話になってると思うんですか!! 


「も、もちろんじゃん!! なんだかわかんないけど花凜ちゃんにつきあう!」


「ありがとう! ネオンちゃん!」


そう言ってわたしの両手を握って嬉しそう、と言うか少しホッとした表情に見えた花凜ちゃん


わたしは花凜ちゃんの力になれるかもしれないお昼休みが また待ち遠しくなってた



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