『俺達のグレートなキャンプ101 皆で全力でテンプル騎士団ごっこ』
海山純平
第101話 皆で全力でテンプル騎士団ごっこ
俺達のグレートなキャンプ101 皆でテンプル騎士団全力でごっこ
バシッ! 石川が力強くテーブルを叩く音が、朝の清々しいキャンプ場に響き渡った。隣のファミリーキャンプの子供たちが ビクッ と驚いて振り返る。
「よし!決まったぞ!今日の暇つぶしキャンプは『テンプル騎士団ごっこ』だ!」
石川の目が キラキラ と輝いている。まるで宝物を発見した子供のような表情で、両手をガッツポーズ。朝の光が彼の興奮した顔を照らし、何かとんでもないことが始まる予感を漂わせていた。
千葉は ゴクリ と唾を飲み込みながらも、目を パチパチ と瞬かせて期待に満ちた表情を見せる。「テンプル騎士団ごっこって...一体どんな...?」声が少し上ずっている。
一方、富山は ため息 をつきながら、額に手を当てて うんざり とした表情。「また始まった...」とぼそりと呟く。でも心のどこかで、石川の突飛なアイデアにちょっとだけワクワクしている自分もいる。
ガサゴソ と石川がリュックを漁り始める。「実はな、昨日ネットで中世の騎士について調べてたんだ!テンプル騎士団っていうのは12世紀から14世紀にかけて活躍した騎士修道会でな...」
「知ってるよ、それくらい」富山が ジト目 で石川を見る。
「で、俺が考えたのは、キャンプ場全体を聖地エルサレムに見立てて、俺たちがテンプル騎士団として様々なミッションをクリアしていくっていう壮大な暇つぶしだ!」
石川の声が徐々に 高まって いく。周りのキャンパーたちが チラチラ とこちらを見始める。朝のコーヒーを飲んでいたおじさんが プッ と吹き出しそうになっている。
ザザー と石川がリュックから取り出したのは、なんと段ボールで作った 手作りの剣 と 盾、そして白いシーツを改造した ローブ だった。
「うわあああ!本格的!」千葉が 手をパンパン と叩いて歓声を上げる。目が キラキラ と輝いて、もう完全にテンションが上がっている。
富山は ガクッ と肩を落として、「マジで用意してたのね...」と 呟く。でも内心、石川の準備の良さに少し感心している。
「まず最初のミッションは『聖なる水の確保』だ!」石川が段ボールの剣を ビシッ と空に向けて掲げる。「管理棟の水道で聖水を汲んでくるのだ!」
ズコー と富山がコケる。「それただの水汲みじゃない!」
「違う!これは神聖な儀式なんだ!」石川が 真剣な顔 で反論。白いローブを羽織って、なんだか本当に騎士っぽく見えてくる。
トコトコ と4人でゾロゾロ管理棟に向かう途中、突然 ガサガサ と茂みから声が聞こえた。
「ちょっと待ってください!テンプル騎士団と聞こえましたが!」
バサッ と茂みから飛び出してきたのは、50代くらいの眼鏡をかけた男性。リュックには歴史書がパンパンに詰まっている。
「私、山田と申します!実は中世史の研究をしておりまして!」山田が 興奮して 早口で話し始める。「テンプル騎士団ですって?それは素晴らしい!彼らは1119年にユーグ・ド・パイヤンによって設立され...」
「おお!詳しい方が!」石川が 目をキラキラ させる。「ぜひ我らが騎士団に!」
ガタガタ と山田が震え始める。「本当ですか!?実は昔からテンプル騎士団の生活を体験してみたくて!」
富山が ため息 をつく。「また変な人が増えた...」
千葉は ワクワク しながら「専門家の先生がいれば本格的になりますね!」
コポコポ と管理棟で水を汲みながら、山田が 熱弁 を振るう。
「皆さん、テンプル騎士団の朝は午前4時の祈りから始まるんです!そして質素な食事を摂り...」
「先生、そこまで本格的にやらなくても...」富山が 冷や汗 をかく。
「いや!せっかくやるなら徹底的に!」石川が 拳を握る。
ザワザワ とキャンプ場に戻る途中、ファミリーキャンプの子供が トコトコ と駆け寄ってきた。
「おじちゃんたち、何してるの?」
石川が にっこり と笑って「テンプル騎士団ごっこだよ!」
「かっこいい!僕もやりたい!」子供の名前は太郎(8歳)。目が キラキラ と輝いている。
慌てて 太郎のお母さんが駆けつける。「すみません、うちの子が...」
「いえいえ!ぜひご一緒に!」石川が 爽やか に笑う。
山田が プッシュ するように「お子さんにとって素晴らしい歴史学習の機会ですよ!」
結局、太郎とお母さん(美香さん)も 仲間 に加わることに。
「よし!これで我らがテンプル騎士団は7名だ!」石川が 高らか に宣言。
パチパチ とみんなが拍手する中、山田が 厳かに 口を開く。
「皆さん、実はテンプル騎士団には暗黒の歴史があるのです...1307年、フランス王フィリップ4世によって...」
ピーン と石川の頭に電球が点く。「それだ!フィリップ4世の弾圧も再現しよう!」
富山が ギョッ とする。「え?弾圧って...まさか私が?」
「その通り!富山、君がフィリップ4世だ!」
ガーン と富山に雷が落ちたような効果音。「な、なんで私が悪役なの?」
山田が 興奮して 「素晴らしい!歴史を追体験するとは!フィリップ4世は『美男王』と呼ばれ、テンプル騎士団の財産を狙って...」
「先生、詳しすぎます」千葉が 苦笑い。
太郎が 元気よく 手を上げる。「僕、一番強い騎士になる!」
美香さんが 微笑ましく 「この子、本当に騎士が好きなんです」
第二幕:フィリップ4世の野望
富山が 渋々 王冠(段ボール製)を被らされている。「これ、絶対変でしょ...」
「いや!とても威厳があるぞ、フィリップ4世よ!」石川が 親指を立てる。
山田が 資料を取り出して 「フィリップ4世は1268年生まれで、1285年に即位し...」
「先生、そこまで詳しくなくていいです」富山が ため息。
太郎が段ボールの剣を ブンブン 振り回している。「悪い王様なんかやっつけちゃうぞー!」
「太郎君、危ないから気をつけて」美香さんが ハラハラ。
ドンドン と石川が太鼓を叩く音(実際は鍋を叩いている)。「諸君!フィリップ4世の魔の手が我らに迫っている!騎士団の結束で乗り切るのだ!」
富山が 棒読み で「う、うむ...余はフィリップ4世である。テンプル騎士団の財宝を...よこせ...」
プッ と千葉が吹き出す。「富山さん、演技下手すぎ!」
「だって恥ずかしいんだもん!」富山が 顔を赤く。
山田が 熱く 語り始める。「この時代、テンプル騎士団は巨大な金融ネットワークを持っていたのです!現在の銀行システムの原型とも言える...」
「先生!講義はまた今度に!」石川が 慌てて 止める。
太郎が 勇敢に 立ち上がる。「僕が王様と戦う!」
ダダダ と太郎が富山に向かって走っていく。
「ちょっと、太郎君!」富山が 慌てて 逃げ回る。「追いかけないで!」
ワハハ と太郎が笑いながら追いかける。「逃げるなー!悪い王様!」
美香さんが 苦笑い しながら「太郎、あまり激しくしちゃダメよ」
千葉が 楽しそう に「太郎君、本格的だなあ」
ハアハア と富山が息を切らして「こんなはずじゃなかった...」
山田が 感動して 「素晴らしい!まさに歴史の再現ですね!」
第三幕:騎士団の反撃
石川が 勇ましく 立ち上がる。「騎士たちよ!今こそ結束の時だ!フィリップ4世の横暴に立ち向かうのだ!」
太郎が 一番元気 に「はい!」と返事。段ボールの剣を高く掲げている。
千葉も やる気 になって「おー!」
山田が 歴史書を開いて 「実際には1307年10月13日金曜日に一斉摘発が...」
「先生、今は戦闘中です!」石川が ツッコミ。
富山が 困った顔 で「私、本当に戦わなきゃいけないの?」
太郎が 勇敢に 富山の前に立ちふさがる。「王様、騎士団をいじめちゃダメ!」
「太郎君、迫力あるなあ」千葉が 感心。
美香さんが 微笑んで 「普段は大人しいのに、こういう時だけ勇敢になるんです」
山田が 興奮して 「お子さんの中に真の騎士精神が宿っていますね!」
ワイワイ と盛り上がっているところに、隣のサイトの大学生カップルがやってきた。
「何やってるんですか?面白そう!」彼氏の方が 興味津々。
「私たちも混ぜてください!」彼女も 笑顔。
石川が 大喜び で「新たな騎士の誕生だ!」
富山が ため息 「また増えた...」
太郎が 嬉しそう に「仲間がいっぱいだ!」
山田が 熱く 「これでより本格的な戦闘が可能ですね!」
第四幕:大決戦
キャンプ場の中央広場で、ついに 大決戦 が始まった。
石川が 指揮 を取る。「騎士たちよ!聖地を守り抜くのだ!」
太郎が 最前線 で段ボールの剣を振り回している。「えいっ!やあっ!」
一方 、富山は王冠をかぶったまま 困惑 している。「私、どうすればいいの...?」
山田が アドバイス 「フィリップ4世なら、もっと威厳を持って!」
「威厳って言われても...」富山が 恥ずかしそう。
千葉が 応援 「富山さん、頑張って!」
大学生カップルも ワイワイ と参加して、キャンプ場が お祭り騒ぎ。
ところが 太郎の勢いが止まらない。
「王様の軍隊なんかに負けないぞー!」ダッシュ で富山に向かっていく。
「きゃー!」富山が 本気で 逃げ回る。
太郎が 追いかけながら 「正義は勝つんだー!」
美香さんが ハラハラ 「太郎、転んじゃダメよ!」
山田が 感動して 「これぞ真の騎士道精神!」
石川が 大笑い 「太郎君、君こそ真の騎士だ!」
第五幕:まさかの展開
突然 、管理人のおじさんがやってきた。
「皆さん、何か楽しそうですが...騒音の苦情が...」
一同が シーン と静まり返る。
太郎だけが 元気 に「おじちゃんも一緒にやろう!」
管理人のおじさんが 困惑 「え?」
山田が チャンス とばかりに「管理人さん、実はテンプル騎士団というのは...」と 講義 を始める。
「先生、今はそれどころじゃ...」富山が 冷や汗。
ところが 管理人のおじさんの目が キラン と光った。
「テンプル騎士団...実は僕、学生時代に中世史を専攻してたんです」
山田が ガタッ と立ち上がる。「なんと!同志でしたか!」
「おお!」と管理人のおじさんも 興奮。
石川が ニヤリ 「これで騎士団はさらに強力になった!」
富山が 頭を抱える 「もうどうにでもなれ...」
太郎が 嬉しそう に「おじちゃんも騎士さんなの?」
第六幕:史上最大の決戦
管理人のおじさん(田村さん)も加わって、騎士団vs フィリップ4世の 最終決戦 が始まった。
太郎が 先頭 を切って「みんな、僕についてこい!」
「太郎君、頼もしいなあ」千葉が 感心。
山田と田村さんが 意気投合 して「テンプル騎士団の組織は...」「そうそう、修道院制度を基盤として...」と 講義合戦。
「先生方、今は戦闘中です!」石川が ツッコミ。
大学生カップルが 笑いながら 戦いに参加。
一方 富山は一人で 王様役 を続けている。
「みんな楽しそうなのに、なんで私だけ...」と ブツブツ。
太郎が 勇敢に 富山の前に立つ。「王様、降参しなさい!」
富山が ついに キレた。「もうやってられない!」
バーン と王冠を地面に叩きつける富山。
「私も騎士団に入る!フィリップ4世なんて知らない!」
一同驚愕 。
山田が 慌てて 「でも歴史的には...」
「歴史なんてどうでもいい!」富山が 開き直り。
太郎が ケラケラ 笑いながら「富山おばちゃん、面白い!」
石川が 大笑い 「これが富山流の騎士道か!」
第七幕:大団円
結局、全員が 騎士団 になってしまった。
「フィリップ4世役がいなくなったぞ」千葉が 苦笑い。
「じゃあ僕が王様やる!」太郎が 立候補。
「太郎君が王様?」美香さんが 驚く。
「悪い王様じゃなくて、騎士団と仲良しの王様!」太郎が にっこり。
山田が うんうん と頷く。「それも歴史の一つの可能性ですね」
田村さんも 納得 「平和な時代もありましたからね」
石川が 拍手 「太郎王の誕生だ!」
パチパチ とみんなが拍手する中、太郎が段ボールの王冠(富山が投げ捨てたやつ)を拾って被る。
「僕、王様騎士になる!みんなで仲良くキャンプしよう!」
富山が ほっこり 「太郎君、いい子ね」
千葉が 感動 「子供の発想って素晴らしいなあ」
夕日 がキャンプ場を照らす中、みんなで 円になって 座る。
石川が しみじみ 「今日も最高のキャンプだったな」
山田が 満足そう 「テンプル騎士団について語れて幸せでした」
田村さんも 笑顔 「久々に学生時代を思い出しました」
大学生カップルが 手を繋いで 「楽しかったです!」
美香さんが 太郎 を見ながら「この子、今日は本当に活躍しましたね」
太郎が 眠そう になりながらも「また明日もキャンプする?」
みんなで大笑い。
富山が ため息 をつきながらも 微笑んで 「まあ、たまにはこういうのも...悪くないかもね」
千葉が ワクワク しながら「次はどんなキャンプにします?」
石川が ニヤリ 「次は『戦国武将キャンプ』だ!」
ズコー と富山がコケる。「また私が悪役?」
「今度は信長役を頼む!」
「絶対やだ!」
ワハハ とみんなの笑い声がキャンプ場に響く。
太郎が 小さく つぶやく。「キャンプって楽しいなあ」
美香さんが 優しく 太郎の頭を撫でる。「また来ようね」
山田が 感慨深げ に「歴史は人々の心の中で生き続けるんですね」
田村さんが 頷いて 「そうですね。こうして楽しみながら学ぶのが一番です」
星空 が広がり始めた頃、みんなで 焚き火 を囲む。
石川が ギター を取り出して(いつの間に持ってきたのか)、適当な歌 を歌い始める。
「♪テンプル騎士団〜、みんなで仲良く〜♪」
千葉が 合いの手 「♪キャンプだホイ!♪」
太郎も 元気 に歌う。「♪騎士さんカッコイイ〜♪」
富山が 呆れながら も小さく口ずさんでいる。
山田と田村さんが 真面目 に「♪歴史を学ぼう〜♪」と歌っている。
最後 に全員で「♪グレートなキャンプ〜!♪」
パチパチ と拍手が響いて、今日の冒険が終わった。
エピローグ
翌朝、太郎が 一番早く 起きて、みんなのテントを ペタペタ と叩いて回る。
「騎士さんたち、起きて!朝だよ!」
石川が のそのそ と出てくる。「太郎君、元気だなあ...」
富山が 寝起き で「まだ眠いのに...」
千葉が あくび をしながら「太郎君は体力あるなあ」
山田が 資料 を抱えたまま寝ていて、田村さんが 苦笑い。
美香さんが 慌てて 「太郎、みんなに迷惑かけちゃダメよ」
「でも!今日も騎士団ごっこしたいんだもん!」
石川が にっこり 「太郎君の騎士精神に免じて、もう一日付き合うか!」
富山が ガクッ 「え〜、まだやるの〜?」
こうして 、石川たちの グレートなキャンプ は続いていく...
数年後 、太郎は 本物の歴史好き になって、山田先生の 研究室 を訪れるのだが、それはまた 別の話 。
〜完〜
おまけの後日談
後日、富山のもとに太郎から 手紙 が届いた。
『ふやまおばちゃんへ きのうはありがとう。おばちゃんのおうさまやくもおもしろかった。こんどはやさしいおうさまやくをやってね。たろうより』
富山が ほろり と涙ぐむ。
「あの子、いい子だったなあ...次はちゃんと やさしい王様 をやってあげよう」
そして石川から メール が来る。
『次回予告:戦国武将キャンプ、富山は織田信長役決定!準備よろしく!』
富山が スマホ を放り投げる。
「絶対やだー!」
〜本当に完〜
『俺達のグレートなキャンプ101 皆で全力でテンプル騎士団ごっこ』 海山純平 @umiyama117
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