第24話
「僕、ベガを連れていきたいところがあったんだ。仕事を早く終わらせて一緒に出かけよう」
「二人でやればすぐ終わるわよ。楽しみだわっ」
キャッキャと話す二人に昴琉は目をすわらせる。
「さっきとは真逆じゃねえか。まったく、世話のかかるやつらだな」
「ふふ。仲直りしてくれてよかったじゃない。昴琉の名案のおかげだね!」
「……う、うっせえな」
昴琉は珍しく戸惑ったような声を出した。
耳がほんのり赤く染まっている。
私はほんとのこと言っただけなのに。変なのー。
顔を覗き込むと、プイッとそらされちゃった。
「素直じゃないですねー」
ポラリーが無邪気にあははっと笑う。
ベガさんとアルタイルさんがともに寄りそいあって歩み寄ってきた。
「あなたたちには迷惑をかけたわ。でもありがとう」
「僕たち、もう戻ることにするよ。七夕が来るまで、ベガを待つことにする。それまでしっかり仕事をしなきゃね」
二人はお互いの目を見てゆっくりとうなずきあった。
よかった。帰る決心をしてくれたんだね。
ポラリーが二人の近くまで飛んでいく。
「宇宙に戻ったら、ちゃんと元の位置に戻ってくださいね。くれぐれもまた地球に来ることがないように」
「ええ」
「わかってる」
二人とも、覚悟を決めたような顔だ。
私はうれしくなって微笑む。
「宇宙に行っても元気にしてくださいね!」
「ああ。君たちもね」
「もうケンカすんなよー」
「それはわからないわ」
「えっ」
アルタイルさんは凛々しい顔で微笑み、ベガさんはおちゃめな顔でえへっと笑う。
次の瞬間、二人は柔らかな光に包まれた。
「「じゃあね」」
光の中で二人が手を振った気がした。
私も力いっぱい手を振り返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます