第24話 カノンと…
「痛っ!!!」
またヘッドフォンが引っ張られた
こんなことするやつは一人しかいない
「痛いだろっ! カノンっっっつ!!!」
わざわざ確認するまでもないけど振り向いてカノンを確認する
「『幾田りら』? ヨアソビじゃなくて? 最近なんかあった? ネオン?」
また勝手に聴いてる
「はぁ? わたしがなに聴こうが勝手だろって何回言ったらわかんのよっ!!」
「なんか恋する女子みたいじゃん てか恋愛に憧れてる女子??」
「あのね、誰でも聴くから! なんも知らんでも聴くから!! お願いだから普通に話しかけてくれる?」
「てかさぁ ネオンここんとこボーっとしてんのな
こないだも前に読んだ本引っ張りだしてきてたし もしかして、なんかあった?」
「あのねぇ 妹ならわたし見ててなんか変わったとこあったらわかるだろ それともわかんないの? なんもないよ!!」
「いや、なんか変わってっから言ってんだろ ずっと考え込んでるかと思えば今みたいにニヤニヤしてる時あったりするし」
「ニヤニヤ?? わたしが??」
「うん めっちゃキモい 真顔だったかと思えばニコッてみたり ニヤニヤしてみたり… 情緒不安定か?」
まじ!? 言われてみればさっきも歌聴きながら曲にシンクロして浸ってた感あるんよね
まさか顔に出てたんか…
「わたしのこと大好きなのはわかるけど いちいち観察すんな? それにキモくないだろ かわいいだろ?」
わたしは目いっぱいの笑顔をつくってカノンに見せた
「それがキモい まぁわたしはネオンよりかわいいからネオンが可愛いの基準を上げてくれんと困る」
はいはい 確かにカノンはかわいいよ みんなかわいいって言うくらい わたしと並んでるカノンを褒める時にみんなわたしが傷つかない褒め方するんよね
腹立つって感覚はなくて カノンの可愛さにわたしは鼻が高いくらいの気持ちだった
だってホントにかわいい妹だから
「それ褒めてんの? かわいくない言い方するなー
まぁカノンのためにがんばるわ」
「たのむ よろしく」
わたしの方真顔で見つめながら90℃腰を曲げてお辞儀する
「バーカ」
その態度と格好にゲラゲラ大ウケ ほんとおもしろいやつ おもしろすぎて語彙を失うわたし
「てか なんかネオン変わった 夏越して成長したんか?」
「成長してんじゃね? わたしだってもう17だよ?」
「知ってる そんなの知ってる わたしが言ってるのはそういう意味じゃないから」
「うーん、でもそれなぁ 花凜ちゃんにも言われた
わたし変わったって でもわたしには意味わかんないんだけどな」
「花凜ちゃんが? ネオン変わったって言ってんの? なんで?」
「クラスの男子で本好きな子がいてさ わたしと同じ本読んでんの んでその子とちょっと話す機会とかあったんよね」
「へぇ 珍しい ネオンが男と話すとか その子のこと気になるの?」
「バカ そんなんじゃねぇわ ただ本の話ししたいだけ 3冊も本かぶってんだぞ? 感想とか聞きたいし」
「へぇ〜話しがしたいんだ へぇー……ぷっ! そりゃ花凜ちゃんも驚くわ…アハハッ」
さっきまで話しに納得してるのかと思ったら急に吹き出すカノン
「なんだよ急に吹き出して 人に話し聞いててそれは失礼じゃね? もう話さん!!」
「アハハハッ ごめんごめん へぇーネオンがねぇ…くっくっく…」
こいつまだ笑ってんな なにがそんなにおかしいってんだよ
「とにかく早くその男子と本の話ししろ オタクはオタク同士お似合いだ くっくっく…アハハハッ」
「うっさい! あっちいけ!!!」
笑いが堪えれないカノン
笑いすぎて涙流してる 失礼なやつ
笑いながら必死でなにか喋ろうとしてるカノン
わざとらしい笑い声にかき消されそうな声は
『よかった』って言ってるように聞こえた
めっちゃ
きっと理解できん だって聞いてわかることならわたしはきっと自分で気づいてるって思ってたから
でもカノンが花凜ちゃんみたいに思ってることにわたしは少し腹が立った
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