AQIRA2 KISS
『食べたい』
今度は嘘みたいにすんなり従う、
可愛いヨーコ。
君、最初からその気だったでしょ?
で、俺達は知り合いのもんじゃの店へ。
やっぱビールで乾杯、
明太チーズをオーダー、
楽しげに話す俺、てかマジ俺だけ。
で、あんま会話っちゅー会話もなく、
『どうしよっか? 呑みなおす?』
と訊くと、コクリ。
ああね君、もしかしたらその気?
てなぐらいにすんなりなお返事。
で、タクシーで隣町までと思ったが、
『あ、ソコ手前で曲がって』
と、試しに行き先を変更した。
ヨーコは酔ってるからなのか、
けだるそうに、
俺に寄りかかったまま。
『……ね、ヨーコちゃん、いくよ?』
『ンー? ああ……うん』
みるみる町並みが変化する。
恋人達が集う、あのハコが集まる場所。
タクシーの支払いを済ませ、
ヨーコの二の腕を掴んで降ろすと、
最後の脚が引っかかり靴が脱げた。
寒いのに素足だったヨーコ。
『大丈夫?』
靴を拾ってやり肩を貸すと、
首に両手を回してくる、
抱きつくように。
『靴は履かなきゃ』
俺の肩に、ヨーコの胸があたる。
あ〜あ、もうこれでお決まりだな。
100%OKなんだね?
『おいで』
ふらつくヨーコの腰を抱いて、
目前のいかがわしい建物に入る。
キーを手にヨーコを抱いたまま、
指定のハコへ。
部屋へ入ると、
更に妖しい空気が充満する。
部屋の温度があがり始める。
『呑む?』
『フフ……呑めないの』
『じゃ、俺は先シャワーすんね』
『……ン』
と言うと、ヨーコはぱたりと
ソファへ倒れこんでしまう。
コイツ寝ちまうのかな、
と、ちょっと残念だけど。
ま、いっか。
シャワーを済ませて出ると、
なんとヨーコさん、
ワインを呑んでいた。
んで、俺は、
『シャワー行かない?』
とすすめた。
『あ〜・・・ン? そっか』
と、いきなり脱ごうとする。
『いあいあ、ナウ、ここで?』
『フフフ……だめかぁ!』
なんて酔っ払い独特のバカ声。
で、背中のファスナーを下げろという。
それぐらいなんともないんだけど、
この人、下着をつけていなかった、
パンティだけ。
背骨がコツコツとはっきりと見える。
触りて〜
という当たり前欲求を堪え、
俺はヨーコをバスルームまで連れて行き、
溜息つきながら冷蔵庫を目指す。
俺もワインを手に取った。
しばらく待っていると、
お待ちかねのヨーコ嬢が、
バスタオルを捲いて出てきた。
髪上げて、濡れた髪から首筋に、
水がポタポタと零れ落ちる。
ああ、たまんないな。
『ちょーだい?』
とオネダリするヨーコ。
『呑めんの?』
『んふ、呑めるぅ』
俺の隣にドカリと勢いよく座って、
呑みだしたヨーコ。
ヨーコのカラダから
湯気が立ってるみたいで、
ムンムンと生暖かい空気が揺れている。
すぐにヤっちゃいたい、
と、男なら当然の欲求。
俺は準備OKだけど、
シャワーから出てきた途端に、
サカルなんてことはできない俺の純情。
で、バカな話をべらべらと話した。
ヨーコの横に居ると、
俺の別人格サンが煩いので、
俺は向かい側に座って話し続けた。
ああこれじゃ、店と一緒じゃん?
『で、彼氏って誰かに似てる?』
という何気な質問に、
ビクリ、
と反応するヨーコ嬢。
……しまった。
『ハハ……ありえない』
とニガ笑うヨーコ。
『おぅ、悪いね』
俺は素直に謝った。
『いーけど』
あ〜あ、俺ってばバカ!
で、俺も必死になっちゃう。
名誉挽回?
笑いとらなきゃ……(ぇ
と、悪戦苦闘しながらふと、
ふと、ヨーコの顔を見た。
!!!
笑っているヨーコは、
笑いながら……泣いていた。
いや、泣きながら笑っていた?
ああ!
全身に、熱くて痺れるような
心地いい電気が篭って、
胸をズキュンズキュンさせる。
ヨーコは涙を拭い続けている。
俺は、たまんなくて、
たまんなくなっちゃって、
その手を掴んで開いて押し倒す。
泣いて小さく、
『まって』
と訴えるヨーコに、
俺は貪りつくようにキスをした。
少し強く、舌を押し入れると、
弱弱しく……抵抗するような、
ヨーコの舌とクチビル。
もっと必死に閉じてたなら、
俺だって、こんなに強引に
こじ開けたりなんかしないのに。
なのに、
ヨーコのクチビルはユルク開く。
ヨーコとの初めてのキスは、
俺の雄を誘う、
忘れられないものだった。
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