異世界転生させる側になってしまった。
inazuka
第1話 転生してまさかの神側!?
ここは何もない白い空間。そこに一人の人、いや今は神がいた。彼は
新田優都(あらたゆうと)。ここではカタカナでユウと呼ぶ様にしていた。
その彼の隣にはもう一人の神、女神のライラという女性がいる。ユウは
彼女に同じ神側になってほしいと頼まれてそれを引き受け今にいたっている。
「本当に助かるわ。あなたが神になってくれて」
「本当にこんな簡単になれるなんて思わなかったけどな。でもこうして
もうすぐ亡くなってしまう人のリストを見て先にどの世界に送るかを
決めるなんて滅多にできない事だしな。まぁ本音を言えば俺も異世界転生
して冒険したかったけど」
「それは説明した通り、いつでも自分で行けるか問題ないわ。しかも元の
世界にも行けるしね」
「そうだな。でもさすがに元の世界に戻るのはな。今頃葬式でもしてるだろうし」
彼がここに来たのはつい昨日の事。三日前に入学したばかりの高校に向かおうと
したが音楽を聴きながら歩いていた為車が接近する事に気づかず信号を渡ろうと
したときにひかれてしまった。
そして気づいたらこの空間にいた。
「さて、今一番近い奴は・・・この子か」
「あらかわいそう。病気で亡くなってしまうのね」
「こういう時でも転生させるのか?」
「ええ。基本亡くなった人には転生させてあげるのがルールよ。もちろん
例外はあるけど。まして彼女みたいにまだ大人になれないで亡くなってしまうとなるとね」
「そうだな。未練はあるだろうが、別の世界で充実して欲しいな」
ユウは彼女の様子を見る事にした。その彼女の名前は清水凛(しみずりん)高校二年生だ。普通の女子高生で成績も良く友達もいる女の子だ。
でも、そんな彼女がリストに載ってしまってる。それは彼女が病気になってしまっていたからだ。しかもそれは今では治せない病気らしい。
凛はその事を家族以外には知らせていない。部活に入ってないのもただ
勉強したいからと言ってる。
放課後、彼女は一人病院に向かった。その様子を見るユウ。
「本当にかわいそうだな。こうしてみると。まぁ俺もすぐに死んだけど。でも
あの子の場合は苦しむのか?」
凛は診断を終え、自分の病室に入った。入院してるわけではないが事が事なので
すぐに入院できるよに部屋が用意されている。
ベッドに座り静かに本を読む。彼女は読書が好きで、実は漫画も読んでいる。それもあって彼女は小説の投稿サイトに自分の作品を出している。
「へぇ面白いな。普通に人気もある。もしかして作家になれるかも」
ユウはこっそり覗いていた。その作品はもうすぐで完成するらしい。しかもどうやらスカウトも来てるみたいだが、彼女は作品を完成させてから出したいという
こだわりがあった。
それもあって今までデビューしてないでいる。
「これで終わりっと・・・どっちが先に終わるかな。この作品と私の命。死にたくない。でもどうしようもできないのもわかってる」
彼女も助からないのはわかってるが、それでも助かりたいとも思っていた。そうして彼女の様子を見守ってから三日後。その時が来てしまった。
凛は学校の授業中に倒れてしまった。すぐに救急車を呼び病院にいった。医者もできる限りの事をして助けようとしているが。
夕方、18時ちょうど彼女は眠りについた。家族も友達も悲しみこの事は
学校にも伝えられた。
家族が病室を整理しているとノートパソコンを見つけた。母親は開いてみると
そこに小説の投稿サイトがあった。
覗いてみると凛が投稿した作品があり、それは大人気作品で、サイトでも常に
通目されていた。
母親は父親や友達にも伝え一緒に作品を流し見た。そして、自分のページに
予約投稿された話があり、それが最後の話だった。
・・・・・・
「気づいたか?」
「!?ここは?」
「ここは、まぁ天国と現世の狭間の世界って所だな」
「狭間、現世と天国。そっか私死んだんだ。間に合ってよかった」
「みたいだな」
「?もしかして知ってる?」
「あぁ見守ってたからな」
「あなた神様?でもなんか学生っぽいけど」
「あぁ容姿はその時のままだからな。ま、新人の神だけどな」
「そう。それで私を天国に連れてってくるの?それとも」
ユウはいきなりポーズをとりそれっぽい仕草をして空間にビジョンを
映し出した。それを見て凛は驚いた。
「もしかしてこれ異世界?」
「正解。どんな所に行きたい?がっつり冒険するか、スローライフの農業系か
女の子らしく令嬢になるか」
「選べるの?」
「ああ。あんたみたいに寿命以外で死んだ者にはこうして第二の人生を
与えるのがルールらしいからな。それでどうする」
凛は考えていた。急にこんな展開になって驚いてはいるが、読んでいたラノベの
おかげですぐに理解できた。
「決めたわ!ここにして」
「本当にいいのか?」
「ええ。それで、何か頂けるのかしら?」
「ああ。それもできるしあえて何もなしでもできるが。あんたはすぐに死なせたく
ないからな。あんたがいいなら一つ能力を渡せるが」
「お願いするわ。私もせっかくの第二の人生。すぐにまた終わりたくないもの」
「OK!それなら楽しんで来な!第二の人生を」
杖を振りかざし凛に向けて光を放った。そして。凛はその望んだ世界に
転生した。
そこは剣と魔法の世界。冒険者が魔王を倒す為に日々活躍している世界で
そこに凛は転生した。凛は何もできなかった前世とは違って自分が動いて
活躍したいと思ったからだ。
「これで成功だな」
「お疲れ様。どうだった初めて異世界転生させてみて」
「いい感じだ。自分がなってないからわからんが、今から異世界に行くのかって
思うとわくわくはするな」
「そうね。まぁいずれ自分でも行ってきていいからね」
「なぁその時って自由にここに戻っていいのか?」
「ええ。神様特権で死にそうになったら戻れるし、あえて死んでも私がまた
戻してあげれるわよ」
「それはほんとに特権だな。まぁこの仕事をもっとしてからだな」
ユウは異世界に行きたい気持ちをおさえて今はこの仕事を楽しもうと
勉強する事にした。
そんな感じでユウは仕事をこなしっていった。何もない時は異世界に送った
人達の様子を見に行く。
その見に行った先は一番初めに送った凛の所だった。
彼女は順調に進んでいて、今凛は冒険者になりそれなりの知名度もあって
充実しているみたいだ。
ユウはライラに教えてもらった方法でその世界に向かってみた。その世界に
つくとユウの姿は透明になっていた。それで誰にも気づかれずに世界を
歩き回れるというものだ。
「本当に誰もきづいてない。空も飛べる。こっちからは人に物にも触れる事が
できる。これが一番のチートだな。よし、少し堪能してみるか。前世でできなかった
事をしよう。ライラには見られてるが、してもいいって言われたからな」
誰もが(男)ならやってみたい事。透明なら覗きをする事もできる。凛と会う前に
この街で少しスケベな事したユウ。前世で一度も彼女が出来なかったので人一倍
性欲はあった。
そこで初めて女の子の裸をみたり触ったりした。触っても相手はちょっと感じる
だけで気づかれない。
そんな感じで小さい子から人妻まで堪能し、それから凛の所に向かった。そこは
冒険者が集まるギルドだった。
凛はこの世界ではリナという女の子になっていて今は17歳になっていた。その
可愛い容姿と豊満な胸で男達からも人気があるが、凛、リナはまだ誰とも付き合ったりした事はなかった。
リナは二人の女の子とパーティを組んでいた。一人は剣士でリナよりは年上の
女性のフレヤと魔法使いで可愛い女の子のフローレンスだ。
ユウはこの世界の住人のデータも見る事ができるのですぐに確認した。
「じゃぁ今回はこれでいいですね」
「うん。お願い」
リナは受付で次のクエストを受けていた。その後酒場もかねているこの店で
一休みしていると他の冒険者達が声をかけてくる。
それはいつもの事で、リナ達と近づきたい男達が常にナンパをしてる感じだ。
「本当にしつこいね。私達は誰とも組まないわよ」
「そういわずに一回ぐらいいいじゃねぇか。その強さを見てみたいし」
「いつも覗いてるくせに」
「!?」
「気づいてないと思った?私、いつもサーチしてるから誰か近くにいるとすぐ
わかるわよ」
「だったらそんな事しないで一緒に行けば無駄に使わないだろ」
「そうだぜ!俺達が守ってやるし」
「私達より弱いのに?」
その言葉に男達は怒り、思わず手を挙げて彼女に攻撃しようとした。それに
すぐ反応したリナも反撃しようとした。
そこにユウが割って入った。もちろん誰にも見られないが、触る事は出来るので
男の手を止めた。
当然いきなり止まったので全員が驚いた。
「なんで急に!?今一瞬何か見えたような」
ユウはリナにだけ見えるようにして男を投げ飛ばした。
異世界転生させる側になってしまった。 inazuka @asakuraryousuke
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