シャチのトレーナーとして生きた前世の最期と、公女ルーナとしての現在が静かに重なっていく導入がとても印象的な作品です。
イルカショーを見つめる何気ない場面から、言葉にできない既視感と涙へと繋がる描写は丁寧で、前世の記憶が感情として先に滲み出る構成が美しく感じられました。
家族やメイドとのやり取りは温かく、貴族ものらしい品格を保ちながらも、ルーナの年相応の無邪気さが自然に描かれており、読者が安心して物語に入り込めます。その穏やかさの中で訪れる海の異変と転落は鮮烈で、再会の瞬間に一気に感情を掴まれました。
シャチのアルスは“守護獣”というより、かつての相棒そのものとして描かれており、戦闘シーンですら信頼と絆が前面に出ている点が魅力です。
異世界転生と相棒再会を、優しさと迫力の両立で描いた、心に残るファンタジーだと思います。
シャチが物語の中心に据えられる異世界ファンタジーというだけで、まず心を掴まれました。ものすごく珍しい設定で、しかもかわいらしくて……
海獣アルスの存在は、ありふれた魔物や竜とはまったく違う鮮度を物語にもたらしていて、作品世界に独自の「やさしい重み」を与えてくれているように感じます。
アルスの無邪気さ、誇り高さ、そしてルーナとの触れ合いは、大人の絵本のような穏やかさを帯びながら、でもどこかで、胸の奥を深く揺らしてくれました。
しかし、この作品がただ可愛いだけで終わらないのは、シャチという生き物の“現実”を忘れていないからですね。
海を奪われた存在が見せる不調、ストレス、そして爆発──それがひとたび起こると、物語は癒やしの裏側に潜む痛みをやわらかく伝えてくれます。この優しさと残酷さの二重写しの構造。むしろ大人だからこそ沁みる冒頭ではないでしょうか。
それでもルーナはアルスを愛し、アルスもまたルーナを世界のすべてのように慕っています。その関係性は「飼育」「使役」ではないのが、この作品のすごくあたたかいところです。
互いの孤独をあたため合うような……そしてきわめて人間的な絆のような……
ここにこそ、本作の美しさがあるんだな、とここまでで感じました。
今回の「事故」は、確かに痛ましい出来事です。しかし同時に、物語が大きく息を吸い込み、次の章へ踏み出すための“兆し”でもあるのだと感じました。
海なき日々が限界を迎えつつある今、アルスとルーナはどの道を選ぶのか。海へ? 冒険へ? それとも新たな出会いへ?
静かで愛らしい第一幕を経て、いよいよ物語が広い海へと解き放たれる予感があります。
この一人と一匹のかわいらしくて癒やされる物語が、どんな展開を迎えていくのか。
今、疲れている人にこそ、読んでもらいたい物語だと感じました。でも何が起こるのか……。なにせ、シャチ……。
予想ができません……!
シャチのアルスとトレーナーである女の子。
しかし、トレーナーである彼女は水族館のパフォーマンス中、不慮の事故で命を落としてしまう。
公爵家の令嬢、ルーナ・ダックリバーとして2度目の人生を送っていた彼女は、とあるきっかけでアルスと奇跡の再会を果たし……転生前の記憶を思い出し……。
とにかくルーナもシャチのアルスも可愛らしくて序盤から凄く惹き込まれる作品です。
原作者様の作品は色んな動物との触れ合いや愛に包まれた冒険ファンタジー作品が沢山あるのですが、これからルーナと愛らしいアルスを通じてどんな物語が産まれるのか、先が凄く気になる作品です。まだ序盤のみ展開されていますが、これからの期待を籠めてレビュー投稿させていただきます!