十字架のネックレス (クロの旅)
柳 恵子
第1話
晴れた空に雀の囀りの中「ギィィ。」と扉が開いて
刑務官が1人、見送りに白髪混じりの頭の男(江口 満夫51歳)が出てきて、お辞儀をした後歩いて行く。
歩きながら、今日からの生活を考えていた。
スマホも無い、所持金も少ない、保護観察中なので保護司の言った通りアパートも働く所も打診されたも
気持ちは、余りのらない。だが足は地図を見ながら
その場所へと歩いている。
どのぐらい歩いただろうか、頭を上げる、すると目の前に二階建てのアパートがあった。
二階の201号、此処が住む場所になった。鍵でドアを開けると、かび臭い。空気を入れ替える為に窓を開け、その間部屋で鞄に入っている物を出し並べ終わって窓を閉めようとする所窓枠の所に黒猫がちょっこんと座っている。
「お、何処の子だあ?」と言うと黒猫は、ポンと飛び降り部屋へ入ってしまった。
クロは「ミャアー。」と鳴き主に気に入ってもらおうと、頭を擦り付けていく。
江口は頭を撫で始めた。クロは(よし!これで雨風が凌げるぞ。)と思った。だが俺の首根っこを掴んで窓から外へ出されてしまった。(え!なんで?)と考え(そんなに最初から上手くいくはずが無いか。)次からは、玄関の前に座って待とうと思った。
江口は今日からの食材を買う為に、スーパーに出掛ける。レジの列に並び自分の番になり、お会計をしようとして、財布から小銭から使おうといてモタモタしていると後ろの方から「チッ!」舌打ちが聞こえた。
焦っていると、「後ろでお待ちのお客様、少々お待ち下さい。申し訳ございません。」と、レジの(20代ぐらいで髪を1つに後ろへまとめた店員の対応だった。)
名札には南とあった。代金を払った後、江口は会釈してその場を後にした。
だが、胸の奥が重石を抱えたように重くなる。何故なら、自分が〇してしまった人物の名前が一緒だった事で見たく無い名前だったのだ。重い足取りで帰宅の道を歩いた。
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