5話
私は、静華様の部屋にて正座をさせられていた。
「なんで勝手に入ってきたの?」
「苦しまれる声が聞こえた為何かあったかと心配になり…すみませんでした」
「僕の身体醜いでしょ、顔まで蛇の鱗みたいで」
「それは、呪いですか?」
「そうだよ、10歳の時にある化物に姉さんが襲われたんだけど僕が姉さんを庇ってこの呪いを受けたんだ。夜になるとこの姿に大変身するというわけ」
元気に仰っているがその顔は悲しげだった。
「僕、婚約者がいたんだけど、この呪いを知るやいなや婚約は解消、皆からは疎まれ、家族は姉さんと爺以外は僕のこの姿を見るのが嫌で今は別邸に住んでるんだ。爺と姉さんだけが僕を助けてくれる。」
「……」
「醜くて声もでないでしょ、好きだった婚約者は僕のこの姿をみた瞬間逃げ出したよ。お母様は精神を病んでしまい。お父様は僕をみないようにしている。」
「治療は?」
「試したに決まっているだろう。でも、何も見つからなかったんだ」
「ねぇ、君は満月の大祓って知ってる?」
「えぇ…」
「僕は、この六感を使いこなるようになってから感知能力が強力になったんだ。あの日も中部での強力な氣が立ち昇るのを感知した」
やっべー、それ私です。なんて言えないですよ。
「欲しいと思った。でも、調べても出てきたのは大量の魑魅魍魎共の亡骸に強力な術を行使したあとだけ、その人物については何も情報を掴めなかったんだ、あの力の持ち主なら僕を直してくれるそう思ったんだけどね」
その悲しい姿を私は見捨てることはできない。
「その呪いは清姫の呪いでしょうか?」
「!…なんで」
「150年前の特級霊災にて、存在は確認されたものの逃がしてしまい。現在は京都に潜んでいるとの話を聞いているので…」
「でも、君にも倒すことはできないでしょう。相手は特級に近い1級だよ」
あの時は橘孝介が最後まで成龍を使わなかったから倒す事が出来た。今はどうだろうか、多分他にもいるだろうし…でも、安心させる言葉をかけてあげないと駄目だな。
「は〜、そんな事でしたか」
「!…何を言ってるんだい?」
「こっちに来てください静華様」
恐る恐る近づく静華様を私はギュと抱きしめた。
「何を…するんだい」
「よく頑張ったな、助けてやる」
「でも…君は1級だろ」
「大丈夫」
「ッ…君はただの吉備家にたまたま拾われて今の地位にいるだけだろ。どうせ、拾われる前も一般家庭でぬくぬく育ってきたんだろ。霊災孤児だか何だか知らないが僕の何が分かるって言うんだ。もう僕に構わず逃げればいいじゃないか」
「今からお前を怒るよく聞け」
「!」
「辛いなら辛いと言え!寂しいならそう言え!僕には味方がいないだと俺がなってやる。お前と一緒にいてやる!だから心配すんな」
「うっ…」
「そいつは今どこにいるか言え、お前はそいつの呪いを受けてるから場所がわかるはずだ」
「山幸橋周辺の山にいるよ…本当に助けてくれるの?」
「わかりました。あとはお任せください」
私は清姫を倒しに山幸橋へ向かうのだった。
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