なんだかんだで10話



 十二使徒である白銀の貴公子ダイヤモンドを、なんだかんだで退治したダーくんとアン。


 平和の女神像が光を取り戻し輝いていた。


 氷漬けにされていた人間達の氷が溶けて、全員息を吹き返した。


 しかし、氷漬けにされたダーくんの氷が溶けないでいる。


 アンは理解できないでいた。


「なぜだ? ダー、なぜおまえだけ氷漬けのままなんだ······」


 アンは、ダーくんを両手で持ち上げて、横に振ったり縦に振ったりしている。


 ダーくんは氷漬けのまま。


 アンは、理解できないこの状況に、頭に血が上ってきた。


「なぜだ! なぜだ! なぜなんだ!!!」


 アンは、氷漬けにされたダーくんを怒りに任せてぶん投げた。


 氷漬けのダーくんが投げられた先に、輝きを取り戻した女神像があった。


 女神像に氷漬けのダーくんがブチ当たる。


 ダーくんは、氷漬けのまま雪が積もる地面に落ちた。


 女神像の上半身にひびが入り、女神像が砕けた。


 それを見ていた戦士や格闘家が唖然としていた。


「こ······壊した······平和の女神像を······」

「なんと言うことを······」

「雪男······おまえ平和の女神像を壊すなんて······」


 アンは声を荒げた。


「オレは氷漬けになったダーを、ぶん投げただけだ! 壊していない!」


「じゃあ、氷漬けの少年が壊したとでも言うのか······」


「違う! ダーはオレにぶん投げられて女神像に当たっただけだ! 壊していない!」


「そんな······屁理屈······」


 アンが、戦士や格闘家達に聞いた。


「おまえ達、何か良い道具を持っていないか?」


 戦士や格闘家達が、自分のぶら下げている布袋を見た。


「接着剤ならある」

「俺はガムテープ」

「私は絆創膏」


 アンは上半身が砕けて、下半身だけの女神像を指で差して言った。


「それだけ道具があるなら、なんだかんだで女神像を直せるはずだ!」


 アンの言葉を聞いた、戦士や格闘家達は、雪の積もった地面に落ちている女神像の破片を広い集め。


 あーだこーだと言いながら修復している。


 アンは、氷漬けにされたダーくんを抱えながら、


「さて、あの村に戻るとするか」


 戦士や格闘家達が、必死に女神像を直している最中に、アンは氷漬けのダーくんを抱えながら、その場を離れた。




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