第7話・2006.4.21(fri)『ぐそう』

今日、学校に行ったら紺野と斉藤が談笑していた。


俺が教室に入った事に気づかないくらい盛り上がってて、頭にきたから俺はそのまま無言で紺野の膝の上にドカっと座る。ぽかーんとした顔であっけにとられてる斉藤と紺野の顔見た瞬間、ある事実にハタと気がついた。


俺、いつの間にこんなキャラになっちゃったんだろう・・・


クラスの奴らがそんな様子を見て『また始まった、ユッキーの嫉妬生活』とかいう。・・ああそうだよっ。だからなんだよっ。俺様主義に口出すんじゃねーっつの。このキャラとっくに定着してる今、俺に怖いものなんかなんにもねーしっ



俺がプンプンしてたら、紺野が俺の頬をブニくった。なにすんだーって俺が睨むと、紺野は俺のデコをパシっとはたいた。だから超至近距離で紺野にガンとばしたんだけど、あいつはフフッて俺に笑いかけて『幸村。おはよ。』ってかすれ声でいうだけ。斉藤もそんな俺を見て『おはようさん。』っていって笑った。


今現在。俺は紺野と斉藤と三人で主に行動している。紺野と俺が一緒にいると、斉藤がはいってくるんだよね・・。はじめは紺野と俺の2人で行動してたんだけど、斉藤が入ってきた途端、なんか妙に焦っちゃってさ・・。紺野とられたらどうしよ・・って、とられるも何も、俺のものじゃないのに。



今までガマンしてきたから、友達っぽいことをいっぱいしたいんだ。仲良くしたい。でも加減がわからない。紺野相手だと、本当に加減もなにもかもがわかんなくなる。だってあいつ、何しても嫌そうな顔しないし、ボケキャラでバカだから、そばにいて楽しいし・・


部活の時、紺野にさ・・「俺、お前にじゃれつきすぎかなー」って言ってみたの。「えー・・?なにそれ?お前でもそういうの気にすんの?」紺野は柔軟しながら言う。


だから「今までハブられてたからさ、人との距離のとり方とか見失ってて、加減がわかんない」って答えた。そしたらね、紺野が「別に普通なんじゃねーの?お前自身は若干変わり者気味だけど」っていうんだよ?「なにそれ!どっちなんだよもー!!」って文句言って、俺は紺野におぶさった。


「軽いね・・お前。もっと飯食え」そう言うと紺野はそのまんま、俺を背負ってモップがけを始める。俺の方が背が高いんだけど、紺野は全然へっちゃらみたい。俺はこう見えて末っ子の甘えん坊。甘えることに関してはプロ級。『背後霊がいる・・・。』と部活のみんなに言われたけど関係ないね!!無視だ!無視無視!


俺と一番仲良くしてよ。独占したい。俺だけの紺野!


モップがけが終わったから、俺は紺野の背中からピョンっと降りた。同じ部活の佐伯麦に「成仏したのかー?」っていわれたー。くっそー。俺は紺野の背中にパンチ。紺野はあくびしながら「いてえ」とぼやく。モップを片付けにいっちゃったから、後を追ってまたおぶさった。


なんか駄目だな・・俺・・。もっと色んな人と話さないと。佐伯もそうだけど部活の子達、みんな人懐こくていいやつばっかなのに・・・。一番最初に仲良くなったのが紺野だったから、他の友情を開拓しなくても十分満たされちゃっててさ。


でもこのまましつこく紺野至上主義繰り広げてたら、きっと疎ましがられるだろうし、そんなのヤだし、悲しいしそんなことでグルグルと悩む根暗な俺。


何とか打破したいな。なんとかさ。まあ、そのうちに頑張ろうかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る