第2話 霊感少女とデートに行った結果

 土曜の9時半。待ち合わせのバス停の前まで俺は来た。


 何やら強烈な寒波かんぱが来ているらしく、10月だってのに2月並みに寒い。柔らかく降りそそぐ朝日もこの北風の下ではぬくもりの一つも残らない。


 そんな状況でだ。


 バス停の前に異質な奴が1人、いた。


 モサモサの灰色のファーが付いた、エナメル質の白いレザージャケットに、ピンクのヒョウ柄のシャツ、スパンコールがちりばめられたエグいミニスカートにトンボみてえなクソデカサングラスを掛けたケバい女がそこにいた。


 ……おいまさかアレじゃねえだろうな。

 

「あっ! いたいた! ソウくーんっ!!」


 ケバい女がブンブン腕を振ってきた。アレかい。


 深く吐いたため息が白く空へ昇っていった。

 

 ――何そのカッコ? 普段からそんな感じなん?


「おめかししてきたんだよ! デートじゃん今日っ!!」


 うん。まあツッコミどころはそこかしこにあるのだけれど。


 それよりもだ。


 ――お前さ、寒くないの?


「さ、寒くない……」


 ――ホントは?


「寒くないって! ソウくん知らないの? ギャルは寒さに強い生き物なの!!」


 そんな生態は知らんが。しかし目の前の彼女は明らかに震えているし、足にも鳥肌が立ってるし、くちびる若干じゃっかん紫がかっている。


 流石にこんな凍死一歩手前みたいな人をほっとく訳にもいかず。


 ――まず服買いにいくぞ。


「えっ、でもバスがもうすぐカチカチ」


 ――歯が鳴ってまともに会話も出来なくなってるじゃねえか。いいから。服代ふくだいは俺が出すから。


 そう言って俺は海夕を強引に近所の衣料品店「しまくら」へ連れて行った。


 安物だが厚手で温かいウインドブレーカーにジーンズ、あと海夕が欲しいと言って聞かなかった薄いピンクのキャップを合わせて買ってやった。


 流石に一式買うとそこそこの値段になったが、問題はない。今日海夕と会うと言ったら、親父の奴がふんぱつして小遣いを多めにくれたからな。「来月分の前借り」とか言ってたが、酒を飲むとたいていの事は忘れる人だから来月もそしらぬ顔で受け取ろう。


「はあ、温かい……ソウくんの愛を感じざるを得ない……」


 それ多分中の羽毛とアルミ素材のぬくもりだぞ。


 俺達はバスに乗り、奥側の席に2人で座った。乗客は俺達以外には近所のおばあさんらしき人が1人。国道から離れたニーズの低いバス停で朝という時間帯、利用客なんて俺達くらいなんだろう。


「服だけじゃなくてバッグまで買ってくれるなんて、ソウくん太っ腹~!」


 ――元々着てた服をビニールに入れて持ち歩くのは不便だろ? それよりそのキャップは買う必要あったか?


「むー! これがあることによって辛うじて可愛い感じになってんの! せっかくカットしてもらった美容室のお姉さんには申し訳ないけどさ」


 気合い入れすぎだろ。今日で別れるってのに……


 窓際に座った海夕は、窓の外のものを指さしては楽しげにはしゃぐ。


「見てーソウくん! 柴犬! お散歩してるよー! ソウくんはどんな犬が好きー?」


 ――パグ犬。


「わたしハスキー犬好きなんだよね~! コワモテの犬が好きなんてわたし達相性バツグン~」


 パグ犬はそんな強面じゃなかった気が。


「わー見てみてソウくん! 海が見えるよー!」


 ――そこ汽水域きすいいきでまだ川だと思うぞ。


「ソウくん見てー! 向こうの雲の隙間から朝日が差し込んでる! 天使とかいて出そー!」

 

 ――そうすか。


「見てソウくんー。猫―。ノラネコー」


 ――うーす。


「見てソウくんー。ナンバーが666の自動車が走ってるよー」


 ――オイちょっと待てマジか? そういう番号普通は通さないはずじゃねえのか? わざわざあんな番号取る奴も通したディーラーもおかしいだろ。


 俺が思わず窓際に近寄ちかよると、海夕がくすくすと笑う。


「ふふ、なんだか遠足みたいで楽しいねー!」


 ――そうだな。デートってか遠足だなこれは。


 そう言うと、海夕は「しまった」と愕然とした顔を見せた。


「え、え、えーとえーと! お、お菓子! あーんして食べさせたげよっか!?」


 ――いやいらないし。車内で食べるのもマナー的にどうかと思うし。


「じゃ、じゃあさ! 見つめ合ったり手を握り合ったりしたりしない!?」


 ――しないよ。なんでだよ。言われてやるのおかしいだろ。雰囲気もへったくれもないし。


「雰囲気……そっか! ムードを盛り上げる感じの会話とかそういうやつ……えーと……よし!」


 海夕はゴソゴソとバッグを漁り、中から例のこっくりさんペーパーと十円玉を取り出してみせた


「KKS、KKS―。彼がグッとくるセリフとかムード盛り上げる会話とか教えて~」


 またしても紙の上でひとりでに動く10円玉。……まあバスの揺れで動いているのだろうが。答えが出るまで時間が掛かりそうだな。


 必死な顔で10円の行く末を見守る海夕をよそに、俺は目的地に着くまで仮眠を取ることにした。早起きして眠かったしな。


 心地よいバスの揺れに身を任せ、俺の意識はしばし眠りのふちぼっした。




「えーと……ここ? で合ってるの?」


 呆然と問いただす海夕に、俺は無言で頭を抱えるほかなかった。


 バスを降りて10分ほど歩いて着いた場所。看板には「大無量照見だいむりょうしょうけんランド」と書かれていたが……目の前には、木や草が伸び放題でろくに手入れのされていない、朽ちた植物園のような場所が広がっていた。


 ……飯田の奴によさげな所を探してもらい、近くに穴場の遊園地的なものがあると言うから来たってのに……あの野郎ぶっ飛ばす。


「と、とりあえず、入って……み、みる?」


 ――いや止めよう。こんな陰気くさい所入っても楽しめねえだろうし。その辺で飯でも食って解散でいいんじゃないかな。


 俺がそう言うと、海夕はなぜか焦って俺を引き留めた。


「え、え、ご飯食べてすぐ解散!? いや~でもでも! ここってよく見たらすっごい素敵な場所じゃない!? 緑がいっぱいでいややされ放題!?」


 ――陰鬱いんうつとしてて気が滅入めいりそうの間違いだろ?


門構もんがまえは独特だけどホラ! 中に入ったら良い感じかもじゃん! とりあえず入ってみようよ! せっかくここまで来たんだしさ!」


 ……まあ、確かに最後のデートだってのに飯食って終了じゃあんまりだよなあ。


「あっ! 入るんだね!? オッケオッケ! あ、そうだえーとコホン……今夜は君と熱々の油揚あぶらあげを分かち合いたい……!」


 なにそれ? あ、バスでこっくりさんに聞いてたロマンチック台詞か。いやなにその殺し文句?


「……どうすか?」


 ――どうでもいいけどこっちの道に行けばいいのかな?


「ああっ! スルーの挙げ句放置しないで~!」


 しばらく園内えんないを海夕と2人で歩いたが、行けども行けども枯れ木と草ばかり。一応歩道の枯れ葉はある程度片付けられているから、運営はされているんだろうが。


 歩きながら、海夕がニヤニヤしながら何度も俺の手に手の甲をぶつけてくる。きっと手を握って欲しいのだろう。仕方ない。


 俺が上着のポケットに両手を突っ込むと、彼女は後ろでむすっとした顔をした。周りには全くと言って良いほど人はいないが、そういういかにもなイチャつき方するのは勘弁かんべんだ。


 途中でツタにおおわれた案内図を見つけた。この先に「大如来だいにょらいジェットコースター」なるものがあるらしい。名前もアレだしこの案内図自体も何十年も放置されてるようなボロっちさだし、すげえ嫌な予感しかしない。


「うわあ……どうする?」


 ――まあ、ちょっと様子見に行くくらいならいいんじゃないか?


「う、うっす……!」


 俺達はジェットコースターを目指して移動し……そして戦慄せんりつした。


 ペンキが剥げて所々穴すら空いてる木製ゴンドラ。真っ茶色にびついてるレール。


そして曲がった立て札には「大如来ジェットコースター」と手書きで書かれていた。


 うん。これ無理だ。


「ソウくん……まさか」


 乗らないよ? 100万もらったとしても乗らないよ?


 そう言おうとしたその時、唐突とうとつに背後から声を掛けられる。


「ほい、二名様ね?」


 見ると、作業着姿のおじいさんがプルプル震えながらそう言った。


 え、まさかこの人ここの係員? ホウキ持ってるしどっちかというと用務員って感じなんだが。


「おお、もう十年ぶりか、二十年ぶりか……コースターに乗るお客様は……」


 うっ……

 

 感極かんきわまったように手を合わせ、満面の笑みを浮かべるオジイ。これから速攻で戻ろうとしていただけに、感謝されるのはキツイな……


「ソウくん……」


 ――行くしかないかな……


「マジかあ……」


 こんなトコに連れてきて悪かったなあ。オジイの手前てまえ口にはできなかったが、海夕に謝罪しつつ俺達はその崩壊気味ジェットコースターに乗り込んだ。


「うん。シートベルト締めて。でねー……これはそんなに速くないから大丈夫―……そう、手前のブレーキを引けば止まるから……最後に引いてねー……」


 ニコニコしながらボソボソそう説明するオジイ。もうジェットコースターでシートベルトって時点で逃げ出したい所だが、乗ってしまったからには仕方ない。


「ソウくん……手、にぎってもいーい……?」


 不安げに俺を見上げる海夕。イチャイチャするのは勘弁かんべん……なんて言えないよな。俺が連れて来てしまったんだから。


 俺は頷き、彼女の手を握ろうとした、瞬間。


「ほいグッドラック―」


 オジイがそう宣言し、ゴンドラを抑えていたストッパーを外した。


 ミシミシという不穏ふおんな音と共に、ゴンドラはゆっくりと動き出した。


「……あれ? あ、なんだー。ほんとにそんなに速度は――」


 そして。


「――んぎゃあああああっ!!」


 海夕の声がたちまち悲鳴に変わる。


 急に70度の下り坂が現れ、ゴンドラが一気に落下したからだ。


 ……そう落下だ。その表現で間違いない。一瞬の浮遊感と同時にガゴン!! とレールにぶつかる激突音と突き上げる衝撃。がつんがつんとレールの上をバウンドしながら下るゴンドラ内は、さながら岩肌にぶつかりながら谷底へ落下する事故車に乗っている気分だ。


「んわあああーーっ!?」


 速度を維持したまま左へ急カーブ。右側に嫌な浮遊感があったが……オイこれ片輪でウイリーしながら曲がってんじゃねえのか!?


「のおおおおおーーーっ!!」


 上下のアップダウンを繰り返すレールに従い、ゴンドラがガタガタ激しく揺れながらアップダウン。恐怖に耐えかねて海夕が俺に抱きついてきた。


 服越しに伝わる柔らかい感触が嬉しい――とか思ってる場合じゃねえ! いまなんかバキッ! つったぞ! 何の音だ!! オイ何が壊れた今オイ!!


 上下左右にガタガタ震えたりねたりしながらび付いたレールを走るゴンドラ……薄々思っていたが、確信した。


 やっぱこれジェットコースターじゃなくただのトロッコじゃねえかぁー!!


「ソウくん! 前っ! まえ――っ!!」


 速度がおとろえないまま、前方にせり出す岸壁がんぺきと、経年劣化でひび割れた黒いクッションのようなものが現れた!

 

 そ、そうだブレーキ! 最後にオジイが引けっつってたやつ! 今! 全力で引くっ!!


 バキン。


 ……は? 折れた?

 

 オイ! はあっ!? ブレーキ掛けるレバー壊れたんですけどおおっっ!?


「ソウくーーんっ!!」


 ズドオッッ!!


 轟音ごうおんと共に、劣化して固くなったクッションに激突した衝撃で俺達の体は20センチほど浮き、ゴンドラが着地すると同時に首と腰とケツに重大なダメージを負った。


 あ、死んだかもしんない。


 そんな嫌な予感がよぎったが――首とケツと痛みが現実へ引き戻してくれた。痛みは生きてる証拠だ。俺はあんまり意味がなかったシートベルトを外し、呻きながらなんとか事故ったトロッコから立ち上がる。


「う、うう……ソウくん、わたし、生きてる……?」


 ――ああ、俺達は生き残った……!


 なんか洋画とかでありそうなセリフをかわしつつ、ぐったりする海夕の手を取り、なんとか引き起こしてやった。


 すると――背後で唐突なシャッター音。


「ほい。これサービスね。パタパタして乾かしてね?」


 そう言い、オジイが俺達がゴンドラから降りる所をポラロイドカメラで撮った写真を渡してきた。


 いやそれジェットコースターに乗ってる時に撮るやつじゃねえのか……


 心底ツッコミたかったが、今の俺にそんな余裕も無く、力のない苦笑いで済ませるのが精一杯だった。


「うん。けっこう叫んでたけど、怖かったかい?」


 その一言に、俺は軽くキレた。


 ――怖かったわ別の意味でな! 次は確実に死人が出るからな! ちゃんと直すかできないなら二度と誰も乗せんなよこれマジだからな! 上司とかに言っとけマジで!!



「あ、あ? あー……うんわかった。伝えるよー……大丈夫……」


 うわ絶対大丈夫じゃないやつ。


「大丈夫だよソウくん、ここ来る人とかわたし達くらいだろうしさ……」


 なるほど確かに、とかそういう事じゃねえから! ブレーキ壊れたトロッコとか人を乗せていいもんじゃねえんだよ!


「悪かったねえ……他は、安全なアトラクションばかりだから、楽しんでね? うん……」


 本当に改善してくれんだろうな、アレ。気を取り直し、俺達はオジイが案内してくれた他のアトラクションへと向かった。

 


◆◆◆



「いえーい。ソウくん見てるー……?」


 ――おーう。


 俺は力なくこたえ、木製のバーを押して周囲をめぐる。


 すると海夕が乗っているペンキの剥げた馬も連動し、円形の台の周囲を回る……オジイはこれを「マニ車メリーゴーラウンド」とかほざいていた。


 馬が回ればメリーゴーラウンドだと思っているなら全世界の遊園地に謝って欲しいし、肝心かんじんの馬も一台だけで上下に動いたりしないし、サビだらけの囲いがあるだけで天蓋てんがいもない野ざらし状態のコレを子供がみたら絶望しそうだな。


 相変あいかわらず動力も電気なんてハイカラなものは使わず、俺がバーを押して回ることで動かしてるだけだ。なんか、大昔のアニメでこんな刑罰けいばつ受けてる囚人の様子とか見た気もする。なんで休みに刑罰受けてるの俺?


「ソウくん、大変じゃない? 疲れてない?」


 ――いや別にそこまででもない。そっちは楽しいか?


「……言うまでもないんじゃないかな」


 ため息まじりにそう言う海夕。ですよねー。


「あーでもスゴイよコレ。このハンドルくるくる回すと馬も回るんだー……」


 うん。それはもうコーヒーカップですね。


 2分くらいで飽きて出た俺達を、オジイかまたポラロイドカメラで撮影する。だから写真撮るの遅いんだよ!


「よく撮れたよ~……それで、次のアトラクション行くかい?」


 ――もういいよジイちゃん。助かったよマジで。


「ああ、そうかい? ……じゃあ、後は2人で楽しんでねぇ」


 オジイは竹ぼうきを手に荒れた庭園の管理へ戻っていった。


 ――もうここ出て別の所行くか?


「ま、まあでもこんなとこ滅多めったにこないし、しばらく見て回ってからでもいいんじゃない?」


 見るべきものがあればいいんだけどな。


 しばらく海夕と園内を歩き回ってみた。


 生い茂る雑草。緑色ににごったコケまみれの池。ところどころに謎のお坊さんのオブジェがあるが、看板もち果てておりなんて書いてるのかすらわからない。


 ……なんか、廃墟探索はいきょたんさくでもしてる気になってきた。


「違う意味で雰囲気あるよねー……」


 海夕が落胆らくたんしたようにため息。


 そういえば、いつもはどこそこに霊がいるだのなんだの言ってるのに、今日は全然言わないな。


 ――ここには霊とかいないのか?


「いるよ! そこら中にいるけど! 言ったらソウくん嫌がるじゃん!」


 嫌がるってかうんざりするってだけだけどな。脳の錯覚か《さっかく》何かだろうに、非科学的な。


 ――霊感とか? そういうの本当にあるんだったらよ、なんか実証じっしょうできたりしないのか? 宝くじ当てたりとか? そういう力でなんとかできるんじゃねえの?


「あー……うん。それは、できない、かな」


 ほらみろ。やっぱり霊感なんてのはウソッぱちだ。


 そう思ったが、海夕はやや言いづらそうな様子で、口を開く。


「やろうと思えば……できる。土地の神様にお願いすれば、当たりクジを見分けることはできる、けど……それは絶対にやっちゃダメなんだよ」


 また妙な言い訳をしてるな。ややうんざりする俺とは対照的に、海夕はこれまでにないほど真剣な表情をしていた。


「これはばーちゃんの受け売りなんだけど……わたしたち人と、霊や神様は別々のことわりに従ってるんだって。

 わたしたち人は“因果”にしばられている。これは悪い事をしてたら悪い事が返ってくるし、良いことしてたら良いことが起きる、みたいな。よくいう因果応報いんがおうほうってやつ」


 因果応報ねえ。あくどいことしてる奴はたいていもうけていて、なにも悪い事をしてない善人を食い物にする。それが世の中の縮図しゅくずじゃねえのか。全然応報おうほうされてねえぞ。


「霊や神様は“言葉”に従う。人を間違った道から正しい道に導いてくれる神様だって言われればその通りの神様になってくれるし、災いから守ってくれる存在だって言われればその通りにする……罪を犯した人をさばく神様だって言われれば、人が亡くなった後にその通りに裁く存在になったり、とかね」


 言葉って。ロボットかAIみたいに言えば何でもしてくれるってか? そんなアホな。


「人と霊はそもそも別の理に従う別々のエリアに分かれてる存在だってこと。ばーちゃんが言うには“地分ちぶん空分くうぶん”っていう考え方みたいなんだけど。

 ……でも、そういう均衡を壊す方法がひとつ、あってさ……」


 海夕は憂鬱げな息を吐き、また語りはじめる。


「それは、“願い”をすること。お金が欲しい、とか。頭がよくなりたい、とか。将来うまくいきますように、とか……ねたましい人やにくい相手を呪って欲しい……とかね。

 そういう言葉にはさ、“因果”が混じってるんだよ。因果に縛られてとされた神様や霊は、やがて人に災いをもたらす悪鬼や悪霊、魍魎もうりょうに変わる……って、ばあちゃんが良く言ってたんだ」


 ――いやでも、初詣に行ったときとか、願掛がんかけしたりするとき、誰でもお願いはするだろ? 神様に願っちゃダメとか、どういうことだよ?


「うーん、だからそういう時もホントはお願いしちゃだめなんだよね。神様に願いや救いは求めちゃダメ。神様は見守ってくれる存在。導いてくれる存在。

 だから日頃の感謝や抱負ほうふを言ったり、これから成すべきことを誓ったりだとか、そういうこと以外は基本的に言っちゃだめなの」


 ――よくわかんねえな。神様ってお願いを叶えてくれるもんじゃねえのかよ。


「わたしもそれ訊いたことあるんだけど、ばーちゃんが言うには、願いを叶える神様は代償だいしょうも与えるんだって。1人だけいい目を見ればその後必ずしっぺ返しを食う。それが“因果”だから。それで、そういう神様に頼ると最後は悲惨な末路になる、とか」


 なるほどわからん。


 俺はため息を吐き、言った。じゃあ他に何か、霊感に関することはできるかと。


「うー……ん、と……あっそうだ! 念写ねんしゃ! できるよわたし!!」


 念写ってなんだ? とくと、どうやらカメラに念じて思い浮かべたものを写真に写す能力なのだそうだ。


 ――いや、カメラとか俺持ってないんだけど。


 俺がそう言うと、海夕はフフンと得意げに胸を張る。


「実はスマホに念写できるんだよわたし! スゴイ?」


 ――はあ。じゃあやってみて?


「オッケ! じゃあソウくんのスマホに念写するよー……んぬぬぬぬぬぬ、ふんむぬぬー……」


 海夕は左右のこめかみに人差し指を当て、うんうんうなり始めた。


 何やってんだか。トイレ行きたいのか? と言いかけたその時。


「んぬぬぬー……ニンっ!!」


 ピロリン。


 タイミングよく、俺のスマホが鳴った。見ると、画面上部に“この画像を保存しますか?”との表示が。


 ……マジか?


 おそるおそる画像を開き――俺は愕然がくぜんとした。


 画像には、俺と海夕が満面まんめんの笑みを浮かべ、お互いの手でハートマークを作っているような浮かれカップルじみた奇行が映っていたのだ。


「ふーっ! 久々だけどうまくいった! いい汗かいたぜーっ!!」


 海夕はキャップを脱いでひたいの汗を手の甲でぬぐう。


 そんな彼女の様子に、俺は確信した。


 ――ふざけた画像加工しやがって。お前のスマホからこの画像送ったのか? 何が念写だまったく。

 

 スマホの“保存しますか?”の問いにはもちろんキャンセルをくれてやった。


「ああっそんな! うー……欲望が出過ぎてて逆に作り物っぽく見えちゃったかー……なんという痛恨のミス……」


 頭を抱えてひとり悶える海夕。


 俺はあきれつつ、そんな彼女に言った。


 ――もういいよ。やっぱ霊感とかそんなのは無いってわかったしよ。それよりこっちこいよ。ここは眺めがいいぞ。


 上へ上へと歩いているうちに、俺達は展望台までやってきていたようだ。石造いしづくりの囲いから遠くの町並みを見渡みわたすことができた。


「わーほんとだー! 風が強めで寒いけど、いい景色―っ!」


 海夕は石囲いへぴょんと腰掛け、眼下の町並みを見晴るかした。


 吹き上げる風が海夕のキャップから伸びる長い黒髪を揺らす。木々の薄いブルーの日陰ひかげの中でも、その髪は、彼女の笑みは、輝いて見えた。


 そんな姿に、俺は無意識にスマホを探り――その一瞬を写真に収めようと――


「おっ? ピース!!」


 収めようとしたがやめた。


「あれ? 撮らないの?」


 ――別に記念写真みたいなやつ撮りたいわけじゃないから。


「ソウくん写真撮るの好きだよねー。将来はカメラマン?」


 親戚のオッチャンみたいな事言うなよ。


 ――別に好きってわけじゃない。俺はただ、しんでるだけだ。


「惜しんでるって、なにを?」


 ――その日が消えちまうことをさ……いや、そうか。これは母さんが居なくなってからのクセだな。


 ……母さんは俺が6歳くらいの時に親父と離婚した。


 離婚の原因は……幼い頃の俺だ。


 あまり覚えていないが、小さい頃の俺はよく霊やら怪異かいいやら、何か大人には見えない存在を見つけては両親にそれを報告していたらしい。


 最初は子供の言うことだからと受け流していたらしいが……だんだんと、母さんは俺の言動で精神的に参っていったらしい。


 夜中ふと目をました時、ふすま越しに母さんと親父が話し込んでいるのを聞いた。


 母さんは、『もう限界』とこぼしていた。


『“湯気みたいにゆらめく大きな顔がずっと睨んでる”とか、“おじいさんみたいな顔をした毛むくじゃらの大きい猿が、ずっと笑顔で手招てまねきしてる”とか……イタズラにしては気味が悪すぎるのよ』

 

『子供だからさ。そういう妄想をしてるだけさ』


『わたしだってそう思ってるわよ……でも、わたしも最近なんだかあの子が言うバケモノが見えてきた……ような……』


『……』


『目のはしに、一瞬見えたのよ。黒い毛むくじゃらの老人みたいなやつ。よだれを垂らしながら笑ってて……わ、わたし、これからどんどん……見えるようになったら、アイツが家に……!!』


『……別れようか』


 翌日の朝の光景をよく覚えている。


 起きるといつも台所にいる母さんがいなかった。


 汚れた食器が放置された台所に、朝日がさびしく差し込んでいた。


“オバケが見える”なんて、馬鹿げたことを言い続けたから。母さんは俺を捨ててしまったんだ。


 母さんが家に居た証。残っていたのは、俺の誕生日に撮られた写真が一枚。


 もっと母さんとの写真が残っていれば良かったのに。俺が写真を恥ずかしがったから、親父もあまり家族写真を撮ろうとしなかった。


 写真が1枚きりじゃ足りない。ウソのように居なくなった母さん。俺の思い出の中で楽しそうに微笑んでいた母さんの記憶。たった写真1枚じゃすぐに消えてしまうような、そんな気がして。


 だから俺は、1日が過ぎてしまう事を心のどこかで恐れるようになってしまったんだと思う。


 次の日には大切な人がいなくなるかもしれない。だから、本当に居た証を少しでも残したかったのだろう。


 スマホを買ってもらってから、なんてことのない日常を写真に収めるようにしていたのは、きっとそんな幼い頃のトラウマが原因なのかもしれない。


 ……そこまで話して、俺はいままで親父にも言ったことのない事を彼女に告白していることに気づいた。


「……そっか。だから……オバケの話を嫌ってるのも……」


 ――別に嫌ってはいないさ。ただ、馬鹿馬鹿しいと感じるだけだ。いもしないものを怖がって、それを人に伝えてその人も怖がらせて……何の意味もない。存在しないものに振り回されるなんて、くだらねえ。


「うん、そっか……」


 せっかくいい景色なのに、湿しめっぽいこと言ったせいで台無しにしてしまった。


 俺は自分のいたらなさを少しだけ恥じ、海夕に「もう帰ろうか?」と持ちかけた。


「あっ、でも待って。向こうに何か建物があるよ。ご飯とか食べられる所かも?」


 こんな廃墟みたいな所で出てくる料理とか食べるの怖いんだけど。


「とりあえず行ってみない? ……ヤバそうだったら帰ろ?」

 

 まあどんな施設なのか気になるし、行ってみるだけならいいか。


 俺達は荒れた庭園を横切りながら、遠くにある緑色の屋根の建物へと向かった。


「えっと、ごめんください、誰かー……」


 例の建物の中は、何やら本棚やらお地蔵さんのオブジェやらよく分からない文字の掛け軸やらがひしめく異質な空間だった、


今時LEDですらない汚れた蛍光灯けいこうとうの下、奥から出てきたのは、頭を丸めた作務衣さむえ姿の中年男性ひとり。


「やあ。君達は六顕大師りくけんたいしこうに触れに来たのかな?」


 初手で意味不明じゃねえか! もう帰ろう!


 海夕の腕を引いて出ようとすると、オッサンはそれを察知したのか、俺達の帰路を阻むように先回りし早口でまくしたてる。


「六顕大師は我々を真の解脱へと導いて下さったそれはそれは偉大なお方でした。やはり知らない? 君達二人はここは初めてかな? ここがどういう施設かもわからない? 大丈夫大丈夫!  ここではそんな君達でもあの方の功に触れられる特別な体験イベントをしているんだ! 興味あるよね!? さあ行こうすぐ行こう!!」


 やべえ。この人完全に目がイッてる。


「そ、ソウくん助けてー!!」


 海夕の悲鳴。振り返ると、別のオッサンが海夕の肩をつかんで近くの和室へとグイグイ押し込んでいた。


 ――ちょ、ちょっと待て! あんたら何やって――


「さあ! 若いカップルの二人には特別に!  六顕大師の写経しゃきょう体験をしていただきます!!」


 ウキウキの作務衣のオッサンとは対照的に、俺達は半ば強制的に筆を握らされ、沈んだ顔で白い半紙の前に座らされた。


 これ……やらなきゃ帰れない感じか? 写経とかやりたくないが一応やっとくか……それで変な宗教に入らされそうになったら暴れてでも帰ろう。そしてここをオススメした飯田はとりあえずぶちのめそう。


 海夕は大丈夫だろうか? おびえてはいないだろうか?

 

 隣の彼女を見ると……彼女は目を閉じ、何度かゆっくりと深呼吸を繰り返していた。

 

 おい、どうした――そう声を掛けようとした、瞬間。


「っ!!」


 海夕はカッと目を見開き、突如とうtじょ凄まじい勢いで半紙に筆を走らせた。


「お、おおっ!?」


 近くのオッサン達が仰天ぎょうてんしている間に、海夕は半紙はんしいっぱいに達筆たっぴsつすぎて読めない感じの字を素早くしたためた。


「き……君は一体……?」


子細至献しさいしこん。子細にいたるまで己を捧げよ。されば真の悟りへの道は開かれん。今のお前達にこそこの言葉をくれてやる」


「ああっ! そ、その口ぶり! そしてその字は! まさか六顕大師様りくけんたいし!?」


法恩ほうおんよ。見ていたぞ。ワシが死んだ後にお前達が堕落だらくしていく様をな」


「わ、私の名を……やはりあなたは六顕大師様っ!!」


 ……やべえ。何が起きてるかわからんが、このままは絶対にヤバイ!


 俺は海夕の名を呼びながら、何度か肩を揺すってやった。すると。


「……えっ? あれ、ソウくん? わたし……あっ! もしかして降ろしちゃった!? ナントカ法師って人!?」


 ――降ろしたってなんだよ?


「いやあ、うまく書こうとして集中したら、そのナントカ法師って人の魂を降ろしちゃったっていうか……イタコしたっていうか……」


 いやすまん。わけわからん。


 振り返ると、背後のオッサン達が何やら興奮しているように話し合っている。ヤバイ。これはヤバイ。


 ――とにかく、帰るぞ。


「ら、ラジャー!」


「むっ!? まさか逃げる気か!! あの子は予言されし約束の子に違いない――皆のもの、であえであえーっ!!」


 オッサンの号令と共に、建物の奥から5、6人の坊主頭の集団がなだれ込んで来た!


 ――やべえ!! 逃げるぞ海夕!!


「ひえええやっぱり来るんじゃなかったこんなとこーっ!!」


 俺は靴を履き終わった海夕の腕を素早く引き、オッサン達を引き離して、この危ない宗教テーマパークの敷地外まで出ることができた。


 荒い息のまま、近くの壁面に体を預け、俺達は無事逃げ延びたことを確信しお互い笑みを交した。逃げてる最中にあのオジイが俺達の姿をまた写真に撮ってたが、それももうどうでもいい。


「はあ……ヤバかったあー……」


 ――悪い。もうちょっとちゃんと調べてりゃこんな所こなかったよな。


「んーん! わたしが降ろさなきゃあんな事になってなかったから! わたしこそゴメンナサイ!」

 

 両手を合わせて平謝ひらあやまりする海夕。いや、降ろすとかそもそも何のことやらなんだが。


 ともかく、気を取り直してその辺で飯でも――そう言いかけて、気づいた。


 あたりは、すでにとっぷりと夜のとばりが降りていた。


 …………


 いや、ちょっと待て。おかしい。


 急いでスマホの時計を確認する。スマホの画面は、現時刻として13時19分を指し示していた。


 おかしい。なんだよこれ。おかしいだろ。


 日食にっしょくかなにかか? いやそんな天体ショーが今日起きるなんて聞いてない。じゃあなんで昼下がりでこんな夜みたいに暗いんだよ?


 唖然あぜんと周囲とスマホを見交していると――悲鳴。


「いやあああっ!!」


 海夕の悲鳴だった!


 ――おい! どうした!!


 頭を抱え、ブルブルと震える海夕。


 彼女が目を背ける、その対面に――異常な存在がいた。


 暗闇の中でなお黒い、影が立体として表れたような、漆黒の存在。


 地面まで粘っこく垂れ下がる髪。ガラス細工のように細長い腕と首。


 その顔は髪に隠れて見えず、口元だけが何かをブツブツ呟きながら、


 ゆっくりと、両腕に抱えた四角い何かをこちらへ差し出してくる。


 木の箱だ。長い年月が経ち黒ずんだ木の箱。


 俺は――何故か俺は、その箱には何者かの首が納められているのではないかと感じた。


 その箱から――異様な気配、視線、を感じ取ったからだ。


 やばい。


 直感。こいつはやばい。あの箱を受け取ったら、終わりだ。


 黒い影の女が海夕へと近づく。狙いは、彼女――


 そう理解した瞬間、とっさに体が動いた。


 恐怖でうずくまる彼女へ掛けより、無理矢理両腕でかかえて逃げる!


 力の限り走った! あの異様な影に追いつかれないように! 


 振り返って影の様子を確認する余裕もなく、俺はがむしゃらにひた走った。


 奇妙な感覚だった。脳は状況に追いつかずぼんやりとしているのに、この両足は止まることを知らずに疾駆する。頭と足が分離し、ひゅうひゅうと肺が押し出す呼吸音が空を切った。


 どれだけ走ったのだろうか。ようやく疲労感が脳へと達し、俺の両足が徐々に減速する。


 ここでようやく後ろを振り返る。背後にあの影は――いない。


 それどころか、周囲は幕を開けたようにあっけなく、いつの間にかいつも通りの昼下がりに戻っていた。


 当然のように空に浮かぶ太陽。ぜいぜいと乱れる呼吸と肺の痛みだけがこの状況に取り残されるだけだった。


「ソウくん……」


 腕の中にいた海夕が声を出す。大丈夫か!? と話しかけたその時。


「うーんとてもいい乗り心地……これがお姫様ダッコですか。ではしばらくこのままで……」


 俺は無言で両腕の海夕をそのへんの土手へリリースした。


「あああ余計なこと言うんじゃなかったーっ!」


 アホ丸出しで土手の斜面を転がっていく海夕。なんかいつも通りなこの感じになんかホッとした。


 ――まったく。あの変な黒い女から逃げ延びたと思ったらこれだ。


 ため息まじりに呟くと、それを聞いた海夕が急に飛び起きた。


「えっ!? ソウくん、さっきのアレ、の……?」


 ――は? あの変な箱持ってた奴だろ? 周り暗かったからよく見えなかったけどよ。だいぶヤバイ奴だったろアイツ。なんかお前狙ってるっぽいから逃げたけどよ。


 そう答えると、海夕は視線を落とし、深刻な顔で何やら考えている。


 ――なんだよ。どうした?


 俺が尋ねると、海夕は意を決したように、俺を見上げた。


「ごめん……ソウくん、やっぱり別れよう、わたし達」


 は? だから最初からそうするって言ってるだろ?


 俺がそうこたえるより先に、海夕は自分の携帯を取り出し、こう持ちかけた。


「だから! 最後にソウくんの写真、撮っていい?」


 ――いや、もう別れるってのに、なんで写真なんか……


「ソウくんの写真があったら、わたしこれから何があっても頑張れそうな気がして。お守り代わりに……なんて、ちょっと気持ち悪い、かな……」


 ――いや、別に、写真くらいなら……


 そう言うと、海夕はホッとしたように笑う。


「よかった……あ、じゃあさ、ツーショットとか、ダメ……?」


 ――いいよ別に。


「やった!」


 海夕は俺の隣に立つと、腕を伸ばし角度を細かく調節しながら、写真を撮った。


 意外だった。いつもなら「ソウくんもっと笑顔で!」とか、「ソウくん二人で指でハートマーク作るやつやろうよ!」とか注文つけそうなのに。


「……うん。ありがと」


 たった一枚だけ写真を撮り、海夕は、小さく微笑んだ。


 それは、とても悲しい微笑み、だった。


 なんだよ……前は絶対別れないとか言ってたのに……


「今日はありがとね、ソウくん。わたし、今日のことずっと忘れないよ」


 ――いや、待て、まだ昼だし、もうお前帰るのか……?


「もう別れるんだからさ。もう帰るよ。もう二度とソウくんには会わない。絶対に」


 ずきり。


 胸の痛み。そして彼女は深く息を吸い、ゆっくりと、頭を下げた。


「わたしなんかと付き合ってくれて、ありがとう…………本当に、さよなら」


 そう言って。


 海夕は、一度も振り返らずに、去って行った。


 ……何も感じない、と言えばウソになる。


 俺が別れると言った以上、彼女も別れると希望した以上、あの子の後ろ姿に掛ける言葉など何一つ無い。


 けれど。


 この胸の痛みはなんだろう。この胸のざわめきはなんだろう。


 別れを告げた彼女の言葉がこれ以上ない悲しみを帯びていた理由はなんなのだろう。

 

 けれど、去って行く彼女の後ろ姿に掛けられる言葉など、なにひとつ、無い。


 ――さよなら。


 そう呟いて、その想いとその疑問に無理矢理区切りをつけた。


 俺はきっと大馬鹿野郎なんだろう。


 自覚はしてる。それでも何もできるはずもなく。


 彼女の姿が消えてしまうまで、俺は車道を通る車を無駄に数えていた。


 ……ここまでであれば、少し特殊な、秋の悲しい別れ話として語ることができただろう。


 さらなる異常に見舞われたのは、ここから五日後の水曜日のことだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る