第2話 プリン大好き兄弟

「あ、来た!」

「もう分かったの!?」

菊太郎は厚めの辞典を持ってきました。その姿を見て二人は菊太郎に駆け寄りました。

「ぼくにかかればこんなもんですよ」

「てんさいだー!」

「もう、からかわないでくださいよ。こほん、気を取り直して、『あい』とは・・・」

菊太郎がもったいぶるので雪之助は前のめりになって、啓介にもたれかかってきました。

「ユッキー、重い…」

ボソリと呟いた声は二人には届きませんでした。なんだかんだで菊太郎も気持ちが高揚しているようです。

「大切に思う気持ちです!」

「軽くなった…」

「じゃあさ、じゃあさ。ユキがデザートのプリンを大切に思う気持ちが『あい』?」

一度は離れた雪之助でしたが、再び勢いよく前に身を乗り出しました。

「なんか違う気がするよ?あと、乗っからないで、重たいから。」

「えー、ユキはすっごくプリンが好きなのに、食べちゃいたいくらい。」

「そうなんだね…」

啓介はツッコミを諦めて気の抜けた返事をしました。

「そうなんですよ!自分のだけじゃなく、家族の分まで食べちゃうくらいですね!」

「まだ怒ってる?ごめんね。」

雪之助は申し訳なさそうにシュンとして菊太郎を見つめました。

「もういいです。こないだもそう言ってたじゃないですか。」

「それはそうとして、これじゃユッキーは納得しなかったね」

「どうにかしてしてくださいよ、雪。」

「しないぞ。」

「困ったことになったな。どうしよう。」

うーん、と頭を悩ませる二人でしたが、唐突に菊太郎が声を上げました。

「それだったら、先生のところに行ったらいいんじゃないですか?」

「それだ!よし行くよ!みんな!」

「え?ぼくもですか?」

「ごめんなー菊くん。」

「別に啓介さんは謝らなくていいですよ。なれっこですから。」

「遅いったら二人ともー!!!」

向こうで手を振ってせかす雪之助のところへ二人は走り出しました。

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