第1章:ヴァイキング、東の果てへ

西暦八世紀から十一世紀。北欧の海を舞台に、恐るべき航海者たちがその名を轟かせた。ヴァイキング。彼らは優れた造船技術と大胆な航海術を駆使し、ヨーロッパ各地を侵略し、交易路を築き、遠く離れたアイスランドやグリーンランド、さらには北アメリカ大陸の一部にまで到達したと言われている。

彼らの操る長船(ロングシップ)は、細長く、竜の頭を模した船首を持つ優美な船だった。荒れ狂う海原をものともせず進むその姿は、まさに海の狼そのものであった。しかし、彼らの活動範囲は主に西ヨーロッパであり、ユーラシア大陸を横断し、極東の島国である日本へと到達するには、想像を絶する距離と、幾多の困難が待ち受けていた。

当時の航海技術では、正確な方位を知ることは難しく、海流や風向きに大きく左右された。ましてや、太平洋を横断するような長距離航海は、ほとんど不可能に近いと言えるだろう。そして、日本近海は時に猛威を振るう台風の通り道である。もし、一隻のヴァイキング船が、故郷を遠く離れた海域で予期せぬ嵐に遭遇したとしたら……。巨大な波に翻弄され、見慣れない星空の下、なす術もなく東へと流されていく可能性は、決してゼロではなかったかもしれない。

想像してみてほしい。吹き荒れる嵐の中、木造の船体は軋み、容赦ない波が容赦なく襲いかかる。乗組員たちは必死に舵を取り、帆を操るが、自然の猛威には抗う術もない。数日後、嵐が過ぎ去った時、彼らが目にしたのは、見慣れない海岸線だった――。

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