第11話 高校2年生 〜 なう 〜




 はぁ〜、 デジャヴ…これじゃデジャヴだよ…



夏休みを前に起こる憂鬱 確か同じようなこと去年もあった 


 あれから一年経っててもやっぱ無理なんよね 


わたしは部屋で高橋に呼び出された放課後のことを思い出しながら考えてた


体育祭が終わった後はわたしにとって憂鬱な季節になってた 体育祭で張り切っちゃう目立ち方はわたしにとっては悪目立ちなんだろうか

楽しい筈の夏休みを前にしてこんなことじゃね


2年生になってもまた同じ状況に置かれたことに正直辟易としていた

高橋に告白されたこと、それを断ったことでまた良くない噂が広まるんじゃないかって

『男嫌い』とか『変人』なんて揶揄されんだろうか…

これじゃ1年生の頃と同じ…

自分が殻に閉じ籠もってるって言われたらそれまでだし でもだからって急に変わることもできない

わかっててもどうにもなんない

そんな簡単なことじゃないんだよなぁー

わたしは椅子の背もたれに身体を預けながら天を仰いだ


ー ガチャ ー


「ネオン また男子ふったんだってー?」


部屋に入ってくるなりわたしを見て妹が聞いてきた


「はぁ? カノンには関係ないしっ!」


「そりゃそう わたしはネオンみたいに捻くれてないし」


「うっさいなー ほっとけ!」


ほんとこういう余計な一言をへいきで言い放つ妹

捻くれてないとは言わないけどわたしだって好きで捻くれてなんかないし


てかなんでそんなこと知ってんだ!? 女子の情報網は中学生と言えど侮れんな…

わたしが中学生の時こんなんじゃなかったけどな

なんの悩みもなく成長してたらこんなもんなんかな

妹を見ながらつくづくわたしは想う⋯


「そんなんじゃ恋とかできんぞー」


「それこそほっとけーーー! JCなりたてにエラソーに言われたくなしいっ!!」


「わたし彼氏いるもん♪」


「え マジ?」


「うん マジ!」


「それが言いたかったとか…」


「うん 自慢!!」


別に羨ましくなんかないけど なんかムカつく

中学生で彼氏なんてかわいいもんだ!くらいに思ってやりたいんだけど わたし余裕なさすぎ


確かにわたしは拗らせた過ぎた

高校生になって環境もガラッと変わって周りも成長して、わたしも成長してるはずなのに…

わたしだけみんなと少し反れて成長しちゃってる感じ

このままじゃなんも楽しめないんじゃないかって勝手に心配なんかして そのくせどうにもならない自分があって

部活みたいに楽しめればいいんだけど

別に高校生活が楽しくないことない 今までで1番楽しめてる だけど、なんだろ、この気持ちがなんなのかわかってるけどわかんない感じ

妹みたいに素直に楽しめない自分がなんだかとてもやだ 素直な自分の気持ちがまだまだ無理って言ってるみたい なにも無理しなくていいんだって自分に言い聞かせてるみたいに


てかやっぱ不幸過ぎない?! こんなJK!!!


恋ってどんなんなんだろ⋯ 好きって気持ちってどんなんなんだろ⋯


「ねぇーカノン できた彼氏のこと好きなの?」


「そーね これからどんどん好きになってくんじゃないかな?」


「今は?」


「好きだよ でも彼氏のこと知ってくともっと好きになるんじゃないかな?」


⋯なんだそりゃ

でもまあ好きは好きってことか⋯ ハッキリ好きって言えるてるだけすごいわ


「好きってどんな感じ? わたしやオトヤのこと好きとは違う?」


「そんなこといちいち聞くな! わたしだって説明とかできないしっ!! ネオン達への好きとは違うに決まってるだろ!!」


「いちいち大きい声出すなよなー 思春期かよ」


わたしは少し困った顔するカノンをかわいいと思った と同時に可笑しかった


「とにかくネオンも早くトラウマから脱出してこい」


なんだかんだ心配してくれてんのよな

カノンは『ネオンが困ってる時わたしはまだ小さくてなんもわかんなかった 今なら助けてやれんのに』 なんてかわいいこと言ってくれる

ホントにかわいい妹 わたしだってカノンになんかあったら全力で守る! もちろんオトヤにだって!!


カノンの言うことわかるけどそんな単純なもんじゃないんだよなぁ

それとも単純なもんなのかなぁ


恋や愛について書いてる本もたくさん読んだ

読んだけど、わかってるつもりなだけ

家族や友だちへの愛ならわかるんだけどな

勉強なんかよりよっぽど難しい

苦手な理数系の問題なんかより難解

わたしにとっての『好き』って感情


こんな気持ちでまたわたしの大切な夏は過ぎようとしていた 









 

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