7話

 私は、山幸橋周辺の山をくまなく探していた。現在は深夜3時、夜の山は慣れているので登るのに時間はそうかからなかった。


「中々感知できないな…」


「特級に近い1級と事前に知っていたからすぐに見つかるものだと思ったんですけどね…」


 そんな時、遠くから1人の女性が木々の奥の方からこちらに手招きしているのが見えた。


 普通に考えて、こんな時間に女性がいるはずがない。行ってみるか…


 私はさらに山奥へと進み続けた。15分歩き女性が立ち止まった。


「ねぇ、坊や何をしにここへ来たんだい」


「お姉さんこそこんな夜更けにどちらへ?」


「何ちょっとした山菜取りさ」


「流石に無理があるだろ…それにあなたが上手く隠せていても、周りは上手く呪詛を隠せていませんよ」


「なぁに、気づいていたのかい?もしかして坊や陰陽師かい、150年前にも坊やみたいな若い陰陽師は見なかったよ」


「何だあんたが150年前の特級霊災でおめおめ逃げ続けてきた清姫か」


「失礼な坊やだね。坊やはまさかそんな貧弱な氣でわっちを倒そうなんて思っていないだろうね。確かに氣の量は多いんだろうがそれではわっちを倒すことなんてできないよ」


「確かに特級に近い1級と言われるのにも納得です。成龍より遥かに強い圧を感じますね」


「わかっているなら、大人しくわっちらに喰われるかい?」


「…あんた、4年前呪いをかけた少女を覚えているか?」


「ん?あ〜ぁ、確か4年前ある姉妹に呪いをかけたね。あれは将来美人になるだろうね。呪いをかけた妹の方は今も元気にしてるかい?絶望した顔を見ながらあの子を食べようと思っているんだけどね…今から楽しみで仕方がないよ」


「そうですか…私の主人が今も呪いで苦しんでいるそうでしてね。その主を助けるためならあんた達を倒そう」


「ここにいるのは2級の仲間達だよアンタみたいな子供にわっちらを倒そうと?」


「見たところ300ってどこでしょうか」


「いいや、500だよ」


清姫の背後からぞろぞろと出てきた。牛鬼、水虎、天狗、百々目鬼、鵺それに…


「おい、一体1級が混じってるのは気のせいか?」


雷の獣がこちらに顔を向けた。雷獣か…


「あれはわっちのペットだよ」


 もしかして、清姫自体もう特級になっているんじゃあないだろうな。150年経ってるんだ十分にありえる話だ…氣の全解放は清姫戦にとっておきたい。古式陰陽術も…それに今の私が戦闘式でどれだけ戦えるか試したい。


「やりな」


 大量の化け物が襲いかかった。霊災じゃないだけマシだな。あれは怪物達の力を増大させるから厄介だ。恐らく2級は完封できるはず…


 「簡易符、白刀・白鬼」


 刀を出し私は新たに開発した戦闘式を使う。


「大神にこいねがう、我は魔を祓う者、汝を祓い、己を咎め今ここに楔を打つ、黒式黒炎符急急如律令」


「!…へ〜、こりゃあ、驚いたね。黒炎の鎧に白刀から漏れる黒炎全て燃やしつくす気かい?」


「怪物のみを焼き払う黒炎だよ」


「見たところ氣を制限してるみたいだね。その状態で何処までできるか見てやろうじゃないか」


 最初に5体の鵺に飛びかかる。


「若葉流・斬牢」


 私は刀を鞘から方手抜きしそこから両手で横に円を描くように横薙ぎにしそれを軸にし四方に斬る。それはまるで斬撃の牢獄


 鵺は切り刻まれ、次に天狗が空から襲いかかる森の中は奴らが有利か…俺は受け流し続けながら水虎を黒炎で切り蒸発させ炙り殺す。わざと隙を見せることで天狗が攻撃してくるのを待った。次々と斬り殺す。


「人間死ねー」


「数年前と同じ言葉を吐くなよ」


 隙をついた攻撃を右脚を前に出しそれを軸に回転し避ける。


「何?」


「死ね」


 天狗の首を次々と斬り落とす。


「これで120、次!」


向かってくる化物を斬って斬って斬り続ける。


「うおー!次だ、次をよこせ」


「こりゃあ驚いた。もう半分しか残っていないじゃないか。行きな玉」


 やっと雷獣が出てきた。私は刀を鞘に納め黒炎を流し込み氣で圧縮し続ける。


「?…氣を刀に圧縮し続けている…まさか、避けな玉!」


「遅え、居合・黒炎不知火」


 高火力の炎が敵の全てを燃やし雷獣を一刀両断そこから燃え尽くし灰とかした。


「ヒッ…あ、悪魔…逃げろー!」


残った数体は清姫を残し逃げる。


「まっ、待ちな、クッ…」


「次はお前だ」


「いいだろう。わっちを敵に回した事後悔させてやるよ」


 私は清姫に斬りかかる。一瞬だった…私が地面に叩きつけられたのは


「カハッ…」


「まだまだ!」


 清姫は私を殴り続ける。血だらけになる私、これが特級に近い1級か…今の私じゃ相手にならない。


「最後にアンタを呪い殺してやるよ」


 清姫が私に呪いをかけようとすると同時に制限していた氣を解放した。


「!…くそっ…」


清姫が距離をとる。


「何だいその氣の量は…坊や本当に人間かい?心臓を中心に全身に循環させてるね。しかもコントロールもできている。本当に驚いたよこんなの江戸の世にもいなかったよ」


「ペッ…第2ラウンドだ」


清姫の全力、呪いの拳と私の刀が切り結ぶ。


 あれを喰らったら一発でお陀仏だ氣の解放状態だから戦えているが、強すぎる。


「驚いたよ、坊やみたいな子がわっちと戦えているなんてね」


「平然と対応してるくせに、うるせえんだよ蛇女!」 


攻防を繰り広げる。中で私は隙をうが逆に刀をはじき返された。


「しまった…」


「あハッハッハ」


清姫はその拳を笑いながら腹にくらわせた。


 呪いは氣で防げるが威力は防げずそのまま吹き飛ばされた。


 あぁ、背中が痛え、立て、立て、立ってくれ俺の身体「うッッッあーーー」


 立ちあがった後も攻防を繰り広げ、避けて切っても避けらるを互いに繰り返す。清姫を切り飛ばし、その隙に印と札を使う。


「ニシノウミ チヒロノソコ ウミクサグサ タブサヲヌラシ カミノミワザ」


「!…それは古式陰陽術、ちくしょう」


 水流が清姫を襲い清姫は耐えるのにてえいっぱいになっていた。。


「ヨノキワザ ヒトノタマシイヲツカサドリ クバリオサメ アマクダリ」


次は大量の水から木を生成し固定する


「くそっ…壊せないし亀裂も入らないじゃないか」


「ツキユミノソノ テンノヒワシカケルヤノミコト アマカケルハユミノレイシン テンノハハヤノレイシンヤ 今射抜かん」


 光は弓の形状をとる紡がれるは弓の歌神に捧げし歌高火力の一点突破


「祭神の弓歌」


私は弓引き矢を飛ばした。


「ちょっ、ちょっと待ってよ…あっあーー……」


その時、地球から一筋の光が根強く発光し消えた。


「ハァッ、ハァッ…倒した。早く下山しないとな」


 私と清姫の戦いは終わり、血だらけの身体を引きずり下山した。













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