ep.13 不屈の将校
登場人物
飛廉は、左手で担ぎ持っている白い布袋の口を眼前の裴巽に向けて緩めた。
「――――⁉」
裴巽の
飛廉が抱えた白い布袋から飛び出したのは、一陣の突風だった。
「良い余興だ。飛廉を斬ることができたならば、褒美を取らせる」
「ひとつでも飛廉に傷を与えろ。同時に己の
「…………」
裴巽の身を案じた陽虎が駈け寄った。その身を起こそうと、陽虎は裴巽の肩に手を掛けた。
「だ、大丈夫か、裴巽……?」
裴巽は、片膝を突いて身を起こした。炎が灯ったような双眼は、飛廉に据えられている。
「陽虎……人の身を案じていないで、さっさと三公さまをお連れし、ここから逃げろ」
「あれは……一体、何なのだ?」
「……知るか」
裴巽の口辺から血が垂れている。口の中を切ったようだった。その血をぞんざいに拭うと、再び勢いよく飛廉に突進した。今度は息弾に狙われぬよう蛇行して馳せた。
飛廉が繰り出す
「国の重臣ともあろう者が、余興に甘んじ、民を
「――――⁉」
蚩尤の声に、三公と陽虎は眼を
「どうなさいますか……?」
顔色を変え、眼を泳がせた陽虎は、
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