第1章
1話
カンッ、カンッ
山の中で木刀を打ち合う音が響き渡る。そこには、一人の中年男性が一人の少年に実戦的な手解きをしている姿見受けられる。
「くそっ…」
少年の方は1本どころかカスリもしない男性に悔しい思いを抱きつつ攻め続ける。
カンッ、ドスッ
「カハッ…」
男性は少年の木刀を弾きその隙をつき遠慮なく胴体に突きをくらわした。
「痛ってえー、遠慮なく弟子の胴体に突きを入れる師匠はどうかと思うんだけど、どう思いますかねー師匠…」
「何、お前さんに突きくらわせてすぐ倒れるような生半可な鍛え方はしてないつもりだが?」
「それにしても、容赦がなくないですかねー」
「師匠は弟子が大切じゃないですかね」
「何?指導が足りない、仕方ないそれじゃあ後2時間氣の循環をさせながら手解きしてやろう。教えてやった陰陽術も使用していいぞ」
「ッ…望むところだー」
そういってあっという間に時間は過ぎていき俺は孤児院へ急いで戻った。
「ちくしょう結局1本も取れずにボコボコにされただけじゃないかよ。くそー」
あれから4年の月日が経ち俺は11歳になっていた…
「ただいまー」
「お帰り、またボロボロになって帰ってきたの?」
「う、うん…」
「まあ何でそんなボロボロなのかは聞かないであげる。食事の時間だから行ってきなさい」
「ありがとう卯野さん」
俺は今日の夕食はなんだったかなと考えつつ食堂へ足を運んだ
「は〜、死ぬ〜飯食ってる最中も突きくらった部分が無茶苦茶痛え本当に容赦がないんだよなあの人は」
「何一人でブツブツ言ってる暁仁」
「秀一、いや〜今日の飯も美味いなって浸ってただけだよ。気にすんな」
話しかけてきた秀一に俺はそう返した13歳になってからますますイケメンが身にしみてやがる
「あんたここの所怪我また増えてない一体何やってんのよ。全く…」
「教えねーよ雪」
雪は13歳になった事で輪郭がはっきりし美人さが最近増してきたな俺がよくドキドキさせられるよ本人は絶対言わないけどな…
「まぁ〜暁仁の事ですからね〜裏山で剣術でもやってるんじゃないですか」
「確かに結局暁仁だけなぜか省略式陰陽術が使えないままだからね模擬戦で木刀持ってきた時はどれだけ驚かされたか」
「グハッ…ゆ、優斗お前さりげなくダメージ与えるなよ俺でも傷つくんだぞ」
そう、皆が省略式陰陽術を使える中俺だけ使えないという予想外の事態が起きた。俺は少し安心しつつも悔しさも噛み締めている。
古式陰陽術はまだ師匠以外に使用していないし見せてもいない。師匠に古式陰陽術の使い手が少ないのとその希少性からなるべく他所で使わないようにしている。幸い戦闘式陰陽術の適正があったためそれを使用してごまかしている。
「ふっ、遂に僕は君に勝つことができるわけだ…と言いたいところだが君は剣術と戦闘式で戦えてるから勝てている気がしないんだよね。実際に模擬戦では僕は君と互角だからね流石僕のライバルだ」
「あの氣のコントロール何処で覚えてきたのよあんた最近剣術にも拍車がかかってきて強くなりすぎじゃない」
「氣のコントロールでは今の暁仁に勝てる人はいないもんね…正直凄いよ」
「俺には勝ち越せていないがな」
「秀一、来週の模擬戦で俺の新しい戦闘陰陽術見せてやるよ。吠え面かくなよ」
「あぁ、望むところだ」
「それでも〜、一番強いのは雪姉さんなんですけどね〜」
「「くっ…」」
「そうよ、あんた達はまず私に勝ってから物言いなさいよね。」
食事をしながら会話を楽しんでいると一人の男性が声をかけてきた。
「おや〜あ、楽しそうだね皆」
「「「橘先生」」」
「橘兄ちゃんがここに来るなんて珍しいじゃん」
「嫌〜、雪ちゃんに用があってねこの後大丈夫か
な?」
「いいですよ。橘先生」
「じゃあ、呼ばれたから私先に行くわね」
雪は食事を終わらせて、橘兄ちゃんについて行った
「ここのところずっとですよね〜、雪姉さんが橘先生のカウンセリング受けてるの〜」
「確か雪姉は、氣の量が多いから感情に何かしら不安や身体に何かしらの異常がないか橘先生が見ているんだっけ…」
「暁仁、君は平気なのかい?」
「そういえば氣の量で言えばお前が一番多いんだったな…異常とかはないのか?」
「嫌、俺は何ともないんだけどな?」
「ここまできたら暁仁が異常なのかもね…」
「優斗お前秀一に似てきたな性格が」
「そんな、秀一兄には憧れてるけど似ているなんてそんな事ないよ」
「そういいながらも嬉しそうですね〜」
「優斗今度のカリキュラム俺が教えてやる」
「えっ、いいの秀一兄さん」
「あぁ…」
「秀一は、逆に落ち着いてきたよなやっぱり歳とると変わるもんなのかね〜」
「話をするのはいいけど君達、そろそろ食堂が閉まる時間だから行かなければならないよ」
「やべっ、今日の風呂掃除当番誰だっけ?」
「お前だぞ暁仁」
「マジかよ」
「それじゃあ〜解散ですね〜」
俺達はそれぞれ別れ自分の日程を確認しつつ行動するのであった。
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