湯ノ峰市郊外・廃温泉旅館にて

調査報告書・第08号

対象施設:湯ノ峰市郊外 廃温泉旅館「白霧館」

調査日:20XX年2月10日

調査班:湯ノ峰市文化観光課・廃墟調査班


1. 背景


対象の廃温泉旅館「白霧館」は、かつて観光客で賑わったが、経営不振と老朽化により閉鎖された。

閉鎖後、館内や周辺に立ち入った者の一部が、浴場や廊下での異常体験を報告している。


今回の調査は、館内・浴場・周辺施設の現状確認、過去報告の再現性検証、写真・動画・音声資料の取得を目的として実施した。


2. 調査結果

2-1. 施設状況


外観:木造建築は腐食と苔で覆われ、一部は壁や屋根が崩壊。


廊下:畳は湿気で変色し、床板は軋みやすく危険。


浴場:湯船には水が残り、かすかな硫黄臭と湿気で視界がかすむ。鏡は曇っており、一部に割れが確認される。


2-2. 異常現象


廊下で、誰もいないはずの場所から歩行音や扉の軋む音を断続的に確認。


浴場内の湯気に、微かに人影のようなものが揺らめく映像を確認。


浴槽の水面に、手形のような跡が短時間で現れるが、調査班以外の存在は確認できない。


館内の照明は不規則に点滅し、映像には長く伸びた影が確認された。


2-3. 証言断片


元従業員O(女性・60代)

「閉館後も、夜になると廊下や浴場から誰かが歩く音や話し声が聞こえた。私一人しかいないのに……」


近隣住民P(男性・50代)

「旅館前を通ると、窓の奥に誰かが立っている気配を感じた。しかし近づくと誰もいなかった」


3. 総合所見


調査期間中、廊下・浴場・客室で断続的な異常を確認。

足音、人影、手形、点滅する照明など、調査班以外の存在を示す現象が記録された。

映像・音声資料は不完全であり、原因は不明。異常は未解決のまま公式記録として残す。


4. 備考


本資料は公式調査記録として保管され、無断での閲覧・複製は禁止。


映像・写真資料の一部は劣化または消失しており、全貌確認は不可能。


異常は現在進行中の可能性あり。


木造建築の老朽化や湿気による危険も高く、立入禁止区域の厳守を推奨。


💡恐怖演出ポイント


廃温泉旅館特有の「湿った木造」「浴場の湯気」「畳の軋み」「照明の点滅」を活用し、視覚・聴覚・嗅覚で恐怖を演出。


証言と断片的な記録で全貌を語らず、読者の想像力で恐怖を増幅。


読み終えた後に「異常は未解決」「現象は現在進行中」という余韻を残す。

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