第4話 中学生時代



中学にあがる頃にはわたしの身長は更に伸びてた

クラスでも一つ抜けた存在で目立っていた

あちこちの小学校から集まった生徒の中にはわたしのことを知らない子もいて あらためて驚いてた

もちろん同じ小学校からの男子もいる

心強い女の子の友だちもいる

新たな環境 新たな勉強 新たな友だち

これから始まる中学生活にわたしはワクワクしていた


「ネオンちゃん 背高いねー」

話しかけられやすい要素があるわたしは友だちも比較的早くできた

でもその要素はいいことばかりではなかった

《目立つ》要素とは良くも悪くも働くものだ

知恵の少しついた中学生くらいともなると尚更…


「せんせー! 前がみえませーん!」

ホームルーム中わたしの後ろの男子が笑いながら声を上げる

まだ新しいクラスになって間もなく出席番号順に座っているにも関わらず、だ

こういう調子のいいやつはいつでもどこにでもいる わたしはぐっと堪えるしかなかった

そういう連中は似たもの同士で集まることも多くわたしに対する口撃も✕《かける》人数分になる

『出席番号順に座ってるんだし わたしが悪いわけないじゃん』 そう思うことで自分を慰める そういう行為には慣れてたから 

しばらくして席替えがおこなわれわたしは定位置の一番後ろの席になった

少なくとも『前が見えない』はなくなったことでホッとした と同時に中学に入ってもまだこんなことが起きてくんだろうなと一抹の不安も感じていた


「あの子ね小学校の時から調子いいタイプなんだよ 相手にしちゃ損だよ」

そう言ってわたしに話しかけてきてくれたのは隣の席の女の子「花凜(かりん)ちゃん」だ

カリンちゃんは小学校は違うけど最初から気さくに話しかけてくれてた もちろん目立つことが有意義に働いた結果だった 隣の席ってのもあって他校の友だちじゃ第一号ってなった子だった

新しい友だちができるのは中学生になる楽しみの一つだったからすごく嬉しかった


もう一つ大きな変化があった

バレー部の顧問がわたしの身長を見て入部を勧めてきた わたしは元々身体を動かすのが好きな方だったのでお遊び程度だけどバレーの経験はあったし何より自分の高身長が初めて(役に立つ)認められた様な気になって嬉しかった 体験入部で接してくれた先輩部員もみんなフレンドリーで優しくて期待もしてくれた 

求められるなら精一杯がんばろうって思えたわたしはバレー部に入部することを決意した


新しい環境、新しい友だち、新しい勉強、今までの世界が変わるんじゃないかとワクワクしてた

つまんないからかいもきっと相殺できるくらい今起きている純粋な楽しみを想う方がわたしにとって大きかった!


そう わたしの胸は中学校生活に期待で膨らんでいた









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