波影市港湾区・廃船にて
調査報告書・第06号
対象施設:波影市港湾区 廃船「第七光洋丸」
調査日:20XX年12月28日
調査班:波影市文化観光課・廃墟調査班
1. 背景
対象となる廃船「第七光洋丸」は、かつて観光クルーズや漁業兼用で使用されていたが、事故と経営破綻により港湾区の沖合に放置された。
近年、船内に立ち入った者が失踪する事例や、船体周囲で異常な現象を体験する報告が相次いでいる。
今回の調査は、船内の現状確認と過去報告の再現性検証、写真・動画・音声資料の取得を目的として実施された。
2. 調査結果
2-1. 船体状況
外観:船体は錆びつき、船首は波の浸食で損傷。甲板には割れた木材と鉄片が散乱。
内部:狭く湿った通路にカビ臭と腐敗臭が充満。船内階段は一部崩壊。
機関室:長年放置された機械類は錆び、油と海水が混ざった匂いが立ち込める。
2-2. 異常現象
船内の暗い通路で、足音や甲板上の金属の軋む音が断続的に発生。調査班以外の立入者は確認されず。
船内撮影の映像に、薄暗い通路をさまよう人影が映り込む。人影は前後不自然に途切れ、全身の形状を特定できない。
船尾甲板では、波の音とは明らかに異なる、低く呻くような声が録音されていた。
船室内で、調査班が触れたはずの手すりが、微かに湿っており、誰かの手形が残っているように見えた。
2-3. 証言断片
元乗組員K(男性・60代)
「船を離れた後も、夜になると船内に人の気配や声がすることがあった。誰もいないのに、甲板の上で誰かが歩く音が……」
港湾作業員L(男性・40代)
「霧が濃い夜、船の影が揺れていると思ったら、人影が立っていた。近づくと、そこには誰もいなかった」
3. 総合所見
調査期間中、船内および甲板で断続的な異常を確認。
足音、人影、低いうめき声、手形のような痕跡など、調査班以外の存在を示す現象が記録された。
映像や音声資料は不完全であり、原因は不明。異常は未解決のまま公式記録として残す。
4. 備考
本資料は公式調査記録として保管され、無断での閲覧・複製は禁止。
映像・写真資料の一部は劣化または消失しており、全貌確認は不可能。
異常は現在進行中の可能性が高い。
船内は構造的にも危険であり、立入禁止区域の厳守を推奨。
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