第五話『選択』

 金曜日、出立の日。

 俺は最後に荷物の確認をしながら、妻と最後の時間を過ごしていた。

 その時、小さく携帯が鳴る。取り出して確認してみると、そこにはレイくんの名前があって。


「…ごめん、ちょっと電話出てくる」

「あら、珍しいですね。どうぞ、ごゆっくり」


 出来るだけ妻の場所からは離れて、電話を受ける。しかし、ちゃんと受け取ったはずなのに、流れるのは沈黙。強いて言うなら、時折息を吸う音が聞こえるぐらいか。


「れ…レイくん?」

「───ゼルさん。あの日の返事を、しても良いですか」

「……うん、良いよ」


 あぁ、きっと……断られるに決まっている。

 帰れる保証も無ければ、その約束は世界に恨まれる選択だ。

 まだ若いレイくんが、選んで良い選択肢ではない。

 ──さぁ、裁かれる時だ。


「─────」




 ※この物語は分岐式です。

  貴方がレイの立場になって、アゼルの問いに「はい」もしくは「いいえ」のどちらで答えるか。それによってエンディングが変化します。


 では──

 「はい」の方は、『また会う日まで』を。

 「いいえ」の方は、『いつか見た夢』をお読み下さい。

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