「伝統と革新が融合する、新たな"守護"のSF叙事詩」
- ★★★ Excellent!!!
序盤から圧倒される世界観の構築力!「逆鎖国」という独自の設定から始まり、専守防衛を極めた日本が生み出した《サムライ型パワードアーマー》という発想に心を掴まれました。
特に印象的なのは、未来の断片から語り始める構成の巧みさです。豪雨災害での救助、テロ鎮圧での「誰も死なせない勝利」、宇宙空間での防衛――これらのシーンが示す「守護」への哲学的な問いかけに、ただのロボットものではない深みを感じます。
主人公・藤林匠の造形が素晴らしい。甲冑師の家系最後の継承者として、祖父から受け継いだ「鎧と対話するように磨く」という所作と、最新テクノロジーを融合させる姿勢。伝統工芸の精神性と、3Dプリンターやチタン合金という現代技術が違和感なく共存している描写に、作者の確かな筆力を感じます。
「八咫」「草薙」「勾玉」という三種の神器になぞらえたシステム設計も秀逸。日本神話のモチーフを、認識・能動・心という機能に落とし込む発想が見事です。特に《礼式ロック》という、精神状態と同期して真の力を解放するシステムは、単なる兵器ではない「道」としての鎧という思想を体現していて唸らされました。
そして、秋田犬の「ぽち」!シリアスな世界観の中で、へそ天で寝る姿や焼き芋好きという設定が、物語に優しい温度を与えています。激しい雷雨の中、不安そうに匠に寄り添う姿が、これから起こる運命の夜への予感を高めます。
『鎧はな、ただの道具じゃない。これを着た人の命を、背負うべきものを、そして何より、その者の心を護るための"道"なんだ』
祖父の言葉に込められた哲学が、物語全体を貫く芯となっているのを感じます。これは単なるSFアクションではなく、「守る」ことの意味を問い直す、現代の叙事詩になる予感がします。
工房に迫る豪雨、警戒レベル4の避難指示、そして試作機v0.9――物語がどう動き出すのか、続きが待ち遠しい作品です!