第9話・2006.4.24(mon)『アイス』

・・・・。


紺野と佐伯の関係に、嫉妬する乙女座A型です。

もーやだ、紺野と佐伯みたいになりたい・・・。


今日は朝っぱらからあいつら2人で喧嘩しててさ・・。紺野の髪型がバンプのもとおくんに似てるだなんだって、佐伯が絡んで喧嘩になってさ、俺らが止めて、そこに先輩がきたから朝練始まったんだけどさ・・・


放課後の部活の時、佐伯がね、珍しく調子が悪くって、紅白戦でシュートはずしまくっててさー・・そしたらね、紺野がね・・佐伯のことを励ましてんの。


いいことしてるんだけど、なんかむかついて・・・仲悪いなら仲悪いままでいいじゃんって・・そんな風におもっちゃったんだ・・俺。


普段仲悪いんだけど、いざという時にはスゲエ仲良しっていう・・そういう感じの・・俺と紺野の間にはない絆みたいなつながりに・・嫉妬して俺は、一人ぼっちで取り残されたような気分になった。


いつものごとく落ち込む俺、こんなんだから友達できねーんだよ・・。


帰り道、幸い佐伯は逆方向だから、俺は紺野と一緒に帰って、途中でアイスをおごってもらった。紺野は甘いもの好きじゃないのに、アイスは普通に食えるんだな~・・・。「アイス好き? 」俺が聞くと、紺野はボケたような顔で「普通・・」ってこたえた。


「普通って何?」

「・・・別に・・意識したことないからわかんない」

「じゃあ、ある意味好きってことなんじゃねえの?」

「でも俺、カラアゲのほうが好き・・かな」

「・・・・・・・」


・・・・なるほど。アイスは普通に好きで唐揚げは大好きってことか。


一回話をするごとに、一つずつ紺野を知って行く。そういうことが俺の充実感に繋がる。自分の世界が更新されていく感覚が好きだ。ニヤニヤしながらアイス食い続けて、幸せだったから紺野に話しかけた。


「ねえ、お前って・・佐伯と仲悪いの?」

すると紺野はこういった。


「きまってんじゃん。前世からだ」


今日学んだこと。


1.紺野はアイスは普通に好きで、カラアゲはかなり好きらしい。

2.佐伯とは前世からの不仲スパイラル。



そしてもう一つ、これはうれしかったこと。


俺の機嫌を直そうとして、紺野が買ってくれたアイス。俺が昼飯のときに『〇〇ってアイスが好きなんだ~』っていってたまさに、それだったんだ。

覚えてくれてたのが嬉しかった。



覚えてくれてるってことは、ちゃんと俺の話を聞いててくれてたってことで

俺はそれだけで生きていける。明日も明後日もずっとずっと。





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