第13話
フララスが浴室から出てパジャマに着替えると、アマリリスはふかふかのソファに腰を下ろし、柔らかく笑いながら声をかけた。
「さあ、ここに座って。とにかく頭の中から、今までの嫌な話とか、暴力的な言葉とか、自分に向けられたネガティブなことを全部捨てるのがまず大事だよ。ここではのんびりすればいいんだよ」
フララスは少し肩を落としてソファに腰掛け、言葉を探すように小さく頷いた。
アマリリスは隣に座りながら続ける。
「何も考えないとか、家の両親はご飯を美味しく作ってくれるし、毎日美味しいご飯を食べてお風呂に入って、ぼんやりしてればいいんだよ。それに漫画とかゲームとか気晴らしもできるし、散歩だっていい。そうやって頭の中から嫌なことを少しずつ押し出していくしかないんだよ」
フララスは、柔らかいソファに身を沈め、言葉を探すように静かに答えた。
「……うちの両親はいつも働いていて、私の話を聞いてくれることはありませんでした。だから私は、人の話を聞いてあげなきゃいけないって思ったのかも………」
アマリリスは少し間を置き、肩越しにフララスを見つめる。
「そっか……それで、溜め込んじゃったんだね。私もそういうことあるからわかるよ。神だからって、全部抱え込む必要はないんだよ。親はいつもそう言うんだ。嫌なことをリラックスして追い払うこと、頭の中でさらに嫌なことに大きくしないこと。まずはそれが大地だよ」
フララスは小さく息を吐き、手元のクッションを抱きしめた。
「……そうですね。誰かのために、ずっと自分を犠牲にしてきた気がします。でも、ここなら……少し休んでもいいのかもしれません」
アマリリスは優しく微笑み、フララスの肩にそっと手を置いた。
「もちろんだよ。ここではもう、誰かの期待に応える必要はない。まずは自分を大事にすること。ゆっくりでいいんだよ」
二人はしばらく静かに、ソファで身体を休めた。部屋の窓から差し込む柔らかい光が二人の髪を照らし、ほんのり温かい空気が漂っていた。外の世界で抱えてきた重さや悲しみが、ここでは少しずつ溶けていくようだった。
フララスは小さな声でつぶやく。
「……こんな風に、のんびりしていいんですね」
アマリリスは軽く笑って答えた。
「ここではね。ゆっくりしていこう。もう、焦る必要なんてないから」
部屋には穏やかな静寂が広がり、二人の心もまた、少しずつ柔らかく落ち着きを取り戻していった。
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