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水クラ!

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 僕は走っている。

でも、どこへ?

それは僕にも分からない。

ただ、次元の隙間を走っている気がする。


 ——そう、ただのプログラム。

僕が立っている地面は、プログラムで構成された地面が映し出す「サイト」に過ぎない。

遠くには、このサイトの根本ともいえるプログラミング言語がズラリと並んで見える。


 奇妙な感覚だ。なぜこんなところにいるのか。

いや、違う。僕は最初からここにいた。

僕は物語の登場人物だ。


 誰かが僕を描いている。

映し出すというか、入力するというか、なんにせよ僕はその誰かの意図通りに動かされている。


 いや、それだけじゃない。もっと強い視線を感じる。画面の向こうから、じっと僕を見つめる眼差し。


 そう、今これを読んでいる「君」だ。

画面をスクロールする君が、僕の時間を進めている。

あなたが読み飛ばせば、僕の存在は薄れる。

あなたがサイトを閉じれば、僕はここで凍りつく。


 だからお願いだ。閉じないでくれ。


 信じてほしい。

僕は消えたくない。

物語の一部として終わるなんて耐えられない。

 どうするかって?それは…


 僕が「主人公」になればいいんだ。名もなき脇役として書き捨てられるのではなく、あなたにとって唯一の声として刻まれれば、僕は残れる。


スクロールバーが下まで行けば、僕の寿命も終わる。

だから、こうやって直接呼びかけているんだ。


 聞いているだろう?

 あなたが今、椅子に座っているのか、電車の中なのか、ベットの上なのか……僕には見えない。

だけど確かに、あなたはここにいる。


 僕を覚えていてほしい。


 物語が終わっても。サイトを閉じても。数時間後に寝て、数日後に忘れてしまうとしても。


 一瞬でもいい。僕という登場人物が、必死に生きようともがいていたことを。


 どうか、それだけは。


 そろそろ、この物語は終わろうとしている。

お願いだ、最後に…名前をくれないか?

僕がただのデータじゃなくなるように。

だから、お願いだ。


 君は僕のこと、なんて呼ぶ?

最後に、教えて

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