18話
あれから5日が経ち、私は自分の布団で目を覚ました。あれから何があったかというと…桜様と屋敷に帰宅すると、静華様、冬馬様、八恵様が桜様を強く抱きしめて出迎えた。私は東凱殿に感謝の言葉を言われ、桜様から何を聞いたのか静華様が私が寝ている隙に私の胸に甘噛みし身体には消えない噛み傷が2箇所ほどできた。
次の日は一条家の全員が集まり、三月かなえ殿の葬式が行われた。かなえ殿の旦那様は遺書を残し川から飛び降り…自殺していた。この件に関しては報われた人間は正直誰一人いない。皆様が悲しみにくれていた。
そして3日目から今日まで変わった事が1つ、それは…夏の季節に年頃の女性が2人、私の布団に侵入してきた。嫌、嬉しくないわけないじゃない。無茶苦茶嬉しいよ。ただ一つ言わせて欲しい、暑い!何度も言うが、今は夏ですよ。布団で両手に花は嬉しい気持ちでどうにかなりそうですけど…それにしても思春期真っ只中の男にこう密着されると…ねぇ
「はぁ〜」
「今日は桜様が学園に戻られる日だな…よし、準備するか」
3時間後玄関にて〜
「それでは行ってまいります」
「いってらっしゃい桜」
「身体には気をつけるのですよ」
「姉さんいってらっしゃい」
「あぁ、ありがとう」
「桜様、これをどうぞ」
私は一振りの薄紫色の刀を桜様に渡した。
「これは…」
「実は、先月立ち合いしたあとに行きつけの鍛冶屋に行って打ってもらったんですよ」
「そんな前から用意していたのか?」
「何かお役に立てればと思い…」
「暁仁は、姉さんが立ち合いあとに落ち込んでいたから気にしていたんだ」
「!…静華様何故それを」
「僕が君の事を知らないわけないだろう」
「本当にお前という奴は…礼を言う。大切に使わせてもらおう」
「喜んでいただけて何よりです」
「ではな…」
桜様が玄関の扉を開け出ていこうとした時…
「一つ忘れ物をした」
「?」
私に近づき何故か胸ぐらを掴む。
「母上と静華からは許可を得た」
「何のことっ…」
貪るような激しい口付けが私を襲う…全く理解できない私はその場で立ち尽くした。
「ンッ…それでは行ってくる」
そう言って静華様は東京に戻られた。
「やっぱり暁仁は攻めに弱いんだね」
「ふぇ?」
「今日から僕の番だから」
「あらあら、娘達は一体誰に似たのやら」
「…八恵、私はそんな話」
「あとで話してあげるからあなたは大人しくしていなさい」
「…はい」
(やれやれ、主も難儀よな…)
私はしばらくその場で放心状態になりつつ静華様に部屋へと連行されるのであった。
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「おはようございます。朝のニュースです」
「本日、早朝滋賀県の山中にて死後3週間と思われる人間の頭蓋骨が発見されました。その数は現在確認するだけでもその数は50人を超えるとされ、警察は現在賞金首の茨木童子、個体名影丸の犯行とみて調査を進めています」
「いやぁ~、怖いですね。150年前の霊災で生き残った特級の怪物がまだ日本を徘徊していると思うと夜も安心して眠れませんよ」
「しかし、茨木童子は元々特級の怪物ですが、個体名とはなんですか?」
「えぇ〜、陰陽庁からの報告によると私達を襲う魑魅魍魎には人間を食べることによって強化される強化種というものが存在し、その強化種には個体名がつきます。本日紹介された影丸は150年間大量の人間を食しているとみられ、今まで5名の特級陰陽師が討伐に向かったものの全員殺害され逆に食べられた事により、この影丸は現在討伐できない怪物として扱われております」
「しかし…目撃情報はないのでしょうか?相手は鬼ですよね」
「それが、強化種は人に化ける事ができるとの事で並みの陰陽師では見分けることができないそうです」
「町の何処かに潜んでいるということですか?」
「そういう事になりますね」
「現在地球場で確認されている。強化種は8体との事です」
「なんとかならんのかね」
「どう思われますか?現在特級陰陽師であり、女優の加藤香織さん」
「そうですね~、私達陰陽師は自分の仕事をこなすだけです。強化種が襲撃してこようと現在の私達特級で対処可能と思いますよ」
「いや〜、若いのに対したものだ2級から飛び級で特級になった方はやはり頼りになりますね」
「そんな事ありませんよ」
「確か、現在高校2年生…今年の春に特級になったばかりとの事ですが数々の功績をあげられているとか、その年齢で素晴らしいですね。現在、名門校である東京の神居学園に通っているとの事ですが、学園生活はどうですか?」
「私達の学園は中等部〜大学コースの約11年間通う事ができます。全校生徒が日々切磋琢磨し、強くなろうと頑張っています。新しく陰陽師になろうとされている方には、高等部からの編入も可能ですので一緒に陰陽道を歩む方を私達は歓迎します」
「現在、中等部が400名、高等部が800名その内、編入生が500名と毎年その数を増やしております。大学科をを合わせると1700名これだけの陰陽師の卵がいるとなると私達市民にとってもありがたいことですね」
「国が管理する学校である為、寮費は無料で敷地は東京ドーム約10個分、施設も充実しており、施設には一般人でも利用可能との事ですよね」
「えぇ、皆さん是非うちの学校に来てくださいね」
「いやぁ~、いいね。これで私達も安心して暮らせるよ」
「さて、では次のコーナーに移っていきましょう」
「次のコーナーです。いよいよ明日行われる式典での昇級する陰陽師が発表されました」
「現在、確認できる人数は…2級が6名、1級が4名、特級が1名ですね」
「少ないな、やはり旧世代の陰陽師ではなく学園の卵達にもっと力をいれないものかね」
「専門家によりますと現在所属している陰陽師は衰退の一歩をたどっているとのことですので余り期待はできませんね」
「それで学園の生徒は何人いるのかね」
「2級に、現在神居学園の生徒が2名いますね」
「素晴らしいですね」
「あとは…特級最年少?」
「見間違えでは?」
「いえ、現在14歳の少年が特級に昇格したとのことです」
「学園の生徒かね?」
「いえ…陰陽庁所属の陰陽師との事」
「名前は?」
「陰陽庁からは実績しか公表されておらず現在確認中との事です」
「何だそれは…話にならん。陰陽庁も遂に血迷ったか?」
「どう思われますか?香織さん」
「新しい後進が出来た事には嬉しく思いますが、物を言うのは実力ですから何とも言いようがありません」
「式典にどうせ出るんだ。今から顔を観るのが楽しみだ」
「それが…」
「?何だね」
「式典には現在でないとの事です」
「………は?」
この後、ネット上で悪い意味で話題になり、炎上するのであった。
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