第四太子の教育係~堅物アラサー女官は、太子に閨教育を所望されています。いや、無理~
巻村 螢
序:波乱の予感
年上を舐めてもらっては困る
聞いたことは忘れないという、なんとも地味なものだ。
三十年生きてきて、ものを学ぶとき以外に、この特技があって良かったと思ったことは数えるほどしかない。聞いたことを覚えていても、自分は相変わらず平民の女官でしかないし、何かに影響を与えるような大層な人間でもない。
権力や後宮の寵争いとはまるで無縁の、小説でいえば名すら与えられない、最初に主人公に話掛けて即退場するような端役だ。
だから、たとえ噂の問題児の教育係を命じられたとしても、それで何かが変わるなんて、これっぽっちも考えていなかったのだ。
「俺に時間かけても無駄だよ」
片足を窓台に立てて座る行儀の悪い男は、小琳を値踏みするような目で眺めていた。
「そんなに俺の講義をしたいってんなら、『
窓台から降りた男は、小琳を威圧するように距離を詰めて、目の前に立ちはだかった。
「でもまあ……女しか相手したことのないあんたが、俺を満足させられる自信があればって話だけどさ」
小琳は少しも怯むことなく、それどころか目の前に迫っていた男の胸板を、手で軽く押し返した。
トトッとたたらを踏んで、彼は数歩後退る。
「四殿下に閨教育など無駄です」
真っ直ぐに男を射すくめ、満面の笑顔を湛えて小琳は言った。
「四殿下の子種を、無理に残す必要はありませんから」
「無――っ!?」
男――第四太子は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます