第2話 私が夢見ていた転生?を成し遂げました!

・「おい!皆のもの見てみよ!召喚に成功したぞ」

その声で私は起きた。だが、1つ思うことがある。

これは…召喚というのだろうか?実際私はもう死んでいるのでどちらかというと転生なのではないかと思っていると、今度は「聖女が目を覚ましたぞ!」と周りの人々が騒ぎ立て始め、また周囲がうるさくなった。だが、召喚の儀式なんてこんなもんだろう。


逆に、携わる人や周囲を囲む人がいなければおかしな話だ。でも、聖女が毎回このような思いをしているのだろうと感じると案外応えるのではないのかと未だどこか他人事のような感想が上がってくる

それが正常なのである。今までこのような経験をしたことがないのだから。だが、聖女として召喚された以上いつまでもこのような思いに引きずられる訳にはいかないのだが、一度死んでいるのでその分気も滅入っていたり、混乱が起きていたりなどさまざまな混沌が生じている状況である。


 それは、あのときぬいぐるみを買えなかったことである。皆にとってはそんなことかもしれないが、買えなかったという事実が私の心を締め付け、心残りと化している。だが、だからといってこれからはどうすることもできない。なぜならこの世界は私が元々生きていた世界とは違い、お店も出ているわけではない。それに、出店されていたとしても魔術本や、回復薬、武器などを扱うお店しかないため、私が今求めている雑貨店はない。それは、言わなくても分かることだから余計に悲しくなるのである。


 だが、考えている途中である方に呼ばれ、思考を放棄させらざるを得ない状況になる。

…ちなみに、ある人とは聖(ライト)陣営の方である。なぜなら、背中に純白の羽が生えているからだ。背中に生えている羽は神々の寵愛の証、そして

神々の力をも統べる強さが施されている証である。そんなものを間違えるはずがない。

…私は改めて聖女という立場に立たされている状況に痛く感激し、感銘を受けた。それに、あのとき引かれていなければ絶対に来られなかった世界だと言っても過言ではない。というか死んでもここに来ることなんて誰一人として体験しないだろう。


 私はその優越感に入り浸りながら女の子の後をついていく。最初は、ぬいぐるみが買えないことが心残りだったがこんな世界に来れたのであれば随分と安いものだ。と考えているうちに聖殿らしき建物に到着し目の前の女の子が"ギィィッ"と自分より遥かに大きい扉を力いっぱい押して私を心配しながら中へと進んでいく。


中は、何やらローマ絵画のようなものが飾られていたり、中央にシャンデリアや

昔からの誇り高き聖人の彫刻などが飾られていた。

部屋はいくつかあったが、明らかに一際目立っている部屋が真っ直ぐに進んで行く通りにあったため、そこなのだろうと本能的に感じ、息を整えてその部屋へと入っていった。


すると、「やあ。こんにちは!」と控えめでどこか芯があるような声の方に挨拶の声をかけられた。

その方の名前は、エムディティス・サズレイン様である。このお方は、このリブザクト王国の第2王子であらせられるお方である。何故私がこのことを知っているかというと、聖殿へと移動する際遠くから

サズレイン様のことを小耳に挟んだためであるのだが遠くにいても丸聞こえになるくらいの声で話していたため自然に聞こえてしまうのは言わなくても分かるだろう。


それに、自分でも気になっていた情報であったため耳を立てて聞いていたのだ。それにしても、この国は様々な種族が行き来する場所であるためそんなに陛下様の情報を漏洩して大丈夫なのかと心配になる。だが、まあ大丈夫だろう。私はそう信じることしかできない。すると、私が無意識に百面相をしているのを見た陛下は「ハハハハ!w」とどこか楽しそうに面白そうに笑っていた。だが、

悪魔のような笑い方ではなく、むしろ無邪気な笑い方をしているので私はとても恥ずかしくなってしまった。なので、いっそのこと悪魔のように笑ってほしかったと思っていると、「すまないな!君の表情をみていると可愛くてしょうがなくてw」と言われたので、あまりの不意打ちにまた顔を赤らめていると「君の名前は何という?」と聞かれたので答えようとしたのだが、この世界にきてから名前という名前を持ち合わせていなかったため正直に答えることができないのだ。


…例え正直に言ったところで待ち受けているのは国外追放だろう。異国外のものとして追放されるのがオチだ。それが分かっていて私がどうすればいいか分からずしどろもどろになっていると、サズレイン様は「焦らずにゆっくりでいいから教えてくれ」と柔らかい表情や声でおっしゃられたため、私はこの世界の名前を答えた。ちなみに、この世界での名前はアインフィーネ・フィオナと名乗った。なんだか自分で作った名前だからかネーミングセンスがイマイチだな…と思っていると「そうか!フィオナか!とても可愛らしくてかっこいい名前だな」とお褒めの言葉をなんといただけたのだ。正直未だに信じられないが、それが事実として残っていることだけでとても嬉しい。だが、そのような些細なことが、自分の原動力になるなどとは到底思いもしなかった。


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聖女になりたいと思っていた私ですが、なりゆきで魔王の下僕となりました💦 ミント @mihox

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