第7話 マリアローズとこれからの事
あの事が起きてから、マリアローズはこれからどうしていくかをノートに書いていた。
「まず、あの牛の怪物は虹色の薔薇が作り出した僕の敵。元の世界に戻さないようにしている」
あの空間は牛の怪物を実体化するために生み出された物だと思う。
「とするなら、あの空間が出る度に僕は戦わないといけない。それは分かるのだけど、僕だけが戦うのだろうか?」
アニメや漫画では仲間と共に困難を乗り越えるとあるが、僕の場合どうなのだろうか?やっぱり同じように僕と戦う人達がいると言う事だろうか?
「仲間がいる方が助かるけど、僕のせいで巻き込まれるのはどうかと思うし……」
うーんと腕を組んで悩んだマリアローズだったが、ふと思い出した事があった。
自分の首元に付けてあるネックレスを見て、先程自分に話しかけてきた声の主を思い出していた。
「あの声……虹色の薔薇とは違う声だった……。あれは、もうちょっと大人っぽい声だった。まあ、理由がどうであれ助けてくれたのはありがたいけど……」
それでも色々気になるが、今はそんな事言っていられない。
「とりあえず、あれみたいな敵が来るんだ。気を引き締めていかないと」
そう言った後、マリアローズはスマホの時計を見ると「あ、」と言う。
「もう寝る時間だ。明日も学校だから早く寝ないと」
マリアローズは、スマホにタイマーをセットしてベッドに入る。
とりあえず、明日で考えようと思い、マリアローズは目を閉じて眠るのだった。
朝になり、階段を降りたマリアローズは、仲良くご飯の準備をしている両親を見つめた。
(この光景も僕が望んだ世界……。もし、この世界が元の世界に戻れば、また両親の仲悪さを見る事になる……)
一瞬だけこのままでもいいじゃないのかと思ってしまったマリアローズだが、自分のせいで死んでしまった命の事を思い出した。
(ダメだ!例え僕にとっては良いことでも他の人を巻き込むのは間違っている!本当は両親が仲良い事は嬉しいしこのままでも良いと思うけど、でもこのまま過ごすのも嫌だ!)
そうだ、自分がやらなきゃならない事はやると決意したじゃないか。この決意を無駄にする訳にはいかない。
「あら、マリアローズおはよう。早く食べないと遅刻しちゃうわよ」
ドアの前で突っ立っている僕に、母が話しかける。その声に意識を引き戻され「今、食べるよ」と言って椅子に座り食べ始めたのだった。
学校に着いて、普通に授業を受けているマリアローズは、色々変わってしまっている物を気づいていく。だからこそ元に戻すんだ。また、あの空間に行ければ何とかなるんだけど。
そう思いながら授業を受けていたマリアローズの願いを叶えるかのように、またマリアローズは空間の世界に行く事になるのだった。
授業が終わり、学校の正門を出たマリアローズの足元に光が溢れる。
「これってまさか……!」
この感じは間違いない。また来るんだあれが……!
マリアローズの体を光が包んでいき、気が付いた時にはまたあの空間に来ていた。
「またここに来た……。でも、また違う感じだけど……」
周りを見渡すと、今度は海の中にいる空間だった。よく見てみると周りには魚が泳いでいて、敵の姿は今の所見当たらない。
「とりあえず変身するか。世界の全てを取り戻す力を僕に捧げよ。僕に力を貸してしれ!ワールドチェンジャー!!」
変身の呪文を唱えた後マリアローズが変身すると、またあの赤い服に変わる。
「うん、やっぱりもう1回見てもかっこいいね」
マリアローズは変身服を見た後、敵がいるであろうエリアを探す。今の所特に敵が襲ってくる様子がない。泳ぎながら移動していると人影が遠くで見えた。
「誰かいるのか?」
その人影がいる所に行こうとしたその時だった。
「っ何!?」
突然サメの怪物が襲いかかってきて、咄嗟にバリアを張って守る。その時に重圧で少し飛ばされる。
「今回はサメか!」
バリアを張りながら、サメに攻撃をしようと火の魔法を発動させる。だが海の中だから火の魔法は使えなくなる。
「っく!どうすればいいんだ!?他の魔法を……!」
どの属性の魔法を使おうかと考えていた時だった。
ばん!!とサメの怪物に魔法が当たる。
「え……。僕は何もしてない……」
一体どこからと魔法が攻撃された場所を見てみると、そこには自分と同じくらいの女の子がいた。水色の髪をサイドテールにして、黒いワンピースのような服を着ている女の子が自分を助けてくれたのだろう。
「君は……」
「何をやっているのですの?早く攻撃してくださいまし」
お嬢様言葉で言ってきた女の子に、攻撃をしろと言われたマリアローズは目の前の敵に集中する。
攻撃されたサメの怪物がまた襲ってきて、マリアローズは雷魔法でサメの怪物をしびらせる。その間に女の子が杖を槍に変え、サメの怪物を刺す。
サメの怪物は血をふきながら体をしびれさせる間に、マリアローズは雷魔法でまるこげにする。そして、女の子が槍で沢山つきながらサメを倒していく。
そして、しばらく攻撃していたら、サメの怪物が倒れて消えていく。そして戦いが終わりほっとため息を吐く。
そして、一緒に戦ってくれた女の子にお礼を言う。
「助けてくれてありがとう。助かったよ」
「いいえ、わたくしは当然の事をしただけですわ。あなたが無事で良かった」
「ありがとう。そう言えば君はどうしてここにいるんだい?本来なら僕しかいない筈だけど」
「それはどういう……?」
「いや、こっちの事だから気にしないでくれ」
「そうですの……。わたくしには分かりませんわ。ただある日声が聞こえてきて。こう言ってきたんです。あなたの力を貸して欲しいと。ある人の力になって欲しいと言われたのです。最初は何の事だか分かりませんでしたけど、この状況を見て受け入れるしかないと思いましたの。その方の力になれるように」
「そうなんだ……」
もしかしたら、それは僕に変身してと言ってきたあの声と同一人物なのかもしれない。あの虹色の薔薇と違う物だとしたら一体何者なのだろうか。
そして、ある人の力になって欲しいと言うある人とは僕のことを指すのだろう。それだとしたら納得はいく。
(だが待ってくれ……。彼女だけじゃなく、他にも僕らと同じ魔法を持っている人間がいると言う事か?)
「ねえ、君。君と僕の他に同じ魔法を使っている人間と会った事はあるかい?」
「ええ、ありますわよ。聞けばみんな同じ答えでしたわ」
「そうなんだ……。あの、もし良かったら僕と一緒に行動しないかい?どうかな?」
「申し訳ありませんけれど、わたくしの他にもあなたみたいな助けないといけないお方がいるかもしれないですし、わたくしに巻き込む訳にもいけませんわ。だから、あなたとは一緒には難しいですわね」
「そうかい、分かったよ。それなら仕方ないね。僕も無理に引き込もうとしないよ。気をつけてね。また、会えたら会おうね」
「ええ、こちらこそすみません。ありがとうございますわ。それでは、ごきげんよう」
「うん、ごきげんよう」
そう言って行ってしまう女の子の姿を見送りながら、マリアローズは考える。
(彼女の話によれば、僕の他にも魔法が使える人間がいる。どのくらいいるか分からないけど、仲間になってくれる人間がいるかもしれない)
そうなれば自分の願いも叶える事ができるかもしれない。だからと言って人を利用したくはないから、協力できる人にだけ力を貸してもらおう。
(そうと決まれば、僕の仲間になってくれる人を探そう。きっと出てくれると思うから)
そう思ったマリアローズは仲間を探すために、敵と戦いながら進めていくのだった。
その途中で仲間になる、ある1人の少女と出会うのだった。
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