第10話 高校1年 夏休み
高校生になっても
と、同時に自分がこの先どうふるまって行けばいいのかすらわからなくなっていた
花凜ちゃんが言ってくれたように『わたしはわたしらしく』あればいいとは思ってるし、実際それしかできない
自分が器用でないことはわたしが一番知っていたから
そんな時の救いは部活だった
なにも考えなくてただ走ればいいというものではないのだが、それでも全力で走った後なんかはしばらくなんにも考えれなくなる ただ速く走ることだけを考えていればいいと言うのはその時のわたしにとってはわかりやすかった 余計なことを考える余地はなかった
陸上初心者のわたしは教えられること全てが新鮮だった 言われた通りにすればタイムも縮まった
元々の体格に加えて身体を動かすことが好きなわたしは陸上部の中でもすぐに頭角を表した
記録会という目標に向けて夏休みはひたすら練習した
それも伸びてる間はいいのだけど一度壁にぶつかると途端に苦しくなってくる
顧問やコーチの指導をうけつつ自分でもネットや本で自分に合ったトレーニング方法なんかを見つけようと必死になった時期もあった
そんなわたしを見て声をかけてくれた先輩がいた
同じ100メートルをやってる【高田先輩】って人で説明もわかりやすくて頼りになった
わたしのことすごく可愛がってくれて 先輩ってこんなにいいもんなんだ!ってホントに思えた 3年生ってことで秋の記録会で卒部しちゃうから最後の夏休み二人して練習に汗を流したもんだった 身長はわたしより少し低くいくらいでスラッとした体型はまさにスプリンターって感じのかっこいい先輩 他の部員達と仲良くなれたのも高田先輩のおかげと言っても言い過ぎじゃないくらい
がんばった成果が出て一年生で出場した記録会でそれなりの結果が出せたと思ったと同時にホントに速い人たちの走りを見て圧倒されたのを覚えている
高田先輩もやるだけやった満足感と自分のがんばりを納得してた ここまで打ち込めた自分のがんばりを今度は受験勉強に向けるって言って笑顔で卒部して行ったのホントかっこよかった
きっと高田先輩ならどんな壁だって乗り越えられるんだろうなって思えた
【会うは別れの始まり】
これは自然の摂理だってなんかの本に書いてた
ことわざだっけかな
高田先輩を送った卒業式 先輩ってのを知らなかったこれまでの学生生活 大切な人との別れはそれが永遠じゃないってわかってても涙が出た
卒部の時もそうだったけどわたしたち部員の前で別れの言葉を告げる先輩たちを見て わたしも3年生になればこれだけしっかり成長できてるんだろうか なんて思ったりもした
進級すれば後輩もできる わたしは先輩たちのように後輩になにかを与えることができるのかな
そんなこと考えもした それでもやっぱり
わたしの敵は昨日のわたし、この距離間を忘れずにわたしは部活をがんばろうと改めて思った
決して向上心がないわけじゃないから
いろんな想いを胸に部員たちはがんばっている
わたしの場合の想いは今のところ変わらないってことを再確認したってこと
そうやってがんばる姿を見せたいなって わたしには一生懸命やることしかできないから…
高校に入ってからの一年間はこうしてあっという間に過ぎていった
他の記憶がなんもないんじゃなくて 新しく起こったことが印象的に残るってこと
一学期の例の件以降わたしは部活に熱心になることをいいことに少し周りを見ないでいたのかも
高校生活もまたこうしてわたしはわたしのことだけで過ぎてっちゃうのかな なんて少しの不安を抱えてわたしは2年生になっていった
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