タイトル未明

ronboruto/乙川せつ

不明、未明、不能、現実、現代

タイトル未明。


作者にとってそれは致命的なこと。


小説家だろうが漫画家だろうが画家だろうが、タイトルのない作品を作ってはいけない。


読まれない、見られないからだ。


――――――何故って?


分からないからさ。


カクヨムでも、なろうでも、ハールメンでも……だってそうだろう?


人は分からないものを避けたがる。危険があるかもしれないからな……。


Web小説にそんな危険はないと分かっている。でも、人は興味に素直なのだ。


興味が生まれない小説や作品には見向きもしない。


まったく勝手なものだよな。


作者おれたちがどれだけ必死で作品を書いているのか。


作品の世界に本当の世界がいるとは思わないのか。それを知ろうとはしないのか。


まぁ、そんなことは言えないわけだが。


さて、ここまでは作品について私が思うことを書きなぐった。


では私が何を思うのか、本当に知りたいものを言おう。


私の人生ものがたりのタイトルは、いったいどうしたらいいのだろう。


乙川せつ物語?


ronboruto日記?


生まれてきたら俺だった件?


転生しなくても人間に生まれていたお話?


平凡な男の平凡な人生……そう決めるには、私の人生は刺激的で、劇的だ。


そして誰だったかは忘れたが、私へこう言った。


『お前は若いんだからまだそんなこと考えなくていいんだよ。死ぬ間際に考えやがれそんなことは……そして、最高のエッセイを遺せや。お前より長生きして笑ってやるからよ。それをあの世からみて恥ずかしがってろ、自分の人生を読まれる姿をな』


ソイツはこうも言っていた。


『お前は主人公だよ。一人ひとり主人公っていう言葉があるけど……そうではない。人は誰かに知られて、読まれて主人公になれるんだ。だから描け。指を動かせ。お前の世界を――――――世界に届けろ』


その時はなに言ってんだコイツと思った。


でも、考えてみたら……割といいこと言ってるかもしれない。


そうだな、「俺」の物語は――――――俺が完結させないとな。


タイトル未明、作者俺。


物語は――――――、



                            ――――――つづく。

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