第2話

階段を登って手前の1室のドアの前にクロが、座っている。ベランダに出したはずなのに、逃げないで待っているかのように、そこにいるのだ。

江口はそこをどかそうと睨みつけてみたが、クロは顔を右足で顔を洗っていた。江口は(お?雨が降ってくるのか?)と思った。自分は以前、実家では猫を飼っていたので、猫の習性は解っている。

(雨が降って濡れたら、可哀想だよなあ。)(しょうがないなあ。)と心の中で呟く。

クロは(結構、簡単に部屋へ入れてくれたもんだ。)と思った。ドアを開けた、その日からクロの主となった。

毎朝、主は会社に出勤する前にカリカリを皿に入れてから出掛けていた。会社から帰ってからの主の

独り言に付き合っていたら今日の1日の出来事は、

全部わかった。クロ(因みに、人の言葉が何故だか

解るんだよね。)


数ヶ月すぎる頃、やっと仕事にも慣れてきた。とか仲の良い同僚も出来たとかがわかった。

今日は、その同僚と仕事帰りに夕食と呑む為のツマミの買い出しする為にスーパーへ2人で寄って来るそうだ。クロは、ちょっとお気に入りのレジの店員がいる事を、しっかり聞いていた。

三角と食材をカゴに入れ終わりレジに並ぶと、いつものレジの彼女と普段、軽い会話をしていたので

「こんばんは。」と挨拶すると横にいた三角が小声で

「可愛い子ですね。」と言うが「俺にとっては娘みたいな子なんだぞ。」「だったら、紹介して下さいよ。」積め混んだ袋を渡して、手でこいの合図できたのでレジにお客が居ないのを、

見計らって「これ、俺の同僚の三角って言うんだ宜しくだよ。」俺が帰るので手を振ると三角は、恥ずかしそうに会釈した。自動ドアの方へ歩き始めた後を小走りで追ってきた。

部屋へ戻るとクロがちょこんと玄関の入り口で座っていた。俺はクロに「ただいま。」と言うクロは(おかえり。)とクロは心の中で挨拶していた。

2人は、その晩呑み明かしたが、ただ呑んでいたのでは無く、お互いの境遇を語り明かしていたのだ。

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