えぇっ!? 最強ガイコツの俺を、役立たずと決めつけてS級パーティーから追放!? でも、超美少女な竜人と新しくS級パーティーを目指すので、問題ありません!

ゆうき@呪われ令嬢第二巻発売中!

第一話 追放されたガイコツ

「ルーン。お前は今ここで、パーティを抜けてもらう!」


 ガタガタと揺れる馬車の中、パーティのリーダーである、ヒゲ面と大柄な体格が特徴的な男の声が響き渡る。


「……はい? いやいやベクターさんよ、冗談はその顔だけにしてくれないか? 話があるとか言うから、何事かと思ったら……いきなり抜けろって言われても困るって!」


 これから仕事をしに行くってのに、突然追い出されると言われた俺は、すぐにベクターに反論すると、ベクターはフンッと鼻を鳴らした。


「冗談? 確かに俺様の顔は、どんな女でも無意識に振り返っちまうような、究極のイケメンだ……冗談と思われても仕方がない」


「おたく、鏡ってご存じ? 振り返るのって、熊みたいな面だからじゃ……」


「やかましい! お前に言われたくないわ!」


「なんだよ。ベクターこそ、俺の良さがわからないのか?」


「スケルトンであるお前の顔の良さがわかる奴がいるなら、今すぐ連れてこいや!」


 ビシッと俺に指を差すベクターの言う通り、俺……ルーンは骨の魔物である、スケルトンと見分けがつかない見た目だ。


「俺はスケルトンじゃなくて、ガイコツだって、何回言えばわかるんだよ! ていうか、なんで急に追放なんだよ!」


「元々お前は、俺様たちがS級パーティを維持するための、人数合わせでしかない。S級は、最低四人は必要だからな。んで、最近うちに入りたいって女から連絡があったから、役立たずのお前を追い出して、そいつを入れるってわけだ」


「へへっ、こんなスケルトンよりも、女がパーティにいた方がいいに決まってますもんね、リーダー!」


「ぐふっ……た、たのしみなんだなぁ……」


 同じパーティに所属する、戦士を務める細身の男と、魔法使いを務める太っている男が、ベクターの意見に賛同する。

 そんな中、俺だけは反論――したりはせず、うんうんと頷いた。


「こんなむさくるしくて、汗臭い男どもに囲まれるよりも、華がある方がいいに決まってるよな! 男として、当然の考えだ!」


「……お前、自分が追い出される側なのに、そこは賛同するって……脳みそ腐ってんじゃねーか……?」


「んなわけないだろ。なんなら開けて見せてやろうか? 目とか口からも覗けば見られるけど、男に近付かれても嬉しくないから勘弁な!」


「気持ち悪いからやめろ! そもそも、スケルトンなら、脳なんて腐り落ちてるだろうが! とにかく、お前みたいな人数合わせの雑用係よりも、実力者の女を入れた方が良いって判断したんだよ!」


「雑用って、お前が雑用しか押し付けなかった結果じゃないか」


 ベクターは、こんな奴は所詮ただの雑魚だ、依頼は最強の俺様たちだけで十分だから、雑用でも任せておけばいいと、常日頃から口にして、それを実行していた。


 新参者だった俺は、その指示を断ることなんて出来るわけもなかった。


 それにしても……ったく、何が最強だっての。確かに冒険者の中では一握りしかいない、S級パーティなのは凄いが、S級パーティしか受けられないような、過酷な依頼なんかは、ビビって意図的に避けるような、チキン野郎のくせに。


 なんなら、簡単な依頼なのに、普通に危ない場面とか何度もあって、その度に俺がこっそり助けていたんだぞ? 俺がいなくなったら、またピンチになっても助けてもらえないぞ!?


「意思疎通が出来るスケルトンなんて、面白くてメンバーに入れてやったけど、普通に悪趣味だったぜ。とにかく、これは決定事項だ。だから……もう俺たちの仲間じゃないお前に、この馬車に乗る資格は無いってことだ!」


「うおっ!?」


 仲間と思っていた三人は、俺の体をしっかりと掴むと、そのまま馬車から勢いよく落としやがった。


 普通の人間でも、馬車から落ちればケガをする可能性はある。そんなことをスケルトン……もとい、ガイコツの俺がされれば……。


「ボス、あいつバラバラになっちまったっすよ!」


 細身の男が言うように、俺は落ちた衝撃で、バラバラになってしまった。


 ちくしょう、これじゃあまるで、放置された死体みたいじゃないか! ふざけやがって! 追い出すにしても、もう少し紳士的に出来るだろうが!


「見ろよ、あの情けない姿! あんなのパーティにいたって、すぐにバラバラになって死んでただろうな! 俺様としたことが、面白そうだからって、変なのを入れちまったぜ」


「うへっ……ぐふふふ……新しい女……早く行きましょう」


「ああ。じゃあな、スケルトン! ここで魔物の餌になってな! がっはっはっはっ!!」


 ベクターの勝ち誇った声が、だんだんと遠くなってきた頃に、バラバラになった俺の体が、カタカタと動き出す。

 すると、俺の体は一か所に集まっていき、何事もなかったかのように、体は元通りになった。


「これでよしっと……あ、あいつら……本当に置いていきやがったな!?」


 どこを見ても、馬車なんて影も形も見えない。マジかよ、こりゃ本当に置いていかれたな……。


 まあ、あいつらはいけ好かなかったし、美女もいないし、出れて清々したな。うん、そう思わないとやってられんわ。


「次のパーティ、どうすっかな……ガイコツをパーティに入れてくれるような物好きなんて、そうそう見つからねーし……」


 パッと見では、ただのスケルトンと変わらないせいで、俺が声をかけた途端に逃げられてしまったり、倒されそうになってしまう。


 そんな状況で、やっと見つけたパーティ……それも目指していたS級パーティに拾われて、これはラッキーボーンだな! って思ってたのに、何の成果もないまま追い出されてしまったというのは、あまりにも痛手だ。


「……ったく、容姿で人を判断するなってーの! まあ、こうなってしまった以上、仕方がないか。今回みたいにならないように、俺がパーティを作った方がいいかもしれないな。よーし、そうと決まれば、とりあえず行く予定だった村で休息を取って、メンバー探しだ!」


 村に向けて出発しようとするが、それを邪魔するかのように、近くの茂みが揺れる音が聞こえてきた。それも、一つや二つではない。


「ん……? なにかいるのか? どちらさんか知らないけど、隠れてないで出てこい!」


「……グルルル……」


 茂みから出てきたのは、真っ黒な狼のような生き物の群れだった。個体によっては、体の所々が返り血で赤く染まっている。


「こいつらは、デビルウルフ? そういや、この辺りに出てくるって、ベクターの野郎が言ってやがったな……」


 集団による狩りを得意とする魔物のデビルウルフは、経験を積んだ冒険者でも、下手すれば、命を落としかねない危険な魔物だ。

 それを一人で相手をするというのは、とても危険な状況だ。


「お前ら、俺はおいしくないガイコツだから! お前らがだ~いすきな、プリップリなお肉はついてないから! わかったらお家に帰った帰った!」


 必死の説得も虚しく、デビルウルフたちは唸り声を上げながら、徐々に距離を詰めてくる。


 このままでは、俺に襲い掛かってくるのは、時間の問題だ。話が通じる相手じゃなさそうだし……こういう時は、逃げの一手!


「って、逃げ道が無いんですけど!?」


 さっさとこいつらから逃げたいのに、後退りした先にあった巨大な木が、俺の行く手を阻んできた。


「グルルルル……」


「わかったわかった! そんな怒らないで、ここは穏便に済ませようぜ! だって、その方が……お前らのためになるんだからな」


 ふぅ……と小さく息を漏らしながら、鞘に収まっている剣を手にかけると、デビルウルフたちは俺に襲いかかってこないどころか、震えながら一歩二歩と後ずさりをし始めた。


 それから間もなく、俺は剣を少しだけ出してから、すぐに鞘に戻す。すると、デビルウルフたちは、何かに吹き飛ばされて、近くの木に激突した。


「きゃんきゃん!?」


 お~元気に走っていったな。ちょっとかわいそうなことをしてしまったが、とりあえず切り抜けられてよかったよかった。


 さてと、気を取り直して村に向かって出発としますか! 待ってろよ、俺の未来のかわいいメンバーたち~!




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【あとがき】


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