行きたい場所、どこでも!

しょうぴ

第1話

タスクはベッドに寝転び、ため息をついた。

「はぁ…。修学旅行で行けなかったアメリカ。風邪で行けなかった京都。どこにも行けないなぁ…」


ピンポーン。玄関のチャイムが鳴る。

タスクが外に出ると、郵便受けに白い封筒が入っていた。


「タスク、なにそれ?」と母が首をかしげる。

「わかんない。差出人も書いてない」


タスクが封を開けると、中には黒いボタンのような装置が入っていた。

ボタンを押した瞬間――


「うわぁぁっ!」

タスクの視界は真っ暗になり、体が吸い込まれる。


気がつくと、彼は奇妙な空間に立っていた。

そこには、鬼の仮面をつけた男が待ち構えていた。


「ようこそ、ブラックホールへ」

「え? ここ、どこですか?」タスクは呆然とする。


「タスク君。君の行きたい場所を選べ」

男はタブレットを差し出す。そこには「京都」「大阪」「滋賀」と書かれたカードが並んでいた。


タスクは少し迷った末、叫んだ。

「大阪に行きます!」


「承知した」

男が告げると、ボタンが光り、タスクの体が再び吸い込まれていった。


――次の瞬間、そこは大阪の街。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る