第2話 私と彼女②
そんな様子に、奈々枝は小さく苦笑する。
「なんか、困ったことがあれば相談に乗るわよ」
と言いながら紅茶の入ったカップを差し出してきた。
その気遣いに感謝しつつ受け取ると一口飲むことにしたのだが、その瞬間口の中に広がる芳醇な香りと温かさがとても心地良く感じられ、一気に緊張も解れていくのを感じたのだった。
そして同時に、この時間が永遠に続いて欲しいと思ってしまう程幸せな気持ちに包まれていくのを感じていたのです。
それからというもの、希子は毎日のように生徒会室へ通うようになっていたのだ。
そんなある日のこと、いつものように二人でお茶をしていると突然奈々枝の方から話しかけてきた。
その内容というのが、実は以前から気になっていたことがあるというものだったのだそうだ。
一体どんなことを聞かれるのかとドキドキしていた希子だったが、その質問内容を聞いて思わず拍子抜けしてしまったのです。
それは意外なものだったからだ。
というのも、彼女はこう言ってきたのだ。
「ねぇ希子……もしよかったらなんだけど、私と付き合ってみない? もちろん恋愛的な意味でね」
と言ってきたのです。
それを聞いて最初は戸惑いを隠せませんでしたが、すぐに我に帰ると思わず赤面してしまいました。
いやそもそも何故私なのかと思ったからです。
勿論悪い気はしませんしむしろ嬉しい限りですが、同時に疑問が生じていました。
何故なら、彼女には一度も好意を示した覚えもなかったからです。
そうすると、どうやら顔に出てしまっていたようで、それを見た彼女が微笑みながらこう言ってきたのです。
「あら? もしかして信じていないの?」
その言葉にハッとしましたが、それと同時に不安にもなってきました。
そんな希子の表情を見た奈々枝は少し困ったような表情を浮かべながらも続けてこう言ってきました。
そしてその答えを聞いた時、希子の顔から血の気が引いていくのを感じました。
その理由とは……。
なんと、彼女は以前から自分の気持ちに気付いていたのだというのです。
つまり、これまでの自分の行動すべてが筒抜けだったということなのです。
それを知った瞬間、恥ずかしさのあまり、死にたくなってしまいました。
そんな様子に、奈々枝は小さく苦笑すると、そっと希子の肩に手を置きました。
「大丈夫よ。別に怒ってないから安心して頂戴」
そう言うと優しく頭を撫でてくれたことで、少しずつ落ち着きを取り戻すことができました。
その後、暫くの間沈黙が続いたのですが、その間ずっと肩に置かれた手が離されることはなかったようです。
そして遂に覚悟を決めたのか、再び口を開き始めた彼女の言葉に耳を傾けました。
その内容とは、こんな感じでした。
実は、ずっと前から好きだったということ、でも自分から告白するのは勇気が出なかったため、こうして誘いをかけたということ、更に言えば、もし仮に拒絶されたとしても、きっと諦めずに追いかけてくれると思っていたということ、そして、何よりも大切なのは、これから先も一緒にいて欲しいという気持ちなのだそうです。
それを聞いて、希子の心の中で何かが崩れていく音が聞こえたような気がしました。
同時に、涙が溢れて止まりませんでした。
そんな希子の姿を見て、奈々枝は少し困ったような顔をしていましたが、すぐに優しい笑顔に戻りました。
そして、そっと抱き寄せると、耳元で囁きました。
「私を選んでくれてありがとう。これからはずっと一緒だからね」
という言葉と共に強く抱きしめられたことで、堰を切ったように泣き始めてしまいました。
そして、そのまましばらくの間、二人は抱き合っていました。
その時間は永遠に続くかのように感じられましたが、実際にはほんの数分間だったかもしれません。
しかし、この瞬間こそが、二人にとって最も大切な思い出となったことは間違いありません。
その後、二人は恋人として付き合い始めることになりましたが、それ以外は何も変わらなかったのです。
というのも、元々仲が良かった上に、同じ部活で活動しているため、自然と行動を共にするようになったことも大きかったでしょう。
それゆえ、他の生徒達には、まるで以前から付き合っていたのではないかと思えるほど溶け込んでいるように映っていたのです。
そのため、特に問題視されることもなく、寧ろ祝福ムードすら漂っていたほどでした。
また、プライベートな部分に関しても、二人だけの秘密ということで、互いに尊重し合っていたため、特に大きなトラブルも起きていませんでした。
それどころか、ますます仲が深まっていった結果、ついには同棲生活を始めるまでになっていました。
そんなある日のこと、いつものように二人でお茶を飲んでいると突然奈々枝の方がこんなことを言い出しました。
「ねえ、希子……」
と言った後に少し間をおいてから続けました。
それは、とても衝撃的な内容であり、希子にとっては寝耳に水であった為、思わず固まってしまったほどだっただけではなく、同時に頭の中が真っ白になるほど混乱してしまった程の内容だったのです。
というのも、その内容というのが……
「そろそろ、新しい一歩を踏み出してみない?」
と言うものだったのです。
その言葉を聞いて、最初は何を言われているのか分からずポカンとしてしまった程でしたが、すぐにその意味を理解すると、顔が一気に熱くなるのを感じ、慌てて俯いてしまったのでした。
そんな希子の様子に、奈々枝はクスクス笑いながら、続けました。
「まずはキスしましょうね」
という言葉と共に、ゆっくりと顔を近づけてくるのです。
それに対して、希子は反射的に後ずさろうとしたのですが、腰を掴まれてしまって動けなくなってしまったのです。
しかも、逃げられないように、しっかりと抱きしめられている為、身動き一つ取れない状況だったのです。
そのため、もう観念するしかないと諦めた瞬間、唇が触れ合いました。
最初は軽く触れる程度だったのですが、徐々に深いものへと変わっていき、遂には舌を入れられて、口内を舐め回され始めたのです。
「もっとキスして欲しい?」
という問いかけに対しても、コクリと首肯しただけで、何も言葉を発することができないほど、興奮していました。
「キスされて興奮しているのね、でもね、ダメよ、興奮しちゃダメ」
と言うと同時に、今度は耳にかぶりつき、耳たぶを舐め回してくるのです。
その行為によって、全身に鳥肌が立ち、全身がビクビク反応してしまいました。
その様子を見た奈々枝は満足そうな笑みを浮かべると、再びキスをしてきました。
しかも先程よりも長く、濃厚でした。
その間ずっと舌を絡め合わせたりしていましたので、唾液の交換が行われていましたが、不思議と嫌な感じはなくむしろ心地良さを感じていました。
「もっと舌出して」
と言われ素直に従うと、今度は舌だけを吸うように甘噛みし始めました。
そしてそのまま口の中に含み、口の中で転がしたり、表面をなぞったりして遊んでいました。
その度に体が反応してしまい、その度に奈々枝は喜んでいました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます