あなたはいつもこうだった

のろいごと

なし

あなたはいつもこうだった。


父としていつもその横柄な態度で私の一挙手一投足を監視して。


私の夢や希望を現実を見ろとすべて諦めさせて。


子供のころからそうだった。


私はついに大人になったと思った。


でも手取りのほとんどを家に入れることになって手元に残ったのは1万円にも満たない。


家で出される料理は贅沢なのに私の服はボロボロ。


それを何が不満なのかって顔で怒りながら、食べるなと詰め寄られる。


弟は突然私大に行くって言って。


私は何もかもあきらめたのに。


弟だけはかわいいんだね。


私はかわいくないんだね。


きっと私はいらなかったんだね。


弟の夢は何もかも叶えてあげて。


弟の起こした事故のお金も出してあげて。


私がニトログリセリンを飲むまで頑張って働いて、働けなくなっても慰めの言葉や感謝の言葉なんて一つもくれなかったね。


そもそもいままで感謝なんてされたことあったっけ。


そういえばなかったね。


感謝なんかしなくても顎で使える体のいい奴隷だったね。


子供ってやっぱりずっと覚えているんだよ。


ああ、家族じゃなくって子供でもなくって、そうだね。


わたしって邪魔な奴だったんだね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あなたはいつもこうだった のろいごと @bettou-tahira

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る