第2話
「あの、ここは…」
スナックとも知らず、店内に入ってしまった。色んなところにお酒がある。そして、ちょっとむせ返るアルコールの臭い。
「奏多君、リカの息子でしょ?」
「リカ…あ、お母さんの事?」
「そう、リカは私の所で働いてるの。でも最近出てこなくてね、何か知ってる?」
「携帯ばっかり弄ってて…僕もわかりません。」
んー、と呟くその人は、きっと「ママ」と呼ばれる人なのだろう。
とても香水の臭いがする。そして、見た目が派手である。
身に付けているものは、どれもブランドというものだろう。
お母さんの持ってる様なものもあった。
「リカね…奏多君の事、よく写真とか話とか聞いてるんだけど…可愛がってるとか言ってたけど違うようね」
僕の姿を見て、そう言ったのだろう。
ボロボロに近いようなシャツと短パン。
お風呂も何日も入ってない状態。そして片手には1,000円札を握りしめている。
「今日、リカ来なかったら奏多君の面倒は私が見るわ」
そう言ったのはママさんだった。
ママさんの名前は恵美子さん。
人生経験はとてもありそうであり、僕の目を見て言ってくれた。
その顔は本気だったのだろう。
眼差しが凄かった。
「リカはね、奏多君みたいな状況で育ったの。分かりやすく言うとね、リカのお母さん…おばあちゃんが育ててくれなかった。
高校は入らず、中学から荒れててね。それで夜の道に来たって感じなのよ。」
よくある様な話だけど、こんな話があるんだと、思ってしまった。
「奏多君、お母さんとは決別しなさい。私がしっかり、大人になるまで面倒見るから。これは嘘じゃない。リカのように嘘をついてほしくない。」
…お母さんは嘘つき
なら、僕も嘘をつこう。
「わかりました、お母さん」
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