追憶ー天国のカイトへ

 カイト……

私は気づいてしまいました。


あの日、ホールにいたのはカイトではないことを……


ここに一枚のデッサンがあります。

机の引き出しに大切にしまっておいたものです。


私が小学生のときにヤマトさんが描いてくれた私の絵です。庭の花壇に咲いている美しい花たちに目を奪われていたらヤマトさんが私に手渡してくれました。

絵の下の方にヤマトとサインがあります。


盆栽に添えられていたあのデッサンはヤマトさんが描いたものです。無垢な私を……カイトに捧げた愛を見事に表現した絵でした。

あの絵は実際に見た人でなければ描くことはできません。


私はカイトを愛したのだと信じて踊り続けていいのでしょうか……


それでも、確かに、この盆栽からはカイトを感じることができるのです。


だから、やっぱり……


私はこれからも踊り続けたいと思います。

カイトの愛を感じて……


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

舞とカイト @wanko-y

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ