第5話 海の光に愛されし魂の旅路

スカーレット・ジェリーフローターの下に入口があり入っていくと一番上はガラスドームのようになっていて。ゆらゆらと魚たちが泳いでいる様子が見えた。乗り込むとすぐに浮上を始め深海にはないキラキラとした光が目を奪った……。これは太陽と言うらしい……

キラキラと輝く光をよく見ると小さな炎が見え隣人たちが楽しそうに踊っていた。隣人たちを見ていると莉亜が近くに来て隣人たちを見て言った。


「くらげ……この子たちはイフリートさ。火の精霊たちさ。くらげの魔力に惹かれてきたんだね。さぁ!くらげ地上の世界だよ!準備はいいかい‽水から出るよ!!」


 すると、大きな泉に出た……泉の周りには色々な植物が植えてあり木材で出来た船着き場のような場所に足を降ろした。すると今まで感じたことのない感覚に襲われた。足の裏にあたる木材のザラザラした感じ……そして何よりも色々な嗅いだことのない香りがした。不思議と嫌ではなかった。空気を思い切り吸い込むと体内に自然と冷たい空気が流れ込んで来た。ここはどこかの中庭なのだろうか。昔…お城で呼んだ本に似たような風景があった気がした。色々と見渡しているとサメリアに頭をクシャとされた。

 

「くらげ……もたもたしてる時間はないよ!着いてきな!!ここは、人間界の私の拠点さ。中庭の湖は海につながっているのは理解したね!中庭を中心に二つの建物でココは構成されているんだ。いいかい……通りに面してる建物は主に客を通したりする部屋。そして、貸本屋と魔女の薬屋になっている。いいかい……裏の建物は住居となっているからね。そこの奥の部屋を使いな。あとここには、2人ほど人間が住んでいるから紹介するよ。瑠璃斗(るりと)! 蒼灯(あおら)!いるかい?」

 「「なーに?姐さん!!!」」

「来たね。私の弟子の碧野くらげ。得意体質なもんで私が面倒見てるのさ。くらげ、こちらは瑠璃斗・蒼灯……二人は血は繋がっていないが兄弟みたいなもんさ。瑠璃斗は、最近やっと成人したところ。蒼灯は16歳だよ。この子たちは私たちの様な種族のことを理解しているから警戒することはないよ。いいかい2人とも、この子は今日……初めて人間に化けたのさ。困ったら助けておやり!特に蒼灯は、人の年齢に換算したら変わらないくらいだ。仲良くするんだよ。さぁ!二人は仕事を頼むよ!!さて・・・出掛けるとするか。これからSheila O’Connor (シーラ・オコナー)という昔からの友人に会いに行くよ。Cianán (キアナン) 今回は、お前の力が必要だよ!出ておいで!!」


 サメリアがキアナンの名前を呼ぶと小さな水の粒がキラキラと光り小さな粒が一つになり大きな鮫の姿になった。


「よう!姉貴呼んだかい?」

「キアナン!お前の力を貸しておくれ。この子は私の可愛い弟子の碧野くらげだよ。元の名は分かるね。」


 キアナンは、私のまわりをクルクルと泳ぎ回り近寄ってきて頬擦りをした。可愛いなぁ……っと思って抱きしめてみるとキアナンが蜂蜜色に輝いていた。驚いて手を放すとキアナンがニヤリと笑って言った。


「姉さんこの子はレアナン・ナン・ジーハンだな。なんて可愛いロビンなんだ。つい蜂蜜酒を飲んでしまったよ」

「キアナンお前って子は……今回の対価はこれでいいね。」

「いいかい。くらげ……今からキアナンに乗って古い友人の元にひと泳ぎさ。いいかい?キアナンいくよ!」

 そう言うとサメリアが「Siorcanna na Srutha, Tar Liom!」と唱えると、キアナンが


「姐さん、派手にいくよ!」


と水流を巻き上げ、鮫の姿で現れた。莉亜とくらげを背に乗せ、


「くらげちゃん、怖がるなよ!」


と……尾ひれを数回振ると魚群が現れたかと思うとその魚群達に導かれ、あっという間に小さなカフェに着いた。とても繁盛してるとは言えない感じでポツポツと常連さんがいる感じだった。入りずらいなぁ……って思ってドアから中を覗いてるとサメリアが勢いよくドアを開けて奥へとズンズンと進んでいったそして、本来は店員しか入らない所を更に進んでいった。


 「シーラ!シーラ!いるかい?」


 奥から作業着を着た背の高いポニーテールの女性が出てきた。こちらを確認すると近寄ってきてサメリアを抱きしめた。


「莉亜じゃないか!!やっときたね!!おや?その子が使うのかい?」


 そういうと大きな目で見つめられた。急に見つめられて恥ずかしくなってサメリアの後ろに隠れると、サメリアによって前に突き出されてしまった。

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