Prequelーthe last pageー『そして少女は』
第13話『そして少女は歩みだす』
「いつか、話さないといけない時がくる」
白い髪をした着物姿の少女…月詠命が私に語りかける。
「お主の母…ヨハネのこと。そして」
と月詠命はひと呼吸おき、続ける。
「お主の父…ラヴクラフト、恋作のことを」
そこで、夢での記憶は途切れた。
◈◈◈◈◈
星歴10017年8月4日午前10時04分、ルナ一行、港町『コハト』現着。
「ふぇ…」
「あ、ご主人様。コハトに着きましたよ」
潮風の臭いが珍しく感じ重い瞼を開けるとメイの顔が目の前に入った。
どうやら膝枕をしてもらっていたようだ。
「ん、パン…」
「あ、はい!少し待って下さいね」
メイにパンを取ってもらい口に入れる。
やはり味はしない。
私はメルタでの一件からずっと味覚を失っている。
原因は分かっている。
だけど私はあんなことをしてしまった、みんなに心配をかけてしまった。
だから、これは私へ神様が与えてくれた罰だ。
「ごちそうさま…」
味がしないのは生きている心地がしないが、生きるためには食べるしかない。
みんなに心配させないために。
◈◈◈◈◈
やっぱりご主人様は無理をしている。
あの日からずっと、ご主人様は自分一人で罪を背負ってわたしたちに心配させないために…。
もちろん白炎様もアル様も分かっています、メルタタウン出発の前日に話し合いましたから。
でも今はできることがないらしく、とりあえず一瞬でも楽しんでもらうなりしてご主人様の負担を軽くするしかないらしいです。
なのでわたしたちで出した結論、それは…。
「ご主人様、海にいきましょう!」
「…???」
◈◈◈◈◈
「青く!遥か彼方まで続く水平線!白い砂浜!海水!そして…水着!!」
とメイが海にきた影響か何か言い始めた。
「…じゃあ私はその辺で休」
「いえ、ご主人様も行きますよ!」
「ええ…」
私が逃げようとするとメイが腕を掴み連れていかれた。
「熱中症には気をつけろよー」
「じゃあ俺は宿とってくるわ。白炎任せた」
「任された」
とアルと白炎の会話が聞こえた。
「ほら、ご主人様!ビーチバレーしましょう」
と私がぼうっとしているとメイがいつの間にかビーチボールを持って立っていた。
「いきますよ〜!」
とメイがいきなりスパイクサーブを打ってきたので慌ててレシーブする。
「うげぇ」
「あ!ご主人様大丈夫ですか!…すみません」
とレシーブの勢いのまま倒れた私の所にメイが駆けつける。
「…メイ」
私がメイの顔を見ると何か悲しそうな目をしていた。
「わたし、はご主人様に…楽しく、楽しそうに笑っていて欲しくて…。でも空振ってしまいました…。」
「…」
私がずっとあの日のことを引きずっていたのが悪いのに…。
楽しく、する権利はあるのだろうか。
人を殺してしまいそうになったこんな、私に。
「ご主人様は…純粋で、そして誰よりも人一倍、自分一人で全て背負おうとしてて…私に何か、できないか考えて…海で楽しんでもらおうと…」
「…私はスラム街でずっと生きてきて、自分でやったことは、自分一人の責任だって…他の人たちを見て学んできたからさ、人を頼ることをしてこなくて…だから」
と私はそこまで言うと言葉を濁すように続ける。
「だから、メイが罪悪感を感じることはないんだよ」
これでいい、私が…一人で背負えば。
「だから、気にしないで…」
「わたしは…!わたしも!っ…一緒に背負いますから…だから、頼って…下さい…っ!」
メイがそう言いながら私を抱きしめる。
「…ほんとに、頼っていい…の?」
何故か涙が溢れ出す。
「はい…っ、わたしも一緒に…背負います」
温かい。
そうか、これが…。
「お母…さん」
私はそう呟いた後、エネルギーが切れたかのように寝てしまったらしい。
そして白炎のいたパラソルの下で目が覚め、その後海の家でみんなと焼きイカを食べた。
◈◈◈◈◈
少し時間は進み、コハトのとある裏路地。
「…っ」
銃で撃たれた肩が痛い。
何故、お父様はおかしくなったの?
あの男が、お父様の目の前に現れてから全てが変わった。
「ラヴクラフト」と名乗った青年がお父様に何かを渡してからお父様がおかしくなった。
元々この辺のマフィアのドンとして頭を張っていたお父様は下部組織のマフィアを全て壊滅させ、そして実の娘である私までも殺そうとしている。
あの男は何をしたの!?少し前までは私を危ないから、と言って私を別にある家で暮らさせてくれていたあの優しいお父様に…何をしたの!
「許さない…っ!ラヴクラフト!!」
それよりもお腹が空いたな、銃声も止んだし何か食べるか。
と私はフードを被り路地裏をでる。
そして近くにあった店でパンを買い、食べる。
食べれる時に食べないとどちらにせよ死ぬ。
だから、今は生きるために少ない所持金を使ってでも生き延びてやる。
と店をでた時にそれは起こった。
パァン。
その音がした瞬間に私の胸が撃ち抜かれていた。
「うっ、ぐ…」
くそ…。
ここで、死ぬの…か。
「大丈夫ですか!?メイ!はやくこの人を…」
あぁ、もう…助からないのに。
都合のいい夢を、私は…見ているのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます