非凡な華は平凡で静かな海の様だった。

日合 茉凜

"初" いつもの放課後

「おや、これまた面白そうな本を見つけましたね。」

いつも通っているCDショップのマスター。

CDを一枚買うとクッキーとコーヒーが貰えて、聴きながら席に座ってくつろげる。深みのある桃色の屋根をしたお店でスーパーの特売チラシの裏紙にネームペンで"クッキーとコーヒーあります。"なんて張り紙をしているものだから、登下校中にある怪しい家みたいなものかと思ったけれど、一度ふらっと寄った日から気づいたら常連扱いされていた。表はCDショップで少し奥に入ると掘り出し物の多そうな古本屋みたいな。喫茶店のようなCDショップのような古本屋のような、表には客がいるのに奥には客が来ない店。そこが私のお気に入りだった。今では、CDを買わずに本を読んで、クッキーを食べてコーヒーをのんで帰る。これが放課後ルーティンだ。

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